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玩弄★(7/9)

増えていく、被虐の記憶。
膨らんでいく、加虐の欲望。
壊れてしまいそうな女の身体では味わえない、ギリギリの責めが楽しめるようになるまで
それほど時間はかからなかったと思う。
知らなかった世界に足を踏み入れて、初めてその広さに唖然とする。
サディズムとマゾヒズムが渦を巻く中に、俺たちは飲み込まれる。

壊れた笛のような音が、異物を押し込まれた彼の口から漏れている。
「声、出すなよ?」
瞳を潤ませたまま、既に震えを見せる彼は小さく頷いた。
種々の玩具で無様な格好にされた男を、室内に置かれたカメラが捉える。
秋の気配を含んだ風が、狭いバルコニーに入り込み、抜けていく。
手元のスイッチを入れると、足元にしゃがみ込む彼の身体は鞭打たれたように仰け反った。

首輪に繋がれた鎖を引っ張り上げると、その顔が天を仰ぐ。
貧相な体つきが、凄惨さを強調する。
ボールギャグの端から垂れる唾液が、脈打つ喉仏を濡らし
クリップで挟まれた乳首を経て、頭をもたげ始めた性器がコックリングに締め付けられる様が見えた。
開脚させられたままで固定されている尻の下に足を入れると、爪先に異物が当たる。
押し込むように軽く蹴り上げると、後輩は酷く圧迫された声を吐息に忍ばせた。


狭い路地を、改造されているであろう数台のスクーターが爆音を鳴らして走り去る。
静かな住宅街に、癇に障る能天気な笑い声を残していく彼らを見ながら
自分のしていることが如何に不毛なことなのかを感じていた。
二人の関係を壊してでも手に入れたかった彼の気持ちは、ヒビが入るどころか益々強固になるようで
会社では、俺と視線を合わそうともしなくなった。
俺の気分を煽るよう、開発部に異動したい、そんな軽口を叩く様子を見せることもあった。
けれども彼は、必ず、週末の夜に家にやって来る。
そして、何も言わず、その身体を俺の手に委ねていく。
翌朝、俺に残されるのは、二人の間でなされた記憶と記録。
心は、いつまでも、立ち止まったままだった。


勃起し始めたモノの先から、液体が垂れ、バルコニーの床に小さな染みを残す。
彼の脇にしゃがみ込み、体内に捻じ込まれている二本の玩具を手で捏ね繰り回した。
声になりかけた音が、なだらかに空気を揺らす。
「我慢汁、床まで垂れてんぞ?」
耳元の囁きに、彼は軽く首を振る。
抵抗を見せることで加虐心を駆り立てることを、彼はこの短い期間で覚えたらしい。
快感に心酔しきったモノは、リングに締め付けられながら、悦びに首を振っていた。

ボールギャグを外し、代わりに自分のモノを挿し込んで口を塞ぐ。
唾液に濡れた咥内の感触が全身を巡った。
鎖を引かれたアンバランスな姿勢のまま、彼はゆっくりと俺のモノを慰め始める。

暗がりの道に、女性の物と思われるヒールの音が流れていく。
遠くからは、パトカーか救急車のサイレンが歪みながら聞こえてくる。
バルコニーの低い壁に寄りかかりながら、俺は彼のなすがままにされていた。
彼の身体を虐げているのは俺なのに、この夜の主導権を握っているのは、彼。
罠に嵌っている気がしていても、それから抜け出そうと言う思考が働かないのは
何処かに彼を振り向かせる糸口が無いのかを、必死で探しているからなのかも知れない。

滾る身体が、風に曝されながら大きく震える。
頭を押さえながら、腰を振った。
股間にじわじわと集中していった衝動が、一気に抜けていくような感覚が堪らない。
「ほら・・・飲め」
上ずる声に呼ばれた彼の視線が、絶頂を呼ぶ。
ふと目を細めながら窄められた口の中に、俺は自らの欲望を吹き出した。


「オレは・・・ケツの中を、玩具で掻き混ぜられて、ヨガる・・・変態です」
ベッドの上で俺に寄りかかり、宙に視線を泳がせる後輩。
両腕は変わらず手錠で繋がれ、激しき波打つ身体の中心に屹立したモノがあった。
向かい合わせるように置かれたパソコンのディスプレイでは
自ら受けた仕打ちの時間が、静かに流れている。
それを見せながら淫語を言わせるのが、二段階目の凌辱。

