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命綱★(8/9)

はなさない はなさない
おれは きみの きみは おれの いのちづな
いけないこと わるいこと ありえないこと
なんだって かまわない
きみと いっしょに きぼうの あしたを むかえたい

***********************************

広い浴室の小さな椅子に座った俺の前に、彼は跪く。
差し出された手を取り、自分の下半身へと導いた。
「触って、くれる?」
少年の手で愛撫されながら洗われた身体は、既に滾り始めている。
半勃ちのモノに、他人の指が這っていく。
鼻から深い息を吐き出し、その快感を受け止めた。
真っ直ぐに向けられた、悦びを湛える目に吸い込まれるよう、唇を重ねる。

貪るような長い長い口づけが、堪らなく気持ち良い。
彼の方へ、手を伸ばす。
「・・・ん」
眉間に浅い皺を寄せ、彼は喉を鳴らした。
ほぼ垂直に上を向いたモノは痛々しいほどに怒張していて、浮き出た筋が肉感をそそる。
自分の性器を扱く動きに合わせて、擦り上げてみた。
「う、っあ」
瞬間、俺から顔を背けて声を上げる。
その頭を押さえつけ、唇で口を塞いだ。
「んっ・・・ん」
強張った音が身体中に響き渡る。
切なげな目の向こうに、快楽を期待する光が見えた。


絶頂に達するのは、きっと彼が先だろう。
互いの手で互いを慰め合い、指に絡みつく粘液の感触を楽しみながら、そう思っていた。
「もう、イきそう?」
片方の手を俺の肩に置き、膝立ちのままで悶える彼に声を掛ける。
意識が流されているのか、俺のモノを弄る手には力が入っていない。
軽く抱き寄せ、首筋に舌を伸ばす。
震える息が髪の毛を掠めていく。
「先に、イかせてあげる。そしたら、俺のも、して」

首から鎖骨、胸元をゆっくりを舐る。
やがて辿り着いた突起を、舌の先端で弾いた。
「・・・く」
些細な刺激に、彼の身体が大きくうねる。
逃がすまいと、モノを握る手に力を籠めた。
じっくりと乳首を舌で転がし、唇で挟み込んで柔らかく引っ張ると、抑えきれない声が浴室に充満した。
男が堕ちていく様に高揚する自分。
あいつと同じ異常な性癖なのか、男なら誰しもが持つ猟奇的な一面なのか。

身体を抱えたまま、彼を絶頂へと引き上げていく。
「・・・悠」
苦しげに呻く少年の耳元で名前を囁くと、堰を切った様に細切れの喘ぎが飛び出した。
「我慢しなくて、良い」
「ん、ま・・・だ」
細かく首を振りながら、彼の呼吸は段々と激しくなっていく。
「何度でも・・・イかせてやる」
微かに肩がビクつき、僅かに力が抜ける。
俺の言葉を追いかけるように上ずった声が狭い空間に鳴り渡り
少年から吹き出された精液が、俺の胸元に得も言われない感触を残した。


長い間勃起することの無かった部分は、まさに痛みを感じるくらいに膨張している。
足元で俺を見上げた彼が、それを両手で包み、軽くキスをしてから舌を伸ばす。
唾液を纏わせた熱く柔らかい感触が、忘れかけていた快感を与えてくれた。
大きく息を吸った少年は、モノを先端から徐々に咥内へ沈め
両腕を俺の腰に回して、ゆっくりを頭を振り始める。
「・・・っは」
眼が眩みそうなほどの刺激が、髄を駆け抜けていく。
彼の頭にそっと手を添えると、それが合図だと判断したのか、責めの動きは一段と加速する。

その瞬間、声も出なかった。
何かが弾けるような閃光が、意識を飛ばした。
「う・・・っ」
苦しげな声で我に返る。
咄嗟に腰を引こうとした。
けれど彼は、俺の身体を離そうとせずに、全てを口の中に受け止めた。

僅かな残渣まで舐め取り、何回か咳をして、彼は再び俺と視線を合わせる。
「全部、飲んだよ」
俺も、同じことを強要された。
今思い出しても鳥肌が立つほど、おぞましい体験だった。
だからこそ、少年の嬉しそうな顔が、余りにも悲しく見えた。
急に込み上げてきたものを誤魔化すように、細身の身体を抱き締める。
「そんなことまで、しなくていいんだ。これじゃ、俺、あいつと・・・」
唇が震えて言葉にならない。
「あいつ、と、同じじゃ・・・」
「違うよ」
彼の手が俺の頭を静かに撫でる。
「だって、させられたんじゃない。したかったんだ。だから、全然、違うよ」
その一言に、思わず嗚咽が漏れる。
俺は、彼のことを愛おしく思い始めているのだと、痛感していた。


夏休みが終わるまでの間、出来るだけ彼と過ごす時間を作った。
結局、俺は約束通り、彼の記憶を全て書き換えた。
二学期が始まってからも、お互いが住む街を往復しながら、傷痕を舐め合っている。
大人として、道徳から外れたことをしているのかも知れない。
それでも、もう、遅い。
「・・・離さない、ずっと」
「俺も、離さないよ、悠」
互いの命綱を握り締めながら、俺たちは生きていこうと、決めたから。

□ 80_命綱★ □
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コメント

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楽しみにしております

最後にどんでん返しがあるのでは?と楽しみにしております。

振り返れば案外長い道。

いつもならここで終わりにするところなのですが
今回は、どうしても入れておきたいエピソードがあったので
最後に持ってくることにしました。
色んな意味で、オチてくれると良いのですが。

過去文章を読み返して頂いているということで、ありがとうございます。
blogを始めて2年半ほど、大した時間ではないと思っていたものの
振り返ると、随分積み上がってきたなぁと感じます。
正直、これからどの程度続けられるかは自分でも分かりませんが
のんびりとお付き合い頂ければ幸いです。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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