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羨慕★(6/8)

言い訳をする猶予を、彼は与えてくれなかった。
Tシャツの下で未だ熱を帯びている身体を、彼の冷えた手が静かにまさぐっていく。
唇が首筋を這い、頬をくすぐる。
豪奢な装飾のイヤリングが、うなじを小さく刺激した。
呼ばれるように振り向き、唇を重ね合わせる。
狭い隙間から入り込む舌が口を押し広げ、吐息が漏れた。

彼の両手に包み込まれた顔は、視線を外すことを許されない。
「どんなこと考えて、扱いてたの?」
真っ直ぐ向けられる彼の眼差しを受け止めながら、尚、俺は言葉を発することが出来なかった。
「私のこと?それとも・・・」
その表情が、まるで俺の心を見透かすように、微かに変化を見せる。
「他の男の、醜い顔?」

安心しきっていたのかも知れない。
彼から与えられる愛が、全てを赦してくれると思い込んでいた。
身勝手な寂しさに責任を転嫁して、偽りの姿を見せていたのは俺の方だ。
「こんな感じなのね」
寂しげな呟きが、耳に響く。
「狂うほどの、嫉妬って」
俺が持つ卑しい感情は、当然、彼も同じように持っている。
それが、どうして、分からなかったんだろう。


椅子に座る俺の腰周りから、ベルトが引き抜かれる。
「腕、後ろに回して」
「え?」
ベルトを手にしたまま傍らに立つ彼は、口元に笑みを湛えながら言い放つ。
「私の言うこと、聞けないの?」

手首に革が食い込む感触。
格子状になった背もたれに絡ませながら縛られた手が、身体ばかりか心まで拘束する。
「どう・・・した、の?」
背後に立った彼は、何も言わず、前屈みの姿勢で俺の身体に腕を回す。
Tシャツがたくし上げられ、上半身が露わになる。
腹から上へと滑る掌の熱が、強張る身体を少しずつ解していくのに反し
肩に軽く乗せられた彼の顔の重みが、緊張の糸を張り詰めさせる。

二本の指が、過敏に反応し始めていた乳首を弾く。
荒い息が鼻から漏れるのを、止められなかった。
「ホントに、感じやすいんだから」
楽しげな呟きに、身体が昂る。
周りを擦りながら、時折爪で引っ掻くような刺激を与えられ、肩が小さく揺れた。
残酷な指が一時離れ、俺の唇を撫でる。
抵抗を試みることも無く、その指に舌を絡めた。
唾液の筋を引き摺る指が、異質な刺激を持って、突起を責める。
身を捩るほどに、快楽が脳に沁みていく。

粘液を絡められた両方の乳首が、柔らかく摘まれる。
得も言われない感触が、喉を震わせた。
「こんなに硬くして・・・苛めて欲しいって、言ってるみたい」
耳元の囁きが、更なる快感を求める部分を昂らせる。
不意に俺から離れた彼は、目の前にささやかな金属の飾りを揺らした。
「そん、な・・・」
思わず息を飲む。
「これで挟んだら、もっと可愛い顔、見せてくれる?」
冷たい金具の感触が、乳首の周りを回る。
刺激を待ち侘びる気持ちと、それに抗う気持ち。
うな垂れて首を振る仕草が、何の意味も持たないことを、彼の手の動きで悟った。

小さなネジが締め付けられていく度に、呻き声が唇を振るわせる。
やがて双方の胸に下げられたイヤリングが、彼の指によって小さな金属音を立てた。
「気持ち良い?」
激しい痛みに混ざる快感に囚われる身体。
そんな異常な性癖を認めるのが、怖い。
「私の前では、素直になって」
引っ張られた乳首の痛みが、背中まで突き抜ける。
「ん、っう」
声が漏れると共に、心が崩れていく。
「堪らないんでしょ?」
火照っていく身体を抑えられないまま、俺は、縦に首を振った。


身悶える俺に視線を送りながら、彼はテーブルに置かれた包みに手を伸ばす。
黒い箱にかけられた銀色のリボンを解き、中を確かめた彼は、不敵な笑みを浮かべた。
「これくれる人ね、いっつも、いやらしいこと言って、私を困らせるのよ」
汗で滲んだ視界の向こうに、何かを持つ彼が映る。
「プレゼントも捨ててたけど・・・今日は、貴方を悦ばせてあげられるわね」

□ 48_羨慕★ □
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類人猿にも色々

同じ類人猿でもゴリラやオランウータンは一夫一婦制なのに、チンパンジーはハーレム型。
で、人間も本来はチンパンジーと同じハーレム型。其れを道徳的倫理観で、無理矢理ゴリラ型に縛っているが、本能の力は根強い!蝶々が花から花へ飛び回るのを羨望の眼差しで眺めるのが、人間ですね(笑)。
なので、アフリカや中東諸国で、宗教上もハーレム型を認めているのは、科学的に見れば合理的なんですよ。ちょっと、ビックリしますけど…。
そして、倫理観の縛りがキツい保守的な人程、背徳に陥ると脱け出すのが大変な気がします。

理解できない恋愛事情。

一夫多妻、一妻多夫。
確かに、文化や宗教によって様々な形式を持つ地域がありますが
種の継続と言う点からすれば、より優秀な子孫を残す為の合理的なシステムなんでしょう。

そう考えた時、その文化における恋愛はどう言うものなんだろうと疑問に思います。
一対一の関係だからこそ、独占欲が生まれ、嫉妬が生まれる。
私が考える恋愛に不可欠な要素は、一対多では有り得ないものになってしまいます。
理解出来ないんだろうと思いつつ、興味も湧いて来ますね。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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