Blog TOP


慙愧★(6/6)

駐車場から反時計回りに外周の道を進む。
どのくらい歩いただろう。
木立に割り込むように、外灯に照らされた一角が見えてきた。
そこはかとなく感じられる、人の気配。
時間はもう夜中の1時を回った辺り。
まともじゃない類の物であることは、明白だった。

先に動いたのは向こうだった。
こちらへ向かって来る二人の男の姿に、彼は身体を固まらせる。
その肩を抱き寄せ、こめかみ辺りにそっと口づけた。
「大丈夫、心配いらないよ」
身体に目を滑らせると、微かに震える息遣いとは裏腹に、屹立したモノが存在を主張する。
明確な畏怖と浅ましい本能が入り混じる彼の心の中は、どんな状態になっているのだろう。
そんなことを考えながら、男たちを待ち構えた。

「犬の散歩か?」
俺よりも若干背の低い、けれど体格の良い男は、下衆な感情をまるで隠さずに声を掛けてくる。
軽く差し出された手を避けるよう、鎖を引いて彼を遠ざけた。
「だったら?」
「少し遊ばせろよ」
大男の後ろから顔を覗かせる痩せた坊主頭が、懐中の男を一心に見つめている。
「頭撫でるだけじゃ、満足しないんだろ?」
俺の言葉を鼻で笑い飛ばした顔は、酷く醜かった。
「啼き声くらい、聞かせてくれたって良いんじゃね?」
縋る様な彼の視線の先に、卑しい男の姿。
屈辱に飲み込まれていく、あの時の気分が、不意に顔を出した。
彼の身体を地面に押し付け、膝立ちにさせる。
見上げる眼差しを一瞬だけ受け止め、目を逸らした。
「心の広い飼い主さんに、感謝、だな」


苦しげな呻き声が、鎖を通して微かに響いてくる。
頭を掴まれ、男のモノを口に捻じ込まれた彼の身体が、激しく揺さぶられている。
鈴の音を引き摺る上半身には、もう一人の男が舌を這わせていた。
「すげー、気持ち良さそう」
指で乳首を甚振るクリップを引っ張りながら、胸から腹にかけてしつこい愛撫を続ける。
「涎、ダラダラ」
独り言のように呟き、やがて痩せた男はいきり立つ彼のモノに舌を付けた。
木に寄りかかる様な体勢で仕打ちに耐える彼の身体が跳ねる。
男の唾液と、彼の汁が混ざり合った液体が、糸を引きながら地面に落ちていく。
「なかなか、良い、啼き声じゃ、ねぇか」
快楽に歪んだ顔を見せる男が、そう笑う。
刺激を求め膨れ上がっていた彼のモノが、男の口に沈み込む。
すぐ傍で、けれど一人蚊帳の外にいる俺には、その光景が、まるで作り物のように見えた。

恥辱の森にもたらされた昂ぶりは、如何ほどだったのか。
自らの口を塞ぐほどの怒張よりも先に解放されたのは、彼の身体だった。
吹き出された精液を、まるで美味なる物のように舐める地表の男。
顕著に大きくなる苦しげな声。
絶頂を迎えたことで蘇った理性が、未だ続く狼藉に再び壊されていく様子が窺える。
高鳴る鈴音が男の上ずった声に被り、同調するようにけたたましくなった。
瞬間抜き取られたモノから吐き出された液体が、彼の顔を汚す。
「う・・・あ」
儚げな声を上げながら、彼の身体は俺の脚に寄りかかるように倒れた。


外灯の下にある水場で、彼に付けられた凌辱の跡を洗い流す。
震えの止まない身体をベンチに座らせ、抱き寄せた。
薄い光に照らされた表情は恐怖を生む程に虚ろで、当て所なく振れる手を握り締める。
包まれるだけだったその手に力が込められたのは、どのくらい経ってからだろう。
顔を覗き込んだ俺に、彼は落ち着かない視線を送った。
解き放たれた純粋な欲望に困惑していたのかも知れない。

その絶望が、俺の快楽の糧のはずだった。
その手を離して踏みにじってやりたいと思っていたはずだったのに、出来なかった。
破滅させる悦びよりも、掻き毟るような焦燥感に悶える快感が勝っていたのだろう。
「・・・離さないで」
白み始めた空を見上げながら聞いたその声に、俺は囚われたのだと思う。

***********************************

彼の舌が、俺のモノを柔らかく舐っていく。
その髪を撫でるように、動きを促す。
素直に言うことを聞き入れてくれる身体が、下半身により深く入り込む。
じっくりと丁寧に根元から舐め上げられる快楽に、身体はなす術も無く浮かされた。

