Blog TOP


此処★(8/9)

しばらくの間擦り込まれていた指の感触が、ふと離れる。
快楽で痺れた脚に力を入れ直し、深呼吸で鼓動を整えようとした時
薄い視界の端に、彼の頭が思いも寄らない場所へ近づいていくのが見えた。
「ちょ・・・と、折原、さん」
「ん・・・どんなもんかと、思って」
直後、生ぬるい吐息と共に柔らかな感触が屹立したモノの上を這う。
力が抜けそうになる腰を壁に押し付けて何とか体勢を保つも
徐々に大胆になっていく男の行為が、繰り糸を一本一本切っていく。
「う・・・っく」
唾液が滲み込み軟化した布が、舌と同化して性器全体を弄る。
玉をゆっくりと握られ、張りつめた裏筋を唇で愛撫される。
押し寄せる波に、呼吸の仕方すら分からなくなった。

「も、やば・・・」
無駄な抵抗を絞り出した瞬間、膝が折れる。
壁に擦られたウィッグから数本のヘアピンが外れ、床に落ちた。
「気持ち良すぎて、立ってらんねぇ、って?」
しゃがみ込んだ俺の眼前に紅潮した男の顔が迫り、首を振る間もなく、荒い息を吐き出す口が唇で塞がれる。
「とりあえず、お前のこと、ガッカリさせないで済みそうだわ」
変な方向にずれてしまった髪の毛を整えながら、彼はそう囁いてくれた。


壁を背にして腰を下ろした先輩に、身体を預ける。
腰の辺りに感じられる昂ぶりが邪な感情を膨らませていく。
彼の肩に天井を仰ぐよう頭を載せ、つかの間、見つめ合った。

背後から回された腕が、腹を擦りながら上がってきて
ブラジャーのアンダー部分を指で数回なぞり、紛い物の感触を惜しむ様にカップを撫でる。
「これ外したら、夢、壊れそう」
「それ、ばっかりは・・・どうしようも」
「ま、そうなんだけど」
意を決したように下着が摺り上げられ、上半身の殆どが露わになった。
僅かに盛り上がる腹筋の辺りから痩せた胸板までを、彼の掌が行き来する。
くすぐったさと恥ずかしさと、一つの期待が相まって、微かな痺れを全身にもたらす。

心待ちにしていた部分を、男の指が捉える。
引きつった呼吸とビクついた肩に、すぐ傍にいる彼が気が付かない訳は無い。
視線の先には、愉快そうな彼の顔。
細かく弾かれる乳首への刺激が、落ち着き始めた下半身の衝動を再び押し上げた。
「感じんの?」
そんな問にも、息を飲むことしか出来ない。
人差し指と中指で挟まれ、軽く引っ張られると、痛みにも勝る快感が理性の殻を剥がす。
「・・・っあ」
「痛ぇか?」
「い・・・え」
服従の姿勢を見せている限り、徐々に責め苦は強くなっていく。
指の腹で潰されたまま、捻じられ、引き伸ばされると共に
上半身が大きく仰け反り、声にならない潰れた音が喉から漏れる。
「もっと?」
「も・・・と」
「案外、マゾいな、お前」
その言葉で、自制心の薄皮が完全に剥かれた気がした。

彼が、床に落ちていた物を拾い上げる。
「流石に、きついよなぁ」
意地悪な口調で呟きながら、細い金属の物体を指で摘み、散々甚振られた場所をつつく。
ずれやすいウィッグを留めるのに使うヘアピン、痛みは想像に難くない。
「どうする?」
それなのに、目を細めて俺を見る彼の誘いを振り切れなかった。
胸元の彼の手に、自分の手を被せる。
「・・・はさん、で」
「何を?」
「ちく、び」


金具で締められた二つの痛みが身体を強張らせる。
歯が震え、顎の奥が軋んだ。
目を閉じて苦痛の奥の快楽を探していると、軽く開いていた脚の間に彼の脚が割り込んでくる。
彼の太腿に載る格好になった膝が大きく左右に分かれ、股間が露出した。
「もう、限界だろ。見てみろよ」
熱を帯びた声が耳元に響く。
眼下に見えた局部は、下着から半分ほど顔を出し、先端からはだらしなく汁が垂れ流されている。
男の中指が焦らすようにそこを撫でた後、少しずつ布を剥いでいく。
程なく自由になった性器は、時を待ちきれないかのように真っ直ぐに立ち上がった。

力強く扱かれる快感を長く味わえる状態では無かった。
見え隠れする絶頂から幾ら目を逸らしても、すぐに目の前まで迫ってくる。
彼と舌を舐りあいながら細切れの喘ぎを吐く、この瞬間が堪らない。
痛みと羞恥はいつの間にか性欲に飲み込まれ、悦びに変わっていた。
「も・・・む、り」
「イきそうか?」
「・・・いっ、く」
言葉を放り投げると共に、意識が一瞬白くなる。
噴き出された液体が腹に纏わりつく感触が、恍惚の終わりを身体に刻みつけた。

□ 88_此処★ □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■   ■ 7 ■
■ 8 ■   ■ 9 ■
□ 91_運命 □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■
>>> 小説一覧 <<<

コメント

非公開コメント

Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

*** Link Free ***



>> 避難所@livedoor
Novels List
※★が付く小説はR18となります。

>>更新履歴・小説一覧<<

New Entries
Ranking / Link
FC2 Blog Ranking

にほんブログ村[BL・GL・TL]

駄文同盟

Open Sesame![R18]

B-LOVERs★LINK

SindBad Bookmarks[R18]

GAY ART NAVIGATION[R18]

[Special Thanks]

使える写真ギャラリーSothei

仙臺写眞館

Comments
Search
QR Code
QR