Blog TOP


依拠★(8/9)

後で組まされた手首にかけられる手枷。
膝立ちの足首を繋ぐ足枷。
緩めに着けられた首輪から伸びる鎖が、その足枷の鎖に絡められ、上半身が仰け反る。
「苦しい?」
「い・・・え」
背筋に力を入れていないと、軽く首が締まり、上手く声が出ない。
頭の動きと視線で、砕けた声を補った。


無防備な胸元を弄る二つの手。
彼の身体に寄りかかるよう、その動きに全てを預ける。
腰回りから脇腹を通って肩まで上がって来た手は、昂ぶりを表しているであろう場所を撫でる。
喉から押し出た小さな音を合図に、指が突起を弾く。
捩れる身体は鎖に阻まれ、なされるがまま快感に流される。
摘ままれ、捻り上げられる乳首が、狭い気道を通る吐息に声を纏わせた。

喉仏の下に納まる首輪の金具に、細い鎖が取り付けられる。
鎖の先に付いているのは小さ目のクリップ。
柔らかく弄られ、突き出した部分が挟み込まれた。
「・・・う」
短めの鎖は双方の乳首を乱暴に引っ張り上げ、痛みが肩周りに広がっていく。
「少し、我慢して」
耳に唇を寄せながら囁く彼は、首と足とを繋ぐ鎖に手をかける。
徐々に後ろ側にしなる上半身。
頭が上向き、視界に天井が入り込んでくる程に、辛苦が加速する。
虐待されている部分から発せられる甲高い悲鳴が、呻き声となって空間に響いた。

今にもバランスを崩しそうな身体は、彼の肩に置かれた頭を支点として、何とか保たれていた。
当所も無く揺らす指に感じられたのは、ピンと張った鎖と、彼の微かな昂ぶりの様子。
触れてはいけない様な気がして、思わず手を閉じる。
その気配に気が付いたのであろう彼は、汗が滲むこめかみに舌を伸ばし、呟いた。
「・・・触ってて」
俺の身体をじわじわと甚振りながら、けれども穏やかさを残した声。
激しい痛みの中で再び指を伸ばし、やがて捉えた部分に、不自由な愛撫を施していく。

首筋を滑る、あまりにも柔らかな感触。
大きな筆の様な刷毛が、身体を妙な感覚に陥れる。
千切れそうなほどに引っ張り上げられている場所を、毛の束がゆっくり回る。
痛みが和らぐ訳じゃ無い。
却って、責め苦で敏感になった部分には、細かな毛が鮮やかな刺激をもたらしてくる。
何処に入り込む余地があったのだろうと思う程、頭の中に官能が混ざり込む。
「う・・・は、ぁ」
潰れた声が、彼と、俺の鼓膜を揺らす。
それは、この状況を受け入れる覚悟が出来たという印に、他ならなかった。


額に滲んだ汗が耳の方へ流れていく。
腹の辺りを撫でていた彼の手は、ゆっくりと下半身へ近づき
探り当てたかのように、膨張を始めている器官の縁を指でなぞる。
俺の視界の中の彼は殆ど表情を変えず、執拗に、優しく、身体に快感を擦り込んでいた。
不意に動きを止めた指が、俺の唇を撫でる。
「しゃぶって」
そういう声が聞こえると同時に、半開きの口の中に二本の指が入ってくる。
「・・・ん」
言われた通り、指に舌を絡めた。
息苦しい声を上げながら咥える様子を見る彼は、眼鏡の奥の目を細め、満足げな表情を浮かべた。

もう片方の手が下着の中に入り込む。
直接感じる、熱い彼の手。
無意識に腰を引くと、上半身に痛みと快楽が走った。
逃げ場の無い中で、彼から与えられる仕打ちに耐える。
程なく、口から出て行った唾液に塗れた指が、モノの先端に粘つく感触を残す。
「うあ・・・」
単純すぎる刺激が、身体中を駆けていく。
下ろされる布が引き摺る些細な抵抗心など、ひとたまりも無かった。


