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慙愧★(5/6)

たまたま目を付けられただけ。
そんな一人の男が、自らの性癖に気づかされていく。
周囲の視線を一身に浴びながら、身体の昂ぶりを抑えられない気分は、どんなものなのか。
透けて見える程の彼の絶望に、俺の心まで熱くなる。

彼のモノを口に含んでいた男が、卑しい笑みを浮かべて彼に話しかける。
「兄ちゃんのオナニー、見せてよ」
ほぼ半裸にされた男は、モノに促された自らの手を動かすことも出来ないまま、固まっていた。
「恥ずかしい格好見られるの、嫌いじゃないみたいだし」
自制心の縁に立たされた彼の背を、軽く押す。
口に当てていた手を離すと、吐息が指に纏わりついた。
「・・・見て欲しいんだろ?」

あられも無い姿で自らを慰める男と、それを見て興奮を隠しきれない男たち。
まるでそこだけ隔離されたかのような空間は、むせ返るような生臭い空気に覆われている。
固く閉じられた瞼とは対照的に、露骨な反応を見せる彼の身体。
次々と周りの男が欲求を発散する中、最後に絶頂を迎えた彼は、糸が切れたように座席に沈み込んだ。

満足げな顔をした男たちが、散り散りに闇へ消えて行く。
未だ呆然としている彼の前にポケットティッシュを差し出した。
しばらくして我に返ったのか、おぼつかない動きでそれを手にし、自らの体液を拭っていく。
僅かに振り返った彼は、夢見心地の視線を俺に投げる。
そこにあったのは、欲望の蓋を開け放ってほしいと言う懇願だったのだろうか。
頭を抱えるように腕を回し、囁いた。
「もっと面白い夢、見せてあげようか?」

同じような刺激を求め、再びここに足を踏み入れても、同じように満足できるとは限らない。
男たちに良いように弄ばれ、ヤり捨てられるのが関の山だ。
それならいっそ、自分の手でどん底まで突き落としてやりたい。
そして、その顔を、踏みにじってやりたい。
醜い自分と共に。


初めて彼を外に誘い出したのは、それから2週間も経たない週末の真夜中だった。
特に会話も無い中、車は郊外の公園を目指す。
会社から帰って間もなかったのであろう彼は、ワイシャツ姿のまま、緩めたネクタイを弄っている。
「落ち着かない?」
その言葉に、彼はゆっくりと頷いた。
「俺は、楽しみでしょうがないよ」
「・・・え?」
「どんな君が見られるのか、楽しみで、しょうがない」

車の影が殆ど無い駐車場の端に、車を停める。
怪訝な顔をする彼に、外へ出るように促した。
助手席側のドアの傍に立つ彼に後ろを向かせ、その手首に持って来た革手錠をかける。
「な、に・・・?」
「散歩でも、しようと思ってね」
振り返ろうとする頭を押さえ、首に首輪を巻き付けていく。
「でも、只の散歩じゃつまらないから」
鎖を引くと、上半身が仰け反り、苦しげな喘ぎが闇に溶けた。
「面白そうな物、いろいろ持って来てみたんだよ」

車に寄りかかり、背後から抱き締めるような形で彼の身体に手を伸ばす。
ネクタイを解き、ワイシャツの前を開けた上半身を弄ると、荒い鼻息が吹き出る。
Tシャツの中に手を差し入れ、幾分汗ばんだ肌の感触を確かめた。
鼓動が早くなるのを感じながら、シャツをたくし上げて上半身を露わにする。
「あそこからじゃ、見えないかな」
駐車場の向こうの幹線道路には、少ないながら車が通っている。
ヘッドライトが近くの建物を照らして過ぎて行く度に、彼の身体は微かに慄いた。

手にした安い作りの物で、小さな突起を挟み込む。
「・・・く」
おまけでぶら下がる小さな鈴が、湿気を帯びた微風で些細な音を立てる。
「痛い?それとも、恥ずかしい?」
左右に揺れる首を、そこに繋がる鎖で制する。
「恥ずかしいよね、こんな格好してるんだから」
指で鈴を弾くと、甲高い音が空に響いた。
「もっと、恥ずかしくなりたいだろ?」
手を下半身へと下ろしていくと、その腰が引ける。
スラックス越しに感じられる昂ぶり。
耳元を滑る俺の嘲笑が、彼の羞恥心を煽ったのか。
上向かされた顔が歪み、苦しげな息が吐き出される。
ファスナーを下ろして手を差し入れ、服の中で悶々としているモノを引き摺り出した。
「ほら」
硬さを帯び始めた部分を指で摘み、見せつけるように引き伸ばす。
「・・・っあ」
潤んだ熱視線が、俺の顔を捉える。
辱めを求める声なき声が、半開きの唇から聞こえるようだった。
「じゃ、行こうか」


