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夢路★(3/6)

若干きつく感じるファスナーを下ろしていく。
体内の異物による刺激が、動きを鈍らせる。
息を吐きながら、張り詰めたモノを取り出した。
空気に触れると共に、帯びた熱が蒸発していく寒気を感じる。
見苦しく垂れ流された液体を纏ったモノが、夜の仄かな光に照らされていた。
「触っちゃ、ダメだよ?」
刺激を求めるようにピクピクと跳ねる部位に手を伸ばすことすら出来ず
掻き毟る様にネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外していく。
恥ずかしさと、もどかしさ。
二つの感情から生まれる狂った欲求は
シャツの中に差し込んだ手による上半身への愛撫だけでは、とても解消できそうも無かった。

不意に車のスピードが上がる。
左車線を走る車が、後ろに流れて行った。
一瞬俺の方へ向けられた視線が、前方を走るトラックに移る。
車列の波の動きが緩やかになってきたことを見越してか、車はトラックに併走するかのように隣につける。
高い位置にあるトラックの運転席からは、当然俺の姿が良く見えるはずだ。
視線を遮るものが無い状況が、興奮を呼ぶ。

緊張で軽く吐き気がする。
併走する車の運転席を見上げることは、出来なかった。
身悶える俺の背中を、彼の一言が押す。
「見て欲しいんでしょ?だったら、アピールしなきゃ」
フロントガラスの外側に展開する夜景が、僅かに霞む。
左側へ目をやると、トラックのドアに描かれた運送会社のロゴが目に入った。
逸る気持ちを静めながら、ゆっくりと視線を上げていく。

運転手と目が合った。
彼は奇異な物を見るような、蔑んだ表情を見せる。
冷や汗が吹き出るのを感じた。
露わになったモノに、昂ぶりが一気に集中するようだった。
尻の中の玩具が、その振動を激しくする。
思わず声が出た。
顔を歪めた隙に、トラックはスピードを上げて去っていく。
「事故らず、安全運転で行って欲しいね」
ダッシュボードにリモコンを放り投げた男は、そう笑いながら見物人を見送った。

卑しむ様な表情が、何度もフラッシュバックしてくる。
その度に、身体が徐々に追い詰められていく。
声も抑えられないほど、快楽に沈んでいる自分がいた。
腰が浮き、モノを高く突き出すような格好でシートに身を任せる。
行き過ぎる車の全てが、自分を見ているような錯覚に陥ってくる。
羞恥心は、もう、無かった。


車は首都高速を降り、郊外のファミレスの駐車場に停まる。
一番端のブースは、二方を鉄製の柵に囲まれていた。
モノを露わにしたまま、俺は車の陰に膝立ちになる。
側に立った男は、自らのモノを俺の顔の前に差し出し、軽く微笑んだ。
生温い風が、全身を包む。
前から回り込めば、確実に人に見られる場所。
そこで、俺は男のモノを口に含む。

快楽でおぼつかない身体を、車のドアに身を任せるように何とか保つ。
水音と激しい息遣いが、深夜の駐車場に響いた。
時折やって来る車のヘッドライトに身体を強張らせながら、男を絶頂へと引っ張る。
やがて、彼の手が俺の頭に添えられ、その動きを助長する。
苦しさが限界を迎える頃、彼は俺の口の中で果てた。

半開きになった口から、他人の精液が垂れていく。
吐き出す間もなく、彼は余韻を舐め取るようにと萎んだモノを口に押し付ける。
上目遣いの眼差しを投げながら、残った液体を丁寧に舐め取ると、彼はようやく赦しを口にした。
「次は、君の番だよ。見ててあげる」
しゃがんだ彼の視線を浴びながら、俺は自分のモノに手をかける。

車に身体を預けながら、一心不乱に扱く。
誰かに見られるかも知れないと思う恐怖は、あわよくば見られたいという欲求に変わっていた。
「良い眺めだね」
男が放つ静かで優しげな嘲笑が心を侵食するように、染み渡る。

抑えきれない声が闇に溶け、束の間の絶頂が身体を震わせた。
精液が柵とアスファルトに飛び散り、強烈な脱力感に襲われた身体が地面に沈む。
汗と精液に塗れたネクタイが、妙に重く感じた。
傍らの男の声が、うな垂れる俺の耳元で響く。
「もう、誰かに見られなきゃ、感じない身体になったかな?」
否定する言葉は、浮かばなかった。
きっと、俺の中にはもう、肯定する要素しか残っていなかったんだと思う。

□ 38_夢路★ □
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□ 60_慙愧★ □ ※異性間及び同性間凌辱・露出表現を含みます。苦手な方はご注意下さい。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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