Blog TOP


慙愧★(2/6)

涼やかな風を送りながら揺れる木々に囲まれた、小さなコテージ。
プライベートな空間を演出しますとの宣伝文句通り、周囲に人の気配は全く感じなかった。
彼女を先に室内へ促してドアを閉めると共に、一通のメールを送る。

1階部分には、大きめのソファとテレビ、冬用と思われる暖炉が置かれていた。
「こっちがベッドルームみたい」
無邪気に笑いながらロフトへと上がって行く彼女の後ろをついて行く。
天井が幾分低いものの、きちんと部屋の体をなしている空間には、キングサイズのベッドがあった。
「よく取れたね、こんな所」
「穴場らしくて。同僚から聞いたんだよ」
感触を確かめるようベッドに座る彼女の隣に腰を掛ける。
上目遣いの視線を見届けてから、その上半身をベッドに押し沈めた。

唇を触れ合わせながら、彼女の身体に手を這わせていく。
スカートをたくし上げようとする手に、彼女の手が触れた。
「・・・いきなり?」
「ダメ?」
形だけの抵抗に、気分が逆撫でされるようだった。
答を待っているのが煩わしい。
有無を言わせないままで、滑らかな素足を擦り上げて行く。


「今日はさ、ちょっと、違うことしない?」
紅潮する頬に唇を寄せながら、囁いた。
「違う、ことって?」
ベッドの隅に置かれていた二組のバスローブが目に入る。
綺麗に結ばれたベルトを手に取り、彼女の顔の前に差し出す。
「例えば・・・」
怯え方にそれほどの強さを感じないのは、俺への信頼か、その後に待つことへの期待か。
一本になったベルトを、その眼を覆うように頭に巻きつける。
視界を奪われた彼女は、唇を震わせながら、甘い吐息を漏らす。
「こう言うの、どう?」
「どう、って・・・」
程よい大きさの胸を優しく揉む掌に、その突端の感触がリアルに感じられる。
「目隠しされただけで、感じやすくなるんだ?」
指で軽く摘むと、小さく身体が跳ねた。
「やっ・・・ちが、う・・・よ」

上半身を起こし、腕を後ろ手に組ませる。
ややきつめに腕を縛り、背後からカットソーをたくし上げた。
「どうしたの・・・」
「何が?」
「怖いよ、今日の、克秋」
得体の知れない男に身体を差し出すより、俺に性癖を晒す方が怖いのか。
それなら、もっと上手く、隠し通しておいて欲しかった。

ブラジャーの中から、乳房を外に出す。
強調された膨らみの先で、尖った乳首が刺激を待ち侘びているように見えた。
「俺は、亜由美の方が怖いな」
二つの突起を指で摘み、引っ張り上げる。
「いやっ・・・」
「こんなことされて、こんなになって」
指を捻る度に彼女の身体は左右に揺れる。
それを押さえる様に、脚の間に自分の足を入れ、股を開かせた。
スカートの中に手を入れ、秘部を指でなぞる。
湿った下着の感触が、彼女の裏の顔を引き摺り出している過程を知らしめた。
「もう、準備万端だね」
わざとらしく明るい声で呟いたタイミングで、階下のドアが開く音がした。


「な・・・に、誰?」
小柄な肢体が急激に強張る。
「心配無いよ」
縋るように身体を摺り寄せてくる彼女をベッドに残したまま、傍を離れた。
「良い記念になるんじゃないかな」
ヘッドボードに助けを求めるように身を縮めて怯える婚約者を見やりながら、吐き捨てる。
「俺たちの、最後の、記念に」

階段を上がって来たのは、皆一様に、如何にも普通の男たちだった。
俺より年上らしき中年の眼鏡の男は、俺に一瞬視線を向け、ベッドの上の獲物を凝視する。
「ホシノ、さん?」
その後ろから覗きこむように話しかけてくる若い男。
「そう」
最後に階段を上がって来た男は、大きな荷物をベッドの脇で早速広げ始める。

「何しても良いって?」
「身体に傷つけるのと、中出しさえしなきゃ、ね」
俺の言葉を鼻で笑い飛ばした中年の男は、ベッドに乗り、彼女の脚を捉えた。
「だってさ。酷い男だよな」
「何っ?嫌っ!」
胸を露わにしたままで、彼女は必死な、けれども無駄な抵抗を見せる。
ベッドの中心辺りまで引き摺られた身体を、若い男の手が滑って行く。
「でもさぁ、輪姦されてる動画見たけど、すっごい気持ち良さそうだったよねぇ」
軽い口調の言葉に、彼女は言葉を失う。
「あれは・・・」
複数の手に擦られ、その刺激に身体を揺らす姿を、まるで作り物かの様な気分で眺めた。
「寂しかったから・・・克秋が、構って、くれないから」
この期に及んで言い訳しか出ないのか。
虚しい嘲笑が、悲鳴と喘ぎの中に消えて行った。

□ 38_夢路★ □ ※露出・凌辱表現を含みます。苦手な方はご注意下さい。
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■
□ 60_慙愧★ □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■
>>> 小説一覧 <<<

コメント

非公開コメント

名前

こんばんは。ラストまでかたずを飲んで静かに、と思いましたが、ひとつだけ。
不愉快な表現ありとの事でしたが、大丈夫でした。お心づかいありがとうございます。
むしろ、名前が印象に残りました。私個人の印象ですが、亜由美という名前に甘やかな可愛いらしさ、克秋には毅然とした優雅さを感じました。内情はどうあれ、そんな美しい名前で呼び合う二人が、関係を壊す瞬間、ホシノという記号に過ぎない名前が登場しました。階段を上ってくる男が発した「ホシノ、さん?」は無機質な闇のように怖かった。
どんなに鬼畜なシーンをお書きになろうと、どこか冷静で上品だなと感じます。こんな場面で上品だなんて変でしょうか。ボキャ貧な私にはうまく言えません。まべちがわさん独特の文章の個性だと思うのですが。つたない感想ですみませんでした。

はっちゃけられない個性。

素敵なご感想頂き、ありがとうございました。
はっちゃけられないと言うか、何と言うか
どんなにえげつない展開になっても、どんなに甘々な展開になっても
地の文には冷静さが残ってしまいます。
どれも同じような雰囲気になってしまうと、自分では気にしていたのですが
個性だと言って頂けて、ホッとしました。

絵が無い分、文章の中で名前が持つイメージはかなり大きいのですね。
話の雰囲気と、自分の頭の中にある映像から付けているのですが
今回は余りに浅ましい内容になってしまったので、敢えて爽やかめな名前にしてみました。
居た堪れない雰囲気を生む意味でも、却って良かったのかも知れません。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

*** Link Free ***



>> 避難所@livedoor
Novels List
※★が付く小説はR18となります。

>>更新履歴・小説一覧<<

New Entries
Ranking / Link
FC2 Blog Ranking

にほんブログ村[BL・GL・TL]

駄文同盟

Open Sesame![R18]

B-LOVERs★LINK

SindBad Bookmarks[R18]

GAY ART NAVIGATION[R18]

[Special Thanks]

使える写真ギャラリーSothei

仙臺写眞館

Comments
Search
QR Code
QR