不意に動きが止まり、彼の吐いた溜め息がモノに纏わりつく。
「いつも、怖いんだ」
「え?」
「あんな、ことされて・・・それでも、気持ち良くて、堪らなくて」
彼はモノを手に取り、静かに扱きながら、頬を上半身に寄せる。
「いつか、オレのこと、嫌いになるんじゃないかって」

大切なものが汚される辛苦、憑かれたように高まる性欲。
彼とじゃなきゃ、この悦びは得られない。
顎に手を寄せ、唇を求める。
「大丈夫・・・手離したりしないから」
「ずっと、オレのこと、見ててくれる?」
「見てるよ。いつでも、君だけを見てる」
穏やかに微笑む彼は、何度も唇を重ね、再び下半身へ顔を埋めていく。
頭の中で屈辱に塗れた時間を思い起こしながら、捻れた快感に身を委ねた。

□ 38_夢路★ □ ※露出・凌辱表現を含みます。苦手な方はご注意下さい。
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■
□ 60_慙愧★ □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■
>>> 小説一覧 <<<

コメント

非公開コメント

夢の続き

こんばんは。この度はリクエストにお応えくださり、ありがとうございました。
他の山ほどあるBLとはどれとも違って、繊細で深い夢を見せていただきました。
拉致監禁されるでもなく、恥ずかしい写メを撮られて脅されるでもなく、複数に身をまかせる「受け」を初めて読みました。
が、そもそもこちらのブログには「受け」とか「攻め」とかパターン化したものが無いですもんね。
だからこそ、ここでしか読めない作品を求めて、来させていただいています。
申し訳ないやら図々しいやら…。ごめんなさい。
ホシノさんは結局トクナガさんの心を守ってしまいましたね。最初の目論みとは違ったのでしょうが、ほっとしました。
私も、この作品に散りばめられた「夢」とか「運命」とかのロマンチックな言葉、「そっと」とか「頬」「うなじ」「儚い」など優しさの感じられる言葉に、まるで浮輪にすがりつくようにすがりながら、官能の海を泳がせていただきました。
楽しかったです。
ありがとうございました。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

何かを残せること。

そのようなご感想を頂き、本当にホッとしました。
リクエストをして頂く方は、ご自分でもその続きをある程度想像されているのだと思っています。
当然のように、私が思い描く展開とは距離があるでしょうし、違和感を抱かれることもあるでしょう。
そこが、続き物の悩ましいところだと痛感しています。
ただ、続きを希望されると言うことは、それなりに心に何かを残す話だったのだと考えると
つたないながらも書いていて良かったと、嬉しく思います。
どうかこれからも、お付き合い頂ければ幸いです。

また、今後は、あまりお手を煩わせないように心掛けて参ります。
ああ言うご指摘はなかなか頂けないので、大変助かりました。
ありがとうございました。

お任せ文化

なるほど、大人で知的で穏やかな方がお好きなんですね。
あの方、K應大学卒で英国にも留学されているし、喋り方も声も落ち着いていらっしゃいますね。

ところで、私は美容師にも細かく注文つけません。美容師が綺麗にしてくれますしね。京料理の懐石料理と一緒。京都の「お任せ」の精神文化かしら?旦那衆が遊ぶお茶屋も「お任せ」。野暮な事はしないの。
一昨日の日曜日に、料亭で懐石料理を食べました。ぐじ(甘鯛)のかぶら朧掛けが美味しかったわ。何が出て来るか分からない時間の経過は、懐石料理の楽しみです。
ましてや、作家先生には注文なんて畏れ多い。
あなたに「お任せ」しますから、お好きなようになさって下さいませ。
でも、迷われたり悩んだりされたら、いつでもお話を御聞きします、私で良かったら。

今は下積み。

確かに、インテリに流れる傾向はあるかも知れません。
インテリになれなかった劣等感か、インテリであることへの嫉妬か。
知性の影に隠れた感情を知りたいと言う探究心も手伝うのでしょうか。

"お任せで" と言われる為には、それなりの下積みが必要です。
流石に、私はまだまだその域には達していません。
今は、注文を受けながら技を磨いていく段階。
どうぞ、色々とご意見頂ければと思っています。

遅くなりましたが、以前頂いたリクエスト分の話を更新致しました。
お気に召すことを祈って。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

*** Link Free ***



>> 避難所@livedoor
Novels List
※★が付く小説はR18となります。

>>更新履歴・小説一覧<<

New Entries
Ranking / Link
FC2 Blog Ranking

にほんブログ村[BL・GL・TL]

駄文同盟

Open Sesame![R18]

B-LOVERs★LINK

SindBad Bookmarks[R18]

GAY ART NAVIGATION[R18]

[Special Thanks]

使える写真ギャラリーSothei

仙臺写眞館

Comments
Search
QR Code
QR