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羨慕★(8/8)

閉じられた脚を跨ぐよう、彼は俺の目の前に立つ。
玩具が刺さったままのアナルが締め付けられ、異物感がより増していく。
絶頂を迎えることを禁じられたモノは、小さな痙攣を繰り返し、更なる被虐を待ち侘びる。
彼の興奮は、ミニスカートを押し上げる膨らみで、明らかだった。
自ら服をたくし上げた彼は、網タイツと小さな下着の中に納められているモノを見せ付けてくる。
彼の指で、ピリピリと小さな音を立てながら引き裂かれていく網目。
昂りを確かめるよう、下着の上から手を添えた彼は、俺を見下ろしながら呟いた。
「他の男の穴に入れたモノ、貴方は咥えられる?」

何も言えなかった。
彼が他の男とセックスをする光景が、頭の中を占拠する。
俺が知らない快楽に溺れる彼。
視界が霞むほどの熱が、身体中を駆ける。
これが、狂うほどの、嫉妬。

眼前ではちきれそうになっている物体に、顔を近づける。
唇で下着から引きずり出し、舌で舐っていく。
根元から刷り上げる様に唇を滑らせ、先端を軽く甘噛みすると、彼の腰が少し引けた。
見上げた先には、潤む瞳で俺を見つめる彼の顔。
「・・・出来る」
彼の言葉を待たず、いきり立ったモノに視線を戻す。
快楽を刻み付けるよう、じっくりと、舌を這わせた。

彼の味が沁みて来る頃、その手が俺の頭を掴む。
「あの子、凄く、悦んでくれたのよ」
信じたくない言葉に、俺は初めて彼の行為に抵抗した。
頭を激しく動かし、手を振り解こうと試みる。
けれど、両手で押さえつけられた顔に腰が打ち付けられ、モノが喉の奥を圧迫した。
苦痛を訴える呻き声が堰き止められ、喉仏を震えさせる。
悔しさで、辛さで、視界が滲む。
上半身が引っ張られ、自由を奪うベルトが手に食い込んでいく。
乳首に下げられたイヤリングが、チャラチャラと音を立てながら揺れる。
彼の激しい息遣いが降り注ぐ中、屈辱に支配された心が、少しずつ壊れていくようだった。

「んっ・・・」
短い声のすぐ後で口から抜き去られたモノから、精液が噴き出される。
白い液体が視界を奪い、顔に生暖かい感触を残していく。
彼は、頬を流れ落ちていく自らの精液を指で拭い、俺の唇に塗りつける。
鼓動を鎮める暇も与えられないまま、口の中に差し込まれた指に付いた液体を舐め取った。
「美味しい?」
霞んだ視界の中に、寂しげな彼の表情が歪む。
その問に小さく頷いた俺は、彼の目にどう映っていたんだろうか。
「バカね・・・こんなことしたって、お互い傷つくだけなのに」
自分を落ち着かせるように呟いた彼の一言が、壊れかけた心を掬い取る。


充血した乳首を、彼の舌が癒すように包む。
シャワーが降り注ぐバスルームの中で、彼は俺の身体を柔らかく愛撫していく。
激昂に駆られるがまま与えられた刺激の余韻を、その指と舌が消し去る。
「痛かった?」
「・・・ちょっと」
「でも、気持ち良かった?」
そっとモノに添えられた手が、静かに動き出す。
「・・・ん」
濡れそぼった唇が重なり、舌が縺れ合った。
「ホントに、いやらしくて、可愛い」

彼の口の中で、モノが心地良い快感に包まれる。
淫らに動く舌が、改めて彼の想いを伝えてくれるようだった。
「う・・・あ」
「ここ、好き?」
筋が立った裏の部分を、彼の唇が挟むように刺激する。
「す、き・・・」
ぬるつく先端を親指で擦りながら、しつこいくらいの愛撫が続く。

焦らされた身体は素直で、果てるまでの猶予はあまり無かった。
早すぎる絶頂に煮え切らない俺の心情を、彼は分かっていたのだろう。
「そんな顔しないの。何度でも、してあげるから」
優しい言葉に、つい感情が込み上げた。
「もっと、一緒に、いたい」
「一緒にいられれば、もう、あんなこと、しない?」
情け無い気持ちを押し込むよう、大きく息を吐く。
「寂しかったんだ。好き過ぎて、堪らなくて・・・何かで、埋めなきゃ、耐えられなかった」
垂れ下がった前髪を掻き揚げる手が首に回り、そのまま身体を引き寄せられる。
「全く・・・我が侭なんだから」


リビングの片隅に置かれたゴミ箱の中に、見慣れない煙草の箱。
拾い上げると、中には殆どの煙草が残されたままだった。
他の男の気配。
落ち着いた気分が、急に乱される。
彼が羽織ったバスローブの生地の感触が、背中に纏わりつく。
「私が他の男とセックスしたって、本当に思ってる?」
「・・・え?」
背後から、彼の手が箱を取り上げる。
「大人気ないわね、私。こんな真似して」
「違う、の?」
「もう、貴方とじゃなきゃ、イけないもの。私の身体」
耳元で囁かれる言葉が、身体を火照らせる。
「匠くんの身体も、同じようにしてあげる。それまで・・・離さない」


お帰り、おやすみ。
おはよう、いってらっしゃい。
一日の中で顔を合わせる時間は、ほんの一瞬。
それでも、彼の身体を抱き締め、唇を重ね合わせるだけで幸せだった。
誰も出迎えることの無い真っ暗な部屋に帰っても、部屋を満たす彼の気配で気持ちが昂る。
俺は、彼のもの。
そして、彼は、俺のもの。
影に潜む浅ましい感情に支えられながら、俺は、彼のいないベッドで朝を待ち侘びる。

□ 48_羨慕★ □
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覚悟の素っぴん

女が男と一緒に暮らすという事は、平気で素っぴんを曝すという事。
白日に化粧を落とした顔というのは、いくら美人でも、普通、他人には見せませんから、家族扱いになっているわけです。
恵の方が匠より一層覚悟して同棲してますよ、匠は気付かないでしょうが…。
朝、歓楽街を通った時、偶然にゴミ出しをしているクラブのママさんらしき人を見た事があります。
派手な豹柄の上着とお揃いのズボン!フッと顔を上げられたその顔を見て、ビックリ!俳優の大/泉/ 洋さんにソックリ(笑)。素顔のゲイバーのママさんでした。ネオンの灯る頃には、どんなにか妖艶に化けるんでしょう。

棲むこと。

"棲む"と言うのは、その昔、夫が妻の元に通っていたことを指す言葉なのだそうです。
木へんに妻。
受け入れるのは、いつの世も女性、と言うことなんでしょうか。

この話は、今までの中でも相当な時間をかけてしまいました。
あくまで男性同士の話なんだと自分に言い聞かせるのが大変で
試行錯誤を繰り返しながら、何とか書き終えた感じです。
自分の文章の表現力の限界を感じた一本になりました。
もっと、精進が必要ですね…。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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