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真偽★(12/13)

前を開けたスラックスの中に、手を入れる。
膨らんだモノは熱を帯び、快感を求め小さく痙攣を繰り返していた。
先端を親指で押さえながら、ゆっくりと扱いていく。
刺激に溺れ、潤んだ眼が、僕を見る。
突き出された舌に呼ばれるよう、唇を重ね、舌を絡ませる。

肩から胸の方へ伸ばした手に、硬く勃起した小さな乳首が当たる。
軽く弾くと、喉奥から音を漏らしながら、唇が離れて行った。
「・・・敏感だね」
焦がれる気持ちは、いつの間にか彼を神聖なものとしていたのかも知れない。
想像以上に従順で淫らな身体。
幻滅する程に、現実の彼が近づいてくるようだった。
耳を舌で舐りながら、乳首を指で摘み上げる。
「うっ・・・」
手の中のモノが、その刺激で大きく脈打つ。
「素直な上に、いやらしいなんて」
刺激を求めているかのような片方の突起に唇を近づけ、吸い付いた。
反り返るようにソファに身を預け、上を向いた彼の身体が快楽に解ける。
薄い声と共に吐き出される吐息が、色を失った室内を艶めかしく染めるように充満していった。


モノの先端から浸み出してきた液体が、得も言われぬ感触を手に残す。
天を仰ぐ彼の喉仏が、大きく揺れていた。
屹立した部分から手を離し、尻の方に手を差し込んでいく。
「な、に・・・」
予期せぬ動きに驚いたのか、彼は僕に不安げな視線を投げる。
短い毛に覆われた割れ目に沿って指を動かし、尾てい骨の辺りを指の節で刺激する。
悶えるように身体を捩ると、ベルトのバックルが小さく鳴った。
たじろぎ、言葉を発せられない様子の彼に微笑みかける。
「こんなところも、感じるの?」
瞬間、モノが微かな反応を見せる。
新しい楽しみが出来た、そう思いながら、僕は彼に舌を伸ばす。

粘液に塗れたモノを、味わうようにしゃぶる。
溶けかかった彼の身体はソファに深く沈み込んでいく。
屈辱を味わわせ、蔑む為にさせていた行為。
その意味を、僕は少し履き違えていたのかも知れない。
相手の身体を快楽の底に落としていく行為。
穴に突っ込み腰を振るよりも、よっぽど能動的で支配的だ。

肛門をくすぐるように指を揺らすと、それに合わせて腰が浮き上がる。
陰毛にくすぐられながら玉を唇で挟むと、抑えきれない声が漏れる。
「気持ち、良い、かい?」
「きもち、い・・・い」
上ずった彼の声が、気分を高揚させた。
「嬉しいよ。君の、身体に、こんなことが出来るなんて」
先端に唇を寄せ、挟み込みながら舌を震わせる。
「っは・・・」
限界が近いであろう彼の身体が伸びる。
肩を振りながら、絶頂への一時を楽しんでいるようだった。
「もう、幻を見ながら、偽の身体を求めなくて、良いんだ」
口の中を満たす彼のモノが、僕の気持ちをも満たす。
息苦しささえ、幸せだった。
僕の肩を掴む彼の手に、力が籠められる。
やがて、熱情的な声を上げながら、彼は達した。

吹き出された彼の精液を、味わいながら飲み込む。
名残を惜しむよう萎れたモノに舌を這わせ、余韻を楽しんだ。
満足そうな彼の視線を感じ、顔を上げる。
細めた目に吸い込まれるよう、僕たちは唇を重ね合わせた。

命題の理論展開が間違っていたことは、自分でも分かっている。
その末に辿り着いたこの解が本当に真なのか。
一抹の不安を感じながら、問いかけた。
「傍に、いてくれるかい?瑞貴」
僕の問に、彼はどう思ったのだろうか。
ふと目を伏せた後でキスをせがんだ彼は、耳元で囁きを残す。
「そしたら、もっと・・・いやらしいこと、してくれますか?」


失った生活感の代わりに家の中を埋めて行くのは、男の淫靡な声と臭い。
家族の温もりを引き剥がすように、あらゆる場所で彼の身体を嬲って行く。

玄関のドアの正面に座らせて自慰を強制させながら、背後から身体を弄る。
キッチンのシンクに寄りかからせ、焦らしながら、しつこい位の口淫を与える。
カーテンを開けたままの窓に全裸で手をつかせ、性感帯を責めたてる。

理性が効かなくなって来ているのか、彼の身体は衝動のままに感じ続けていた。
引っ張られるように壊れて行く自制心。
恐怖さえ感じながら、手を止めることは出来なかった。

夜も更けた寝室。
一人では広すぎるダブルベッドに、久方ぶりに二人の人間が横になっていた。
腕を絡め、僕に身体を寄せる彼が、甘えるように唇を求めてくる。
「先生」
「ん?」
不意に身体を起こし、僕の身体に馬乗りになる。
「どうしたんだい?」
影を帯びた彼を見上げる僕の顔が、彼の両手に包まれる。
下唇に舌を這わせながら、彼は呟いた。
「どうして、僕には、何もしてくれなかったんですか」
「・・・え?」
その言葉に、心が凍りつく。
まさか。
「あの日から、ずっと、先生のことだけ見てたのに」
「瑞貴・・・?」
彼の表情が、不敵な笑みに包まれた。
絡め取られたのは、僕の方だったのかも知れない。
「でも、これでやっと、僕のもの」

□ 54_真偽★ □
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それぞれの背景。

本日朝にコメントを頂いた閲覧者様へ

人間、一人一人が違う過去を背負って生きています。
言葉一つであっても、その捉えられ方は様々です。

例えば、物語の主人公が「そんなの普通だ」と言う場面。

確かに普通だ、と素直に納得できる人。
それが普通だとは限らないだろうと訝しく思う人。
普通なのは分かってるけど、心からは認められずに傷つく人。

これまで自分勝手に文章を書き連ねて来ましたので
創作と言えども、読んだ方に嫌な思いをさせたこともあると思います。
これからも、恐らくそう言うことがあると思います。

ただ、そればかりを考えていては、文章を組み立てることが出来ません。
一対一の場ではなく、一対多と言うblogの環境であるからこそ
言葉は凶器にもなると、言い聞かせながら、文字を打つのみです。

ただ一つ。
貴女の想いは、私の中だけに留めさせて頂くことを、お許し下さい。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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