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確信★(5/7)

手首に刻まれた、赤い跡。
自由になった彼の手は、自らの身体を慰め出す。
「見てて、欲しいんだ」
ベッドのヘッドボードに寄りかかるよう座った彼は、俺の隣でそう言った。

彼の肩に腕を回し、抱えるように身を預けさせる。
乱れた格好のまま、自らのいきり立ったモノを扱く彼を見ていた。
首筋に汗を滲ませ、激しく息を吐きながら快楽に溺れる表情が、堪らない。
はだけたワイシャツの中に手を入れ、硬くなった突起をそっと擦ると
吐息に微かな声を混ぜながら、潤んだ目がこちらに向いた。
「どう、する?」
「・・・弄って」
「弄って下さい、でしょ?」
思わず口をついて出た言葉に、彼は一瞬怯んだような目を見せた。
揺らぐ息を整えるよう、その目を閉じる。
再び開かれた目は、何かの虜になったような光を帯びていた。
「弄って、下さい」

躊躇いの網が、徐々に解れて行くようだった。
「は・・・あっ」
耳元で繰り返される卑猥な溜め息。
指に力を入れるほど、その声は大きくなる。
「もっと、聞かせて」
そう囁くと、加える力とは無関係に、彼のタガが外れていく。

ひたすらに動く手の動きを制し、指を絡めるように握り締めた。
先端から滲み出た液体が纏わりついた手は、得も言われない感触だった。
半開きの唇が、焦燥感に震える。
指の中にある乳首を引っ張りあげると、同調するようにモノがピクリと反応する。
「もう、イきたい?」
「イかせて・・・下さい」
「まだ、ダメだよ」
握った手を、彼の胸元へ持っていく。
「自分で、摘んでみて」
ほどけた指が、戸惑いながら自らの突起を摘み上げる。
その上から手を添え、動きを促していく。
「一人の時も、そんな風にするの?」
「・・・は、い」
「俺に、されてるの、想像して?」
手に力を込める。
深く息を吐く彼は、うな垂れながら、大きく頷いた。
複雑な喜びが、心を揺り動かす。
「じゃあ、これから、もっとたくさん、虐めてあげる」

頭をもたげたモノに、手を伸ばす。
濡れそぼった先端を親指で撫でた後、下着の中に隠れた玉を軽く握る。
「手、縛られて、ベルトで叩かれて、興奮するんだ?」
「は、い・・・」
二つを交互に、軽く潰すように弄ると、切なげな表情が深くなる。
「こんなところまでガマン汁垂らして、イツキは変態だね」
自らを虐げる言葉に、彼の身体は俄かに強張っていく。
モノを静かに扱くと、上半身が少しずつ前傾姿勢になる。
「こんな・・・こんな、オレ、は、嫌い・・・ですか?」
息絶え絶えの問に、身体が熱くなる。
腫れ上がるほどに乳首を虐める彼の手を、モノに促した。
「大好きだよ。だから、イツキがおかしくなるところ、俺に見せて」


彼の性癖は、俺と出会うずっと前に、他の誰かによって目覚めさせられたらしい。
身体を虐げるほど、それが自分ではないことに、嫉妬の念を抱くようになっていく。
知らない男に付けられた傷の疼きを、俺は晴らしているだけなのかも知れない。
そう思う度に、深く深く、彼を傷つけたいと言う衝動に駆られる。
これは、本当に、愛なんだろうか。


秋も深まった、ある夜。
遅れてついた彼との待ち合わせ場所には、彼ともう一人、中年の男が立っていた。
小松と名乗るその男を、彼は昔の知り合いだとしか言わなかった。
「裕俊は大学の後輩で、時々飲みに行ってるんです」
「樹君は、酒飲むからね」
「僕に付き合ってくれるのは、彼くらいしかいなかったもんで」
都合良く後輩にされた俺は、二人の間に流れる空気を、何処と無く居た堪れない気分で見る。

「じゃ、また、その内」
5分ほどの立ち話の後、男はそう言って去っていく。
不意に振り返った彼の視線は、俺に向いていたようだった。
何か含みを持たせたその笑みが、しばらく、心に引っかかっていた。

□ 42_確信★ □
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支配欲の引き出し方

犬に餌をやる時には、黙ってやってはいけない。なので、我が家の小型犬も「お座り・待て」をさせてから餌を食べる許可を出します。
ところが、息子が帰省する度に犬の躾がなってないとダメ出し。息子自ら躾直します。実は、夫も犬の躾が悪いと日頃から立腹していますが、ウチの犬は無駄吠えも全く無いし、私や娘からするとちゃんとしているようにしか見えないので、夫や息子が何を怒っているのかわからないんです。男性の方が調教が徹底的なんじゃないか!?と思います。そして、どう考えてもウチの男性陣はワンコを狂愛(笑)してますね。
以前、テレビでみたのですが、結婚相手に望む条件として、女性は男性に対し年収・身長など具体的なのに対し、男性が女性に希望するのは「素直」「可愛い」「従順」など数字で表せない漠然としている項目が多いそうです。これは言い換えれば、自分の好みの色に染める=支配欲が強いんでは?
M気質の男性は自分も男だから、相手の男性の支配欲=S気質を引き出す事が巧みなんだと推察します。

表裏一体。

サディズムとマゾヒズムと言う二つの気質
人間にはどちらも備わっているんじゃないかと常々思っています。
自分だったらこうされたい、それなら相手もこうされれば悦ぶだろうと
予め頭の中に大まかなプロットを組み立てて行う方が
感情的に押し進めるプレイよりも、満足度は高いような気がします。
もちろん、逆も言える訳で、こうすればより激情を産むということを
何処と無く分かって振舞っているのではないでしょうか。
それが同性間であれば、尚のこと。
だからこそ、SMプレイには絶対的な信頼関係が必要だと、考えています。
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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