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命綱★(2/9)

いえない いえない
おれが あいつに こんなこと されてるって
いたくて くるしくて はずかしい
おれが おれじゃ なくなっていく みたいだ
もう たえられない
だれか たすけて だれか

***********************************

理不尽過ぎる要求に、すぐには反応出来なかった。
近づいてきた社長は、狼狽える俺の胸ぐらを掴んで追い込みをかける。
「誰に食わせて貰ってるのか、分かってるよな」
「・・・はい」
「親子で路頭に迷いたくないだろ?」

家族は、母一人、子一人。
父を早く亡くし、女手一つでここまで育ててくれた母に、今でも頭が上がらない。
その母が病を患ったのが、大学3年の冬。
左手が不自由になり、雇用形態が正社員からパートへと変わった。
日常生活には大きな支障はないけれど、出来るだけ傍にいよう、そう思って地元の企業に就職した。

年齢的には転職出来ない歳じゃないだろう。
とはいえ、経験も実績も無い、同じ条件で再就職出来るとも限らない。
何より、この会社に就職してくれたことを喜んでくれた母に、迷惑はかけたくない。
俺が耐えれば、済むだけの話だ。

作業着を脱ぎ、ネクタイを解き、ワイシャツのボタンを外していく。
卑しく豹変した男は、笑みを浮かべながら一部始終を見ていた。
「まだ残ってるじゃないか。全部、脱げ」
下着一枚を残した俺に、顎で行為を急かす。
どうして、こんなこと。
横暴な態度に唇を噛みながら、最後の一枚を脱ぎ捨てた。


「仕事は半人前以下でも、ここは一人前だな」
目の前に立った男の手が、太腿から上に伸びてくる。
俯き、瞼を閉じて時間をやり過ごそうとしても、指の行先に心が揺さぶられた。
「・・・っく」
乱暴に玉を掴まれる感触で、身体の委縮具合を知る。
極度の緊張が、痛覚までも奪っていくようだった。
「ま、君を気持ち良くしてやる義理は、無いがね」
その手がモノを軽く扱き、亀頭を撫でる。
ただただ、忌まわしいだけの、時間だった。

「仕事は出来なくても、掃除くらいは出来るだろう?」
社長室の隅にある小さなトイレ。
カウンター式の手洗い器と、一体型の洋風便器が置かれているそのスペースに、全裸で立つ。
鏡に映る自分の姿を目に入れない様、ひたすら壁を見ていた。
「今日から君が、ここの掃除当番だ」
後ろから伸びてきた社長の手が、背中を撫で下ろし、尻を叩く。
「給料が貰えることに感謝しながらやるんだぞ?良いな」
「・・・分かり、ました」

空間自体は広くない。
家でも掃除はしているし、作業として考えれば、然程のものでは無かった。
それでも、外から聞こえてくる電話の音に脅え、部屋に入ってくる誰かの気配に息を殺す。
異常な状況の中、絶望感に苛まれながら磨く床に、止めども無く涙が落ちた。


背後の扉が勢い良く開かれる。
「まだやってるのか?」
声の威勢とは裏腹に、男の顔には下劣な笑みが浮かんでいた。
「もう、少しで・・・」
一通り、掃除は終わっていた。
どこまでやれば満足させられるのか、それが分からずに、同じところを何度も磨き直していた。
「要領が悪い奴だ」
トイレの扉の鍵を閉め、男はカウンターに寄りかかる。
局部を隠すように身体の前で組んでいた手が、彼の手で取り払われた。
「前は、半勃ちで掃除していた奴もいたが・・・君は、違うらしいな」
新卒採用は数年ぶり。
鼻で笑う声が、その話はデタラメだったのだと、気付かせてくれた。

男の正面に跪かされた俺の前に、僅かに膨らみかけたモノが差し出される。
「次は、これだ」
背中を冷や汗が流れていく。
年季の入ったそれは、決して大きいとは言えないまでも
性欲を撒き散らすような雰囲気が、心身を強張らせた。
「咥えて頭を振るだけで良いんだ。トイレ掃除より、よっぽど簡単だろ?」

躊躇っていた時間は、ほんの僅かだったと思う。
その些細な猶予すら、与えられなかった。
「いっ・・・」
股間を踏みつける靴の先が、すり潰すように左右に振れた。
「まだ、分からないのか?」
抗えない痛みを与えられた本能は、あらゆる理性を凌駕する。
その時初めて、俺は、男のモノを口に含んだ。

□ 80_命綱★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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