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夢路★(4/6)

その夜、彼が向かったのは海沿いにある大きな公園だった。
何の予告も無く、何の準備も無い。
これから何が起こるのか分からない懸念を抱きながら、男の後ろをついて行く。

防風林の下のベンチに腰掛ける人影が見える。
その人物は、前を行く男に声をかけた。
「久しぶりだな。・・・新しい男か?」
街灯に照らされた男は、まるで品定めをするかのように、俺に視線を滑らせる。
連れは、その問に答える事無く、男に一つの頼みごとをした。
「ちょっと、人、集めて貰えるかな」

男たちの性欲の発散場所。
話に聞いたことはあったが、昼間は家族連れで賑わうようなこの公園が
夜にそんな姿を曝け出しているとは、想像することも難しかった。
風に揺れる木々が、より一層不気味に見える。
陰に隠れた男たちが、自分に視線を向けているような感覚に襲われる。
妄想だけで、身体が昂るようだった。

俺は男とセックスをしたいと思っている訳じゃ無い。
けれども、男に見られながら、虐げられる行為に身体を翻弄されている。
目の前の素性も知らない男に、いつか犯されるかも知れない。
そんな不安を凌駕するほど、衝動は激しかった。


周りを木で囲まれた街灯の下。
ポールに背を向けて立たされ、後ろ手に手錠をかけられる。
黒い風景の中に、一人、又一人と影が落ちていく。
「・・・何、を」
背後から上半身を弄る男に、意味の無い問いかけをする。
耳たぶを軽く愛撫しながら、彼は呟いた。
「君の、好きなことだよ」
ネクタイをそのままに、ワイシャツのボタンが外されていく。
中に来ているシャツをたくし上げられると、腹の辺りを潮風がくすぐった。
ほの暗い灯りに照らされた周囲には、幾人もの気配が感じられる。
唾を飲み込む音が、冷や汗と共に背中を落ちる。
「大丈夫、乱暴はさせないから」
ベルトを外す金属音が、辺りに響く。
聞こえるのは、風の音と微かな波の音と、押し殺したような荒い息。
異様な空間に包まれながら、俺は彼の手に全てを委ねる。

前を開けられたスラックスは下着と共に膝まで下ろされた。
男の手が、空気に晒されたモノを弄ぶ。
視線を落としたまま行為を受け入れていると、視界に男の足が入り込んだ。
「オレらには、分け前無い訳?」
目の前の男は、そう言いながら俺の顎を掴み、上を向かせる。
怯んだ表情をしていたであろう俺とは対照的な、好奇の目。
身が凍る思いだった。
「良いけど、セックスは、無しで頼むよ」
そう言って、背後の男は足元のバッグを蹴り上げる。
開いた口から、いかがわしい器具が顔を出した。
「しゃぶらせんのは?」
「構わないよ。・・・でも」
後ろから近づいた顔が、俺の頬に口付ける。
「大切なコなんでね、丁寧に扱ってくれる?」
鼻で笑いながら、下衆な笑みを浮かべた男は小さく頷いた。

連れが去っていくと共に、数人の男たちが近づいてくる。
「・・・待っ、て」
つい出てしまった言葉に、男が足を止め、振り向いた。
「大丈夫、ここで見てるよ。君だけを、見てる」
その台詞に何か思う間もなく、誰かの手がネクタイを引っ張る。
「彼氏のお墨付きも出たしな。思う存分、愉しもうぜ?」
何本もの手が身体の上を這って行く。
経験の無い状況に、感情はついて来れなかった。


外されたネクタイが地面に落ち、はだけたワイシャツから露わになった肩口に舌が滑る。
背後から回って来た手が胸板を弄り、その指が乳首を弾く。
「固くなってるねぇ。何が良い?ローター?クリップ?」
投げかけられる質問に、震える息を吐きながら、首を振ることしか出来ない。
バッグの中を物色していた男が、興味津々な表情で立ち上がり、近づいて来る。
「これ、ちょっと面白そうじゃね?」
「何だ、それ?」
「こうやってさ・・・」
男の手にあったのは、小さなスポイトのような物体。
彼はおもむろにそれを俺の乳首につけ、何回か押し込むような動きをする。
「う・・・あ」
吸引された乳首は強制的に勃起させられ、痺れるように痛む。
悶える顔は、もはや男たちにとっては欲情の促進剤にしかならないんだろう。
両方の突起へ付けられた器具は、やがて身体を快感へと引き摺っていく。

虚ろな目に映る光景に、人影は更に増したように見えた。
男を性的欲求の的として見る、露骨な視線。
誰かの指が、乳首を虐める器具を弾く。
「気持ちいい?」
嘲笑の混じるその声に、答えるべき言葉は一つだけだった。
「・・・は、い」

□ 38_夢路★ □
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□ 60_慙愧★ □ ※異性間及び同性間凌辱・露出表現を含みます。苦手な方はご注意下さい。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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