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依拠★(3/9)

「ご奉仕の時間だぞ」
唾液が上手く飲み込めず息苦しい中、頬の辺りに何かが擦りつけられる。
プラスチックでも、シリコンでも無い、柔らかな物体。
「てめぇばっかり気持ち良くなっても、しょうがねぇからな」
その言葉で、何が行われようとしているのかを理解する。
視界を遮る革の向こうの光景が頭を過って、鳥肌が立つようだった。

口の中で膨らみを増していく、見も知らない男のモノ。
頭を押さえつけられたまま、その腰が鼻を潰す勢いで叩き付けられる。
犯される感覚が、寸でのところで踏ん張っていた自尊心を突き落とす。
何故、俺はこんな目に遭っているのか。
理不尽過ぎる時は、一体いつ終わるのか。

醜い喘ぎが段々と荒くなり、絶頂を求める男の動きも激しくなる。
奴が噴き出す快楽の汁と自らの涎が混ざり合い、僅かな隙間から漏れる。
未だ全身を弄る手の感触は、痛みと苦しさで殆ど感じられなかった。
やがて、男は声を絞り出しながらモノを口から抜き取る。
腹の辺りに広がった生温かい液体が、最悪な時間の終結を報せてくれた。


呆然とする意識を醒ましたのは、股間に垂らされた粘液の感触。
指が尻の割れ目に滑り込み、肛門を解すように遊ぶ。
わざと目を背けていた悪夢が、現実のものになろうとしている。
無駄な抵抗の気配に、太腿を押さえる様に回る腕の力が強くなった。
「ケツ振って、どうした?待ち切れないか?」
笑いを噛み殺す男の物であろう指が、穴の中に入り込む。
喉を割るような音が虚しく宙へ放たれた。
「あんまり締めると、痛ぇだけだぞ?」
掻き混ぜられる卑しい音が身体中に沁みて、それが一層、心の傷を深くする。

何かがぶつかり合う軽い音と共に股間に置かれる、複数の小さな物体。
「ほら、ご褒美だ」
その声を合図に、物体が一斉に振動を始める。
付け根辺りから玉の方まで広がる刺激。
萎れ始めていたであろうモノに巻き付けられ、強制的な快感が植えつけられる。
「一本しゃぶったら、一個、入れてやるからな」
混乱の中で機能を失いつつある聴覚が捕らえた声の通り
指が抜かれたそこに、小さな責め具が入り込む。
枯れた喉は、もう音を発しない。
握り締めた拳が、徐々に、解けていく。


犯人は、何人組なのか。
どんな男たちなのか。
己の行動を悔いることに、もはや意味は無く、現実逃避する思考がグルグル回る。
もう、日付は変わったのか。
明日が土曜日で、良かった。
揺るがない時の流れだけが、唯一の希望だった。

口から枷が取り払われたことで、その男が最後であったことを知る。
仕打ちに耐えた痺れる口は、まだ機能してくれているようだった。
しかし、意思とは関係なくのたうつ下半身は解放されない。
「そろそろイきたいか?」
そんな問に答えることも出来ず、ただ、唇を震わせる。
生殺しの術を、彼らは知っている。
何かを求めることが、完全服従の証しになることも。

穴の中に埋まっていた物体が、一個一個抜き取られていく。
瞬間、尾てい骨にその刺激が走る。
「オモチャじゃ物足りないってことか」
顎を掴まれ、肩から上が右へ傾く。
「ん?好きにしてやるって、言ってんだぞ?」
「ブチ込んで欲しいって、ねだったらどうだ?」
「・・・ち、が・・・う」
「もったいないから、オレにくれよ」
穏やかさが欠けた男の声が、遠くに聞こえる。
何度も収縮を繰り返した器官は、誰かの手によって再び屹立する。
先端に触れた柔らかい感触が、脳天まで響いた。
「家畜のチンポしゃぶるって?」
「嫌いじゃないんでね」
裏筋を滑るざらついた物が、遣り切れない官能から助け出そうとしてくれる。
「美味そうなものは、食べたくなる性質なんだよ」

咥え込まれたモノに与えられる快感が、暗いはずの視界に火花を散らせる。
「う、あ・・・っ」
一気に押し寄せる波に飲み込まれるよう、男の口に全てを委ねる。
程なく迎えた絶頂と、恐ろしいほどの脱力感。
半開きになった口元に、得も言われない液体が吐き出される。
「飲んで」
流し込まれる青臭い、自分の精液。
触れ合う唇の優しい感触と真逆の仕打ちに、絶望はいよいよ深まった。


抱えられるように連れ込まれたのは、風呂場だった。
温度の上がりきらない冷たい水が、乱暴に降り注ぐ。
久方ぶりに開けた視界に入ってくるのは、その壁と、男の足。
所業の跡と共に流れていく水を、座り込んだまま、ただ眺めていた。

ボロ雑巾のようなバスタオルと数枚の万札を放り投げ、茶髪の男は何処かへ消える。
床に散乱する、自分の衣服と所持品。
言うことの聞かない身体を引き摺り、最低限の身だしなみだけを整える。
手の付けられていない財布を確認して、這うように、その場を離れた。

□ 62_依拠★ □
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コメント

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どこまでも深まりゆく物語

とりあえず、解放されたんでしょうか?
僅か数万円のはした金で、とんでもない仕打ちを受けましたが…。あっさり解放されるのか、どうか…。
益々、先の不透明感が増します。

お仕事がお忙しそうですが、美味しいモンでも食べて頑張ってくださいね!
私、先日、中華料理のコースを食べましたが、店の人の知り合いの方と一緒だった為にサービスされたようで、未だかつて食べた事の無い程の多数の品数で、満腹過ぎでした(笑)。

続く悪夢。

恐らく、この淀んだ空気はしばらく晴れません。
一夜の悪夢は醒めても、解放されることはなさそうです。

最近は、目が回る様な多忙な日々です。
3月末までは、こんな生活が続きそうで憂鬱ですが
何とか文を綴る時間だけは確保して行きたいと思います。
中華、良いですね…一段落したら奮発したいです。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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