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此処★(3/9)

毎週末、男が選んだ衣装を身に纏い、ファインダー越しの視線に身体を撫でられる。
服の露出は徐々に多くなり、煽情的なポーズを求められることも増えてきた。
それでも、身体を求められることは、未だ無かった。
いつか、の時はいつ来るのか。
待ち侘び、焦らされる心が、衝動を抑制する力を削いでいく。

「ダメだな、カレン。折角のスマートなシルエットが台無しだよ」
肩が大きく開いたマイクロミニのワンピースは、腰回りが窮屈に思えるほど細身な物。
それまでしばらくはティアードやシフォンなど、下半身のラインがあまり目立たないスカートが多く
ある程度の興奮を隠すことが出来ていた。
けれど、締め付けられる感覚と、初めて身に着けたTバックの食い込む刺激が一層欲望を掻き立て
自分では、もう、身体の変化に抗えなかった。

「あの・・・少し、落ち着いたら・・・大丈夫」
苦しい言い訳を口にする俺をしばらく眺めた後、彼はカメラを置く。
「じゃあ・・・今日は、被写体を変えようかな」
差し出された手に導かれるよう男の傍へ向かうと、その手が俺の身体を鏡に相対させた。
背後に感じる熱が興奮を温める。
落ち着くはずも無かった。
太腿から上がっていく手が服をたくし上げながら尻を撫でる。
脚の付け根に沿って、そこへ向かってくる気配が喉を震わせる。
布を押し上げる不自然な膨らみは徐々に大きくなっていき、上半身が自然と前屈みになった。
「可愛いお人形さんじゃない・・・発情した、雌の写真」
低く響く囁きが、吐息を深くさせる。
「剥き出してあげるよ、本当の、カレンを」


小さな白いテーブルの上に腰かけ、右足をそこに載せた。
下半身に纏わりついていた布が捲れ上がり、小さな下着の中で窮屈そうにしている雄の象徴が露わになる。
俺の醜態を正面から眺める彼は、満足そうに微笑みながら、一本の小瓶を手渡してくる。
中に入っているのは、粘性の液体。
送った視線に返されたのは、首を傾ぐ仕草だけ。
蓋を開け、荒ぶる部分へ垂らす。
未知の感覚が敏感な場所をゆっくりと刺激して、吐息が震えた。

「急がないで・・・ゆっくり」
濡れた下着の中のモノを、自らの指で慰める。
薄布はぴったりと張り付き、形も色もはっきりと分かるくらいに透けていて
それが却って、卑猥さを強調していた。
ウィッグの隙間から滲んでくる汗が、首筋を滑り背中に流れていく。
「は・・・あぁ」
全身に籠った熱を発散するように、口から熱い音が漏れる。
「こっち向いて、気持ち良い、顔見せて」
顔を上げると、歪んだ視界の向こうには黒いレンズと満足げな笑みを浮かべる男の顔。
肩越しに映る自分の姿は、無残な性欲を露わにした人形のようだった。


カメラを置いた男がテーブルの傍に立つ。
一所の欲望を目で捉え、彼の意図を推し量った。
小さな頷きに応えるよう足元に跪くと、その手が静かに俺の頭を撫でながら引き寄せる。
目の前に迫る、他人の興奮。
ベルトを外し、ファスナーを下ろし、男の性器を引き摺り出す。
得も言われぬ匂いが身体を震わせ、悦びが眼が眩ませる。
頭上から見下ろしてくる視線を受け止めながら、俺は、それを口に含んだ。

見よう見まねの口淫は、彼をどれほど満足させているのか。
唾液を絡ませ、幾度となく唇で扱き上げる。
根元から舌を這わせ、裏筋を舐る。
切なげな吐息に混ざる、低く抑えた声が理性を奪っていく。
左手で彼を支え、右手で自らの身体を慰め始めると、男の動きは徐々に早くなった。
緩急を付けながら俺の喉奥を穿つ物体が、苦痛と快楽を同時にもたらす。
大きな溜め息と共に口から抜き取られたモノの先端からは
侵蝕の準備が完了した証しである液体が滲んでいた。


テーブルに上半身を伏し、腰を突き出す。
殆ど用を成していない下着が膝の方まで下ろされ、尻の割れ目に沿って粘液が滴ってくる。
男の指が入口を探る様に動く感触だけでも、息が震えた。
耳に響く淫らな音が腰回りを蕩けさせる。
やがて捉えられた場所に、他人が、入り込んだ。

第二関節辺りまで沈んだ指が、体内で細かな動きを繰り返す。
上下左右に腸壁を刺激し、捻じりを加えながら穴を押し広げる。
僅かな苦痛と倒錯が、微かな性感を呼び起こすようだった。
「力抜いて。もう一本、行くよ」
男の声で強張った背中が、尾てい骨を撫でる掌の熱に落ち着かされ、彼を受け入れる覚悟が固まっていく。
まだ見ぬ快楽を求めて大きく息を吸うと同時に、更なる責めが身体中を刺激した。

何をされているか、辛うじて分かる程度に意識が浮かされる。
乱暴に突かれる度に、テーブルの天板と下腹部に挟まれた自分のモノが擦られ、快感が走る。
「何本入ってるか、分かる?」
卑しい音を立てながら問うてくる声に、答えを返すことは出来なかった。
作り物の髪の毛がずれて、目の前を覆う。
道化を演じることも忘れて、素のままの自分が剥き出しになる。
「そろそろ・・・良いかな」
昂ぶる声と共に引き抜かれる指が、心から理性を奪い取り、名残惜しさだけを残した。

□ 88_此処★ □
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□ 91_運命 □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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