「あんなことされんのが、嬉しい訳?」
肩口から首に沿って舌を這わせると、身を捩る様に背中を強張らせる。
「・・・おかしく、なりそう、な、くらい」
「もう、おかしくなってんだろ」
指先でモノの先端を撫でると、切なげな声が部屋に響く。
「はっあぁ・・・」
「声、でけぇよ」
口の前に差し出した指に、彼の舌が伸びてくる。
いやらしい動きをしながら絡むねっとりとした感触が、鼻息を荒くさせた。
「も・・・ヤバ、い」
「あ?何が」
「何とか・・・して」
「何言ってんのか、全っ然分かんねぇ」
喘ぐような息を吐きながら、彼は羞恥の言葉を口にする。
「恥ずかしい、チンポ扱いて・・・溜まったザーメン、絞り出して、下さい」

彼の口を塞ぐ手に、軽くその歯の感触が刺さる。
混乱と悦びの声が全身から滲み出るようだった。
伸びきった上半身が、扱く手の動きに合わせて浮き沈みを繰り返し、ベッドを軋ませ
脈動する手の中の性器の感触は、益々独占欲を大きくさせる。
「んん・・・っ」
やがて、間を置かず限界に達した彼のモノから、大量の精液が飛び散っていった。

腹の辺りを垂れていく液体を指で掬い取り、口の中へ突っ込む。
荒い息を漏らしながら、彼は味わうように指をしゃぶる。
「俺のと、どっちが美味いんだ?」
虚ろな眼で俺を見上げる彼は、酷く満足そうに、呟いた。
「いなとみ、さん・・・のが、すき。また、飲み、たい」

□ 68_玩弄★ □
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■ 8 ■   ■ 9 ■
□ 74_挑発★ □
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コメント

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No title

残暑お見舞い申し上げます。
全編読ませていただいて、一言お礼を申し上げたく、慣れぬコメントなどをいたします。
どれも切なくて、優しくて、遠い昔の日々を思い出したりもしました。
出会いがしらいきなり一緒に暮らすことを選んだのも互いの若さゆえだったでしょうか、服を取りに家に帰った時、1人でお茶漬けを食べている母の姿に胸を突かれたことも有りましたが、自分がかくあれかしと願う姿を体現したかのような彼に僕は夢中でした。
いろんな事がありました。
彼の病気を機に彼を連れて実家へ戻ってから3年、彼の父親の発癌のため、彼は帰郷して家業を継ぎ、結婚。
彼が亡くなった時、僕のことを従兄弟かと思ったという、見合いで結婚した彼の奥さんからは何も知らせが無く、数か月後、彼と同郷の知人からの電話で知らされました。
この夏、多分七回忌であろう彼の仏前に初めて奴が大好きだった白い百合を目一杯贈りました。
こんな話、グダグダ書いて申し訳ない。
ただ、このまま1人で生きていくことを選択した自分を、改めてこれで良かったんだ、というよりこれしか無かったんだと再認識させてくれた事、そして僕は今でも奴が大好きだって事を思わせてくれた事にお礼が言いたかったのです。
失礼しました。



糧と枷。

コメント頂きまして、ありがとうございます。

お話を伺って思ったのは、人を想う気持ちに終わりは無いんだ、と言うことでした。
人生をそれなりに長く過ごしている内に、誰かに向けた想いの引き出しは随分増えました。
本気で愛した人のことを思い返しては日常の糧にし
仲違いしてしまった友のことを悔やんでは感情の枷となり
例えある時点で止まってしまった関係であっても、自分の中にはいつまでも残っている。
忘れようとしなかったからでしょうか、随分古い記憶まで、不意に思い出されることもあります。

貴方の思い出がどれほど幸せで、どれほど辛いものなのか、私には量りかねますが
人生における大きな糧になるのだろうと言うことは、感じます。
ただ、人生は案外長いようなので、新たな想いへの枷にはなりませんように祈ります。

残暑の厳しい日がまだまだ続くとのことです。
お身体に気を付けてお過ごし下さい。
これからも宜しくお願い致します。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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