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奪取★(6/6)

有り得ない物が半分以上入り込んだ状態で、手は、再び上半身へ移動する。
腹筋の辺りを引っ掻くように、爪を立てながらまさぐり
まるで指を求めるように硬くなってしまっている乳首を捕らえる。
裏返った声が出た。
「やっぱり、ここが好きなんですね」
指は、さっきの動きとは違い、微かに先を触るだけだった。
ゆっくりと撫でるように動く指は、オレの焦燥感を募らせる。
「・・・っと」
「何ですか?」
「もっと・・・」
「もっと?」
次の一言が、出て来なかった。
快感を求めているのに、すんでのところで理性が邪魔をする。
「ちゃんと言ってくれなきゃ、分からないなぁ」
オレが求めていることを分かっていながら、意地悪い声で言う。
「・・・さっき、みたいに」
声が震えた。
「こんな風に?」
両方の乳首が摘まれる。
恐怖の対象は、降って来る刺激に変わる。
「いっ・・・」
「嫌じゃないでしょう?」
親指が、絞り上げるように動いているのが見えた。
「もっとって言ったのは、水野さんですよ?」
喘ぐ声が我慢できなかった。
「やらしい声」
乳首を虐めながら、囁く。
「もっと聞かせて下さい」
オレはもう、おかしくなりかけている、そう思った。

しばらく前までは思いも寄らなかった性感帯を責められ、思考は快感に支配される。
何度と無く求められるキスにも、抵抗無く応じられるようになっていた。
不意にヤツの手の動きが止まり、右側の手足がネクタイの束縛から解かれて
そのまま、オレの手は股間へ促される。
「自分で、出し入れしてみて下さい」
メモリの先端に手を添えさせられる。
ずっと縛られていたせいか、上手く手に力が入らない。
ヤツの手は、またオレの弱点を弄り始める。
刺激に打ち震えながら、ゆっくりと、物を動かしてみた。

どう動かしても、なかなか快感は得られない。
恥辱にまみれながら、動きを早くしたり、捻りを加えてみたりしても
求めているような刺激は感じられなかった。
短いからなのか、細いからなのか、焦らされている感覚が増してくる。
「そんなに激しく動かして・・・気持ち良いんですか?」
下半身を眺めながら、指の動きを止める事無く、ヤツは笑いかける。
「今度は、僕のモノで気持ち良くしてあげますね」
口に挿入された時の感覚が蘇る。
あれが自分の中に入ってくることを想像して昂りを覚える自分に、もう違和感は無かった。

機械的に物を出し入れする手を、ヤツの手が制止する。
「やっぱり、それじゃイけないみたいですから」
そう言って、手でモノを掴ませた。
「自分で扱いて、イっていいですよ」
おずおずと自分のモノを握る。
それだけでも、イってしまいそうだった。
ゆっくりと手を動かすと、快感が下半身から首筋まで、一気に駆け上る。
「も、う・・・」
声を上げると、突然唇を奪われる。
その瞬間、オレは果てた。
精液が流れる感覚が、手を纏う。
激しい虚脱感に襲われ、ヤツにもたれかかる。
ヤツは満足そうな笑顔で、髪をかき上げるように額を撫でてきた。


しばらくの間、ヤツに身体を預けていると、こう尋ねられた。
「今度は、素直に咥えてくれますか?」
後ろに座るヤツのモノが、再び興奮していることに気が付く。
片方の手足からも、ネクタイが解かれる。
オレはヤツの前に跪き、大きくなったモノを手に取った。
見よう見まねで口に含み、自分がされる時のことを想像して、舌を滑らせる。
先端を舐めると、ヤツは小さく声を上げた。
「下の方も・・・」
昂揚した声でねだられるにつれ、オレの動きも大きくなっていく。

他人のモノをじっくりと見るような機会は今まで無かったから
ヤツのモノが大きいのかどうかはよく分からない。
けれど、オレの口の中で膨張して行くそれは、相当な圧迫感を与えてきて
さっきの事もあり、段々痛みが増してくる。
「もっと、奥まで・・・咥えて」
オレの頭を撫でながら、そう懇願してくる声を聞き、何かが突き動かされた。
喉の奥で締め付けるように、ヤツのモノに刺激を与える。
甲高い喘ぎ声と共に口の中に広がる、初めての味覚。
全てのことが、嘘のような、現実だった。

その時間も、長くは続かなかった。
「中に、出します、よ」
抑えた声を上げると、精液が口の中に充満してくる。
不味い液体が喉の奥まで入り込み、思わず吐き出してしまう。
咳をしても、喉に張り付いた感覚は、なかなか消えなかった。
それでも、気持ちの何処かで満足感が沸き上がる。
ヤツは優しくオレの頭を撫でた。
「良く、出来ました」
そう言って、見上げるオレの額に、そっとキスをする。

恐怖で支配されていたはずの感情は、何処へ行ったのか。
快楽の波に飲まれ、オレは、身も、心も、ヤツに奪い取られてしまったのだろうか。
微笑むヤツの表情には、満足感と達成感。
あの時、目に宿っていた狂乱の光は、今のオレには見えなかった。

□ 12_奪取★ □   
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No title

突然ですみません!結婚して下さい!!

・・・ごめんなさい。興奮がおさまんなくて変なことを言ってしまいました・・・
奪取★はもろ私の好み。ドSの私は(まさかのカミングアウトww)「もっと水野サンを虐めてくれ渋谷!!!」とか思ってみたり・・・。
嫌がってるのに・・・とかたまんないです!!!
長ったらしい文ですみません。
最後に、これからも一ファンとして応援してます!

軽蔑する楽しみ。

率直なご感想、ありがとうございます。
私自身はSとM、いずれかに激しく振れることは無いので
する側、される側、それぞれの感情をひたすら妄想しながら書いています。
あっさり受け入れてしまうシチュエーションを書くこともあるのですが
サディズムの一端には、嫌がりながら堕ちていく相手を見て軽蔑する楽しみもあるんだろうと
貴女の感想を見て、一つ引き出しが開いたような気がします。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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