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玩弄★(3/9)

画面の向こうの性行為に自分を重ね合わせ、自慰行為にふける。
AV男優が添え物として扱われるのも
目の前の女を悦ばせているのは自分だと暗示をかけやすくする為。
頭の中で妄想することも出来るけれど
途中でイメージが混線することもあるから、結局は、何かしらの媒体に頼らざるを得ない。
そんな風に、自らの身体を昂ぶらせるには、何らかの "きっかけ" が必要だと、思ってきた。

今、俺の視界の中には、下着を取り払われ露わになった半勃ちのモノと、蠢く男の頭。
ゆっくりと舌が這うごとに、鼻から息が抜けていく。
後輩に女の面影を見ることも出来ず、頭の中に何のビジョンも浮かばない。
それでも、男のフェラチオに官能をくすぐられ、感じ始めている自分が確かにいる。

彼の身体を眺めた拍子に目に入る、ベッドの上に投げ出されたスマートフォン。
手に取り、それを下に向けた。
「ほら、こっち、見ろよ」
快感で手が震え、画面に収まる姿は微妙にぶれている。
モノを口に含みながら俺を見上げる彼の目は、戦慄の影を見せた。
軽やかな音と共に、一瞬が、デジタルデータに変換される。
「心配、すんなって」
小さな呻き声を上げながら左右に揺れる頭を片方の手で押さえ、抗いを封じ込める。
「今更、秘密が一つ、増えたって・・・問題ねぇだろ」


慣れない動きに疲れてきたのか、快楽のテンポが微妙にずれてくる。
両手で頭を掴み、腰を浮かせて、より深く喉へ差し入れた。
「ん・・・っぐ」
苦しげな音が性器を伝わって腰回りに響く。
奥へ突き立てる様に腰を動かすと、シーツを掴む彼の拳はより固く握り締められる。
「ちゃんと、咥えてろ」
天井を仰ぎ、全身を波立てる。
太腿の上に、仕打ちに耐える気配を乗せながら、俺は彼の咥内で絶頂を迎えた。


吐き出された精液が、尻の方まで流れて気持ちの悪い感触を残す。
ベッドに顔を埋めて咽る後輩は、息絶え絶えに呟いた。
「・・・なん、で」
「何、が」
傍らに転がるティッシュを何枚か引き出し、性欲の残渣を拭き取る。
「オレ、は・・・いな、とみさん」
屈辱に濡れる眼が、俺を見上げた。
「癪に障る、ようなこと、しましたか?」
「別に」
「オレが、ゲイ、だから?」
「そうじゃない」
違う、衝動のスイッチを入れたのは、それじゃない。
「何で・・・あいつなんだ」

シャツの襟元を掴み、その身体をベッドに引き摺り上げる。
間近に迫った彼の顔には戸惑いだけが刻まれていた。
視線を受け止めながら、彼の身体に手を伸ばす。
「・・・やめて、下さい」
「勃ってんじゃん」
指先に感じる、僅かな怒張。
俺の手首を掴み、引き離そうとする彼の行為が、事実を語っていた。
「あーゆーことさせられて、興奮する訳?」
「違う、そうじゃ、なくて」
「違わねぇだろ?」
抵抗が少しだけ弱くなる。
首筋に唇を寄せ、耳の後ろへ擦り上げた。
震える吐息が肩を掠めていく。
「抜いてやろうか?」
抵抗を身体で示したのは、その段になってからだった。
眼前の男の肩を掴んだ彼は、渾身の力を込めて俺をベッドに押し倒す。
逃げるように離れた後、仰向けになった俺を見下ろして、言った。
「・・・自分で、します」


眠れない夜は、すぐに過ぎた。
白む空が部屋の中に僅かな色彩を与えていく。
何も言わずに去って行こうとする後輩の気配に、声を掛けた。
「お前、どうして・・・あんなこと、言ったんだ」
「それ、答えたら・・・オレの質問にも、答えてくれますか」
「・・・ああ」
振り向いた先には、壁に寄りかかり、俯きがちに俺を見る彼がいた。
「隠し事してるのが、嫌んなったんです」
「俺に?」
「そう」
溜め息をつく表情が前髪で隠れ、窺えなくなる。
「世の中に、一人くらい、ホントのオレを知っててくれる人がいても、良いかなって」
重い言葉だった。
同時に、つまらない自尊心がくすぐられるようだった。
「俺で、良かったのか?」
「・・・どうでしょう。分かりません」

謝るべきだったのだと思う。
その絶大な信頼に対して、自分が犯した愚かな行為を。
なのに、出来なかった。
言葉に迷う俺に、彼は問いかける。
「じゃあ、オレから、一つ聞いて良いですか」
「・・・何?」
顔を上げた表情が何処か挑発的に見えたのは、気のせいじゃ無かったのかも知れない。
「海老名さんに、嫉妬します?」

□ 68_玩弄★ □
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□ 74_挑発★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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