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真偽★(11/13)

解放感が下半身を覆う。
服の外で彼の手に収まるモノは、興奮を隠しきれていなかった。
ゆっくりと、優しい動きに鼓動が早まる。
絡み合う舌の間を、音を伴った吐息が出て行く。
身体を支配する快感。
心を支配する満足感。
俺が闇雲に展開してきた理論は正しかったんだと、改めて認識出来た。

肩を掴んでいた手が胸元へ降りて行く。
乳首が指先で弾かれた刺激に、思わず舌を引っ込めた。
「・・・敏感だね」
彼は唇を耳元に滑らせながら、そう呟く。
耳たぶに熱く湿った感触が纏わりつくと同時に、乳首が指で摘まれる。
「うっ・・・」
「素直な上に、いやらしいなんて」
痛みと快感に混ざる聴覚への官能。
他の男に同じことをされても、きっと俺の身体はここまで反応しない。
想いを寄せて来た彼だからこそ、ここまで素直に感じられる。
他の奴らとは、違う。

彼の頭が胸元に落ち、その唇が片方の乳首まで挟み込む。
モノに与えられる直接的な快楽を、より増幅させる刺激。
指の動きと同調するように、しつこい位の弄りが続く。
天を仰ぐようにソファの背もたれに頭を置き、大きく口を開けると、僅かながら気分の平衡が保たれる。
絶頂までの猶予を延ばす為の、唯一の抵抗だった。


浸み出した淫らな汁に塗れた手が、モノから離れ、尻の方へと入り込んでいく。
「な、に・・・」
不安な視線を送る俺に、彼は変わらぬ優しげな表情で、割れ目を指でなぞる。
くすぐったいような、妙な感覚で腰が浮いた。
「こんなところも、感じるの?」
そう言った彼は、自らの頭を股間に沈ませる。
間を置かずやって来た、先端への愛撫。
唾液と我慢汁が混ざり合い、引き起こされる卑猥な水音が姿勢を保つ力さえ奪っていく。
浮かされた腰を支えるよう、ソファの上に片膝を立てる。
裏筋を這う彼の舌を目で追いかけながら、猶予が段々短くなっていくことを実感した。

穴を解すような指の動きに、知らず知らず快感を覚えてくる。
二つの睾丸を代わる代わる舐りながら、彼の口からもまた、興奮の吐息が漏れていた。
「気持ち、良い、かい?」
「きもち、い・・・い」
「嬉しいよ。君の、身体に、こんなことが出来るなんて」
先端に滲む汁を吸い尽くすよう、彼の唇がその部分を挟み込む。
「っは・・・」
「もう、幻を見ながら、偽の身体を求めなくて、良いんだ」
自分に言い聞かせるよう呟いた彼は、全体を口に含み、その動きを激しくしていく。
絶頂に向かって押し上げられる身体。
やがて、部屋の中に、悦楽の声が響いた。

放たれた液体を全て飲み込んだ彼は、名残惜しそうにモノに舌を這わす。
上下する胸の向こうに、満足そうな彼の表情を窺うことが出来た。
俺の視線に呼ばれるよう、彼の顔が近づいてくる。
触れた唇、入り込んで来る舌から、自分の味が浸み込む。
一瞬言葉を飲み込んだ彼の眼に、僅かな不安が混ざる。
「傍に、いてくれるかい?瑞貴」
遅すぎた言葉。
ここまでしなければ、聞く事は出来なかったんだろうか。
待って、待って、待ち侘びた問に、すぐに答えを返すのが惜しかった。
軽く顎を突き出し、再びキスを求める。
唇を耳元へ滑らせ、囁いた。
「そしたら、もっと・・・いやらしいこと、してくれますか?」


何かが吹っ切れたようだった。
彼は、家の中の至る所で、俺の身体を弄び続けた。
過去との決別の為なのか、長年鬱積してきた歪んだ愛情を堪能しようとしているのか。
理由は、何でも良かった。
仕掛けた罠に、二人で堕ちて行けることが、ただ、嬉しかった。

夜の寝室は、静かだった。
エアコンのモーター音が低く響く中、互いに裸のまま、ダブルベッドに横になり
肌を重ね、唇を触れ合わせる。
彼の手で、口で、何回絶頂に達したのだろう。
幸福な疲労感が、身体全体を包んでいた。
「先生」
「ん?」
重い身体を起こし、彼の上に馬乗りになる。
「どうしたんだい?」
幾分驚きの表情を見せた顔を両手で包み、唇を舌でなぞった。
「どうして、僕には、何もしてくれなかったんですか」
「・・・え?」
ハッとした表情に、明確な罪悪感が見て取れた。
「あの日から、ずっと、先生のことだけ見てたのに」
「瑞貴・・・?」
怯えるような視線が、弱弱しく刺さる。
目の前にある、この現実。
俺の理論が正しかった証拠。
「でも、これでやっと、僕のもの」

□ 54_真偽★ □
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コメント

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イノセント

家人にブログを書く事は禁止されているので、一度も書いた事はありません。
こちらに初めてコメントを書いた時には、随分迷ったんです。全く知らない方に書くので、ユーモアの通じない真面目な方で気を悪くされては困ると思ったので。
イノセントな人だったらどうしようと思いました。

まべちがわさんは、引き出しを開けたくなられるんですね?
ビートル/ズの長い題名の曲『僕と/僕の猿以外は/皆秘密を/持っている』。「僕」でも「僕の猿」でもないから、私も秘密を持っていますよ。
昨日、食べたのはビターチョコレートケーキ。ちょっと濃厚すぎかもね。
京都には美味しい和菓子屋さんが多いので、季節の和菓子を頂く事も多いです。
紅葉の見頃は、まだちょっと先でしょう。
昨日は賀茂川を犬と一時間ばかり散歩しましたが、土手の桜の葉は紅葉してました。毎度の事ながら、鷺や鴨などの野鳥が川に居ました。冬になると、ユリカモメの群れが北方から渡来するんですよ。

距離感。

今まで、別名義でホームページを5~6個運営して来ました。
古くはBBSやゲストブックと言ったものも設置していましたが
本格的にblogを運営するのはこれが初めてで
初めの内は正直、コメントや拍手の距離感の近さに戸惑いもありました。
ですが、仰るような部分はもう随分前に失くしてしまいましたので、ご心配無きよう。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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