身体を歪めていた鎖の力が緩み、苦しさから解放された吐息が漏れる。
枷を外された足は立てない程に痺れていて、後ろに倒れそうになる身体を彼が支えてくれた。
ベッドに仰向けになった俺の視界に、笑みを浮かべた彼の顔が入り込む。
重なる唇の感触が、信じられない程に心地良い。
胸元へ下がっていく顔から、虐げられ続けた乳首を慰めるように舌が覗く。
柔らかい快感に混ざる、歯痒い想い。
肩を捩りながら、俺は、あの痛ましい刺激に囚われてしまったのだと実感していた。

身体を裏返され、腰を突き上げるように膝を折り曲げる。
唯一自由を奪われたままの手を背中に組み、肩で身体を支え、顔をベッドに埋めた。
尻に垂らされる粘液が太腿を伝って流れていく。
指が割れ目に沿って上下し、得も言われない感触が音と共に広がる。
腰に軽く手が添えられ、間もなく侵入してくる指に押し出された揺らぐ息が、シーツに沁みた。

裂けるような痛みが、じっくりと解される。
身体の奥の性感帯を弄ぶ彼の指は徐々に動きを激しくしていく。
「・・・感じる?」
僅かに上ずった声が聞こえる。
その問い掛けに、身体の昂ぶりは更に増す。
答を声に出来ないまま、行為を受け入れ続けた。

体内に入り込んでくる何か。
「力、抜いて」
意識しないように、と思っても、無意識に生じる侵入物への抗い。
中で躊躇いがちに捻じられていた物体が、一気に奥まで差し込まれた。
歯を食いしばる程に身体は強張る。
玩具を押さえつける革のベルトが腰を回り、苦しさからの逃げ道は断たれた。
大丈夫、耐えられる。
閉じた眼の端に滲む涙が、汗と共に流れて行った。

□ 62_依拠★ □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■   ■ 7 ■
■ 8 ■   ■ 9 ■
>>> 小説一覧 <<<

コメント

非公開コメント

狩猟本能?

筆のような刷毛!やっぱり、筆を使うプレイってあるんですねww。
クリップは想像するだけで痛そう!藤枝と住吉はガッツリ、「二人の世界」に没頭中ですね。

ところで、付き合う前の「恋の駆け引き」って、実際にされると心理的にキツイですね。連日電話がかかって来て、パッタリかかって来なくなったら、不安になる…相手を自分にオトす為に男性が使う作戦なんでしょうか?男性には狩猟本能がありますから、的を絞ってオトシにかかるのが楽しいのかしらん?私には、イマイチその当たりの心理が分かりません…。

ところで、私もお酒はあまり強くないですよ。なので、チャンポンはちょっとキツかったです。さすがに、もうすっかりアルコールは抜けましたので、気分爽快です(笑)。

太公望の楽しみ。

筆を使ったプレイは前から書いてみたいと思ってはいたのですが
いざ書いてみると、あまりに繊細な刺激を書き切れないという
もどかしさが残ってしまい、少し消化不良気味です…。

語弊があるかと思いますが、恋愛は釣りと似ているところがある様な気がします。
餌を浮き沈みさせながら、魚をおびき寄せるスリル。
餌に食いついた魚を、如何に逃げられないように手繰り寄せるかの駆け引き。
男女問わず、手練れた方はそれも含めて恋愛を楽しむのかも知れません。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

*** Link Free ***



>> 避難所@livedoor
Novels List
※★が付く小説はR18となります。

>>更新履歴・小説一覧<<

New Entries
Ranking / Link
FC2 Blog Ranking

にほんブログ村[BL・GL・TL]

駄文同盟

Open Sesame![R18]

B-LOVERs★LINK

SindBad Bookmarks[R18]

GAY ART NAVIGATION[R18]

[Special Thanks]

使える写真ギャラリーSothei

仙臺写眞館

Comments
Search
QR Code
QR