誰もいないはずの公園に風の悪戯がざわついた雰囲気を広げていく中、彼の後ろをついて行く。
時折、手にした鎖が引っ張られる感覚で、その抗いを知らされる。
「ちゃんと、前、見て」
金属の綱を引き、悪足掻きが無駄であることを身体に刻みつけた。
アスファルトを引き摺るような足音と、昂ぶった息遣いが、葉擦れのさざめきに掻き消される。
先方の闇に引き込まれているのか、彼が振り返ることは無かった。

□ 38_夢路★ □ ※露出・凌辱表現を含みます。苦手な方はご注意下さい。
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□ 60_慙愧★ □
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見せ付け行動の心理

所謂「馬鹿ップル」も、見られる事を前提として行動していると思いますね。
昔、電車の中で見た2人の男子高校生には心底ビックリしました。うなじを舐めてましたからね!
それ以来、露骨な男同士の馬鹿ップルは見た事なかったんですが、一昨日の夕方、駅ビル1階通路のベンチにくっついて座っていた男子大学生らしき2人には、久々に驚かせられました。
右側の男がスマホを見ているのを、隣に座ってもたれている男が覗き込んでいましたが、ふっと反対側の手元を見たら、2人は手を繋いでいました!
見られると言うよりも、明らかに「見せ付け」ている行動だと思いました。
2人ともカッコ良い外見で、もたれていた方は可愛い感じもあって、女の子にモテるタイプだったけど…。人間の心理って面白いわ、やっぱり!

ところで、関西はインフルエンザが猛威をふるっています。大阪は過去最高だそうです。
リレンザなんかの薬を使うと翌日には平熱になったりするけど、まだ感染力はあるんですよ。でも、医者の言う事を聞かずに、インフルエンザを隠して風邪だと言って、仕事や学校に行く人がいるんじゃないかと思います。
東京は人口密度が高いので、ルールを守る意識が強いと思いますが、此方は赤信号でも、車が来ないと渡るのは当たり前の土地柄ですからね(笑)。
あなたもインフルエンザには注意なさって下さいね。もしかかったら、水分補給に気を付けて脱水症状にならない事が重要です。
インフルエンザからの脳炎や心筋炎は怖いですからね。

愛も深まる?

よく、見られることで女性は綺麗になる、と言う話を聞きます。
本当かどうかはさておいて、他人に認識されることで、自分をより意識するようになると言うのは
あながち間違ってはいないのだと思います。
裏返して言えば、自分の中で曖昧な部分を
外にアピールすることで明確にしようとしているのかも知れません。
全てがそうとは言いませんが、街角でキスをするカップルなんかは
知らない人間に見せつけることで、よりその愛を深くする場合もあるのでしょう。

インフルエンザは、こちらでも流行っているようです。
寒い日も続いておりますので、どうかご自愛ください。

引っ張っていたのはどっち?

こんばんは。
気に入ると何回も読んでしまいます。すると、どんどん輝いて見えてくる一文があります。最初から気付けって話しですが、私ニブイので、そこは、お許しください。
『先方の闇に引き込まれているのか、彼が振り返る事は無かった。』ですが、最初トクナガさんがおびえてる描写だと思ってました。恥ずかしい格好させられて、前から人が来たら大変じゃないですか。だから必死で前を見ている。気をとられてるから振り返らないと。
でも読み返してると伝わってくるのはホシノさんが感じているだろう、なにがしかの感情なんです。寂しさ、むなしさ、戸惑い、驚き、などなど。
なかでも、振り返ってくれればいいのに、なんで振り返ってオレを見てくれないんだろう。と感じてしまう時があって、これホシノさんの感情とシンクロしてるのかな?と思います。不思議です。本文自体は実にシンプルな一文なんですけどね。
一見すると、ホシノさんが手を引くままに堕ちていってるトクナガさんの図ですが、でも、それだけでは無いのでしょうね。

手綱を引くのは。

最近は、夜に犬の散歩をされる方が多いようで
深夜に帰宅する途中、よく犬を連れている方とすれ違います。
前方を真っ直ぐに見据えたペットに引っ張られる飼い主の姿。
このシーンは、それを思い浮かべながら書きました。

他人の欲望によって投げ込まれた闇に、恐怖と期待を馳せる男。
その感情を僅かに捉え、戸惑う男。
そんな、イメージです。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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