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奪取★(4/6)

緊張と恐怖で、感覚は大分鈍っていた。
言われた言葉も、唇の感触も、上手く認識できない。
唇を重ねた時間は、それほど長くは無かった。
渋谷はオレから離れると、肩を掴んで、身体を裏返そうとする。
「四つん這いになって下さい」
何をするつもりなのか、容易に想像がついた。
怖気づいたオレの顔を見て、ヤツは微笑む。
「いきなり犯したりしませんよ?」
「どうする、つもりなんだ」
「良いから、言う通りにして下さい」
ヤツの手には、相変わらず笑顔とは程遠い物が握られている。
まさに、何とかに刃物、だ。

縛られた両手を前に差し出すように投げ出し、渋谷にケツを向けるような格好になる。
ヤツは足の上にまたがり、腰を下半身に押し付けてきた。
モノの感触が尾てい骨の辺りに感じられて、酷く不快だった。
ワイシャツがズボンから引き出され、その下から手が入ってくる。
片方の手は、ベルトを外し、ズボンを引き下ろしにかかる。
犯されるくらいなら、まだ良い。
オレはこいつに、殺されるのかも知れない。
そんな恐怖が、震えや油汗となって表れる。
「あんまり怖がらないで下さいよ」
ズボンが太ももの下まで下げられ、露わになった腰を唇でなぞりながら、ヤツは言う。
「別に、取って食おうって訳じゃないんですから」

下着の上から股間を探る手が、モノに触れる。
遂にか、そんな思いに駆られる。
「渋谷・・・」
「何ですか?」
やめてくれ、そう言おうと考えながらも、言葉が続かない。
今更何を言っても、無駄なんだろうと言う絶望にも似た気持ちが、覆い被さる。
不意に腰骨を舌が這い、思わず身体がびくついた。
「頑なになられると、逆に興奮しちゃうんですよね」
手は腹筋やあばら骨に沿って動き、やがて乳首を捕らえる。
力の加減を知らないかのように思い切り摘み上げられ、食いしばった歯の間から悲鳴が漏れる。

片方の手は下着の中に入り、直接モノを弄ってくる。
勢い良く扱かれたと思えば、先端をゆっくりと撫で、玉を柔らかく握る。
頭の中でどんなに不快だと思っていても、その刺激を抑制することは出来なかった。
両腕で頭を抱えるように、必死に堪えた。
その時、ネクタイを引っ張られ、上半身が無理矢理起こされる。
気道を圧迫され、息が出来ない。
ふっ、と首を絞められる力が弱まった。
オレの顔のすぐ側に、ヤツの顔がある。
「目が虚ろになってますよ」
耳元で囁かれ、背筋がゾクゾクする。
そのまま耳たぶを甘噛みし、うなじの辺りを愛撫して来た。
「頭では抵抗しても、身体はこんなになっちゃうんだから、男って単純ですよね」
僅かに濡れてきた先端を、親指で執拗に撫で回す。
息を大きく吐き出す度に、肩の辺りが小さく震える。
こんな状況で快感に飲まれている自分の身体が、心底情けなかった。


ドアの近くに落ちた懐中電灯は、オレたちの後ろから光を照らし、薄汚れた壁に大きな影を映す。
自分が何をされているのか、否が応にも目に入ってくる。
上半身を起こし、膝立ちの状態で、後ろから後輩にモノを扱かれる。
ワイシャツの下では、乳首が弾かれ、摘まれ、弄ばれている。
競りあがってくる快感を、首を振って紛らわそうとした。
「もう、イキそうなんですか?」
手の動きがゆっくりになり、身体の緊張が解ける。
口元が震え、声が出ない。
頬に手がかかり、後ろを向けさせられる。
渋谷の舌がオレの唇を捉え、その間に割り込んで来る。
歯の上をゆっくりと舌が動く。
奇妙な感覚だった。
舌は、まるで噛まれる事を警戒するように、口の中には入ってこない。
唾液が混ざり合う音だけが、部屋に響く。

手が、おもむろに動き出す。
突然の刺激に、声が出た。
興奮を隠し切れないヤツの目が、愉快そうに細くなる。
「水野さんのイキ顔、見せて下さい」
抱きしめるように肩を抱かれ、激しく動く手が、絶頂へ導いていく。
耐え切れず、目を閉じ、唇を噛み締める。
ヤツの腕の中で身体を震わせ、オレはイった。

背中を押され、上半身は再び床に伏す。
快感の余韻で呆然としながら、肩で息をする。
腰の辺りに、ヤツの興奮したモノを感じた。
恐怖と屈辱が入り混じり、鳥肌が立つ。
「もう、いいだろう・・・?」
ヤツはオレの下着をずり下ろし、尻を撫で、軽く叩いてくる。
「水野さんが変になるまで、続けてあげますよ」
そう言って、歯を見せて笑う。
恐ろしさで、顔が歪んだ。
ヤツの笑顔は、ドライバー以上の凶器に思えた。

□ 12_奪取★ □   
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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