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真偽★(4/13)

「失礼します」
夜も9時を回ろうとしている頃。
一人の生徒が、教科室へやって来た。
「まだ、勉強中だったかい?」
「ええ、間宮と一緒に」
「彼は教室?」
「そうです」
良いタイミングだ、そう思いながら、彼を部屋の中へ招き入れる。


進学校だけあって、勉学に対して真摯に取り組む生徒が多い。
昼夜問わず、質問にやって来る生徒は絶えなかった。
中には、成績が思うように伸びず、せめて評定だけでもと縋ってくる者もいた。

「数学だけが、推薦条件に足りなくて・・・」
「そうは言ってもね・・・他の学科も視野に入れてみたら、どうかな」
高校3年生の春、校内での推薦枠を確保することに必死だった生徒は、その言葉に俯いた。
「何でも、しますから・・・」
欲求不満な訳じゃ無かったと思う。
苦悩するその表情に、自分でも気が付かなかった衝動が顔を出した。
「何でもする、なんて、軽々しく言うもんじゃないよ?」
うなだれる彼の脇を抜け、ドアの鍵を、わざと音を立てて閉めた。
その音に、生徒の表情は一気に強張る。
「じゃあ、して貰おうかな。僕の言うこと、何でも」


床に正座をした状態で、彼は僕のモノを口に含む。
もう、何回目だろう。
初めて行為を強要した時の、蔑む様な敗者の顔が忘れられない。
今では、個人授業が功を奏したのか、出来の良いお友達のせいなのか
彼の数学の成績は、目に見えて良くなっていた。
それでも、こうやって彼を呼ぶのは、達成したかった一つの目標の為。

「眼鏡したままじゃ、奥まで咥えられないだろ?」
優しく話しかけながら、彼の眼鏡を外し、頭を押さえつける。
苦しげの喉を鳴らす彼の肩が、大きく揺れた。
悶える度に閉まる喉が、モノに言い知れない快感を浸み込ませる。
「大分、上手く、なったね。八重樫君」
眉間に皺を寄せながら、彼は僕の意のままに頭を振る。
子供の心を壊すことでしか満たされない、支配欲。
くだらない性欲を発散する度に、自分の小ささを実感させられる、虚しい行為。


精液を喉に詰まらせて酷く咽ている彼を立ち上がらせ、背後からその股間に手を伸ばす。
「も、どら、ないと・・・」
「分かってるよ」
ファスナーを下ろし、ズボンの中に手を差し入れる。
萎れたモノを掴み、乱暴に扱き上げた。
「先、生・・・ホント、に」
机に肘をついたまま耐える彼の身体が、徐々に沈んでいく。
若さ故か、頭をもたげ始めるまでも早い。
固くなり始めたモノを弄りながら、耳元で囁いた。
「一つ、頼みがあるんだけどな」

男にも、子供にも、欲情なんてしたことは無かった。
結婚を約束した彼女がいても、捻れた欲望は膨れる一方だった。
それほど会話を交わしたことも無いのに、気が付いた時には、視線で追いかけている。
単純な好意が、大きな憧憬となって心を支配する。
手を触れることで汚してしまうのが怖い。
けれど、絶望の底に堕ちた、その顔を想像するだに昂揚する感情。
誰も幸せにはなれない結論を導いたことが、全ての始まりだったのかも知れない。


人の気配が消えた校舎の一角。
2年生が学ぶ教室の一つからは、苦しげな男の声が漏れていた。
瞬間の静寂の後に、機械的な音が微かに聞こえる。
それを合図にするように、僕は教室の扉に手をかけた。

「何やってるんだ?!」
感情を押さえつつ発した言葉に、男の身体に馬乗りになった生徒が振り向いた。
今にも零れそうな眼が、真っ直ぐに僕を見る。
手を引いて立ち上がらせ、その頭を胸に抱えた。
「お前・・・これは預かる。明日、僕の所に来るんだ、良いね?」
わざとらしさに気恥しくなりながら、彼が手にしていた携帯を受け取り、胸ポケットに入れる。
髪に軽く唇を寄せると、彼は何も言わず、その場を後にした。

「大丈夫か?間宮君」
自らのハンカチで、精液に塗れた彼の顔を拭いていく。
苦しげなその顔を見つめながら、引き寄せられそうな雰囲気に耐えた。
「何が、あったんだい?」
既に答えの出ている問に、彼は切なげに表情を曇らせ、言葉を絞り出す。
「・・・よく、分かりません」

卑劣な興奮に耐えられない。
彼の頭に腕を回し、抱き寄せる。
その身体の感触を直に感じられることが、信じられないほど嬉しかった。
「先生・・・血、が」
「良いんだ」
顎の辺りをくすぐる髪の毛を落ち着かせるように、頬を滑らせる。
幾分冷静さを取り戻して来たのか、腕の中の生徒は小さく息を吐いた。
「このことは・・・誰にも言わないでおくから。君の為にも、彼の為にも」
「・・・分かりました」
腕に力を込めると、彼の頭がより深く胸元に沈み込む。
本人も意図していない呪縛に、きつく囚われて行くようだった。


掃除を終えた教室で目にした、たった一言だけのメール。
「人でなし」
当然の感想だ、そう思いながらメッセージを削除する。
そして、その対価として手に入れた、一つの成果。
誰にどう思われようとも、構わない。
今、僕の欲望を満たすことが出来るのは、これだけだった。

□ 54_真偽★ □
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リアル・ショタ

及川先生は意外にも腹黒だけど、欲しいものを手に入れる為に策略する男性は多い気がします。
ドライブでの帰り道、あまりにも時間が掛かりすぎると苛ついていて、気がついたら隣県の海が見えて来てビックリした事ある(笑)。わざと道を間違えたに違い無い、弁解が白々しかったから。

ところで、秋は大学の学園祭シーズンですね。中学1年の娘も友達と某女子大の学園祭に行って来たのですが、聞いてビックリしましたよ。
男子大学生が多いのは想定内ですが、男子高校生が一杯居たそうです!女子大なのに何故か女装コンテストがあり、男子高校生が優勝しました(笑)。岡山県から来て出場した男子大学生も!
娘は模擬店で綿菓子を買った時に、女子大生のお姉さま達に「うわ~!!リアル・ショタ!!」と騒がれたそうです!可愛いだとかカッコいいとか言われたそうな!どうやら、男子中学生と間違えられたみたいです(泣)。

自然体の威力。

本気で落としたい相手には、やっぱり何らかの下準備が必要です。
バレバレの演技でも引っかかってくれることはあるのでしょうが
自然に出て来る仕草や行動の方が、最後の一手には効き目があるような気がします。

学園祭の記憶…。
華やかな女子大とは違い、むさくるしい工業大学の学園祭はとかくグレートーンでした。
一応、女装コンテストらしきものがあり、応援団長だった後輩が出ておりましたが
あれは、厳しく指導されていた応援団員たちの策略だったんではないかと
今思うと、考えてしまいます。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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