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嫉妬★(7/7)

これだけ暗い中でも、自分の部屋の中のことは分かるものだろうか。
諏訪は、部屋の何処かにあったであろうティッシュを取り
俺の腹に広がった精液を拭き取って行く。

ベッドに腰掛けた諏訪は、俺の手を取り、自らのモノに触らせる。
ボクサーブリーフの外からでも、既に大きくなっていることは明らかだった。
「口か、ケツか。どうする」
二択かよ、と思いながら、後者の選択肢を選ぶには、まだ抵抗があった。
奴なら、黙っていれば、中に入れてくることを望んでくるだろう。
俺はベッドから降り、奴の前に正座する格好になった。
他人のモノを、こんなに間近に見ることは初めてで
これから自分がする行為に対して、軽く不安を覚えてくる。
「ケツは抵抗あるってか」
「・・・まぁ、な」
前屈みになった奴の顔が、俺に近づいてきた。
顎に指が添えられ、上を向かされる。
「どうせ、初めてだろうから」
些か震える唇を、指が滑る。
「自分がされることを想像して、やってみろよ」
そうは言うけど、俺はするのもされるのも、経験が無い。
PCやTVの画面の向こうでなされている行為を思い出しながら、やるしかなかった。

下着を下ろすと、奴のモノがリアルに現れる。
根元に手を添えて、先端に唇をつける。
想像以上に熱を帯びていた。
脈打つ振動が、唇から感じられた。
諏訪の手が、俺の肩にかかる。
軽く息を吐き出して、硬くなった先端に舌を滑らせた。

何処まで大きくなるもんなんだろう。
自分で思う以上に、思考は冷静だった。
口の中で肥大していくモノを咥えながら、そんなことを考える。
全体が唾液で塗れ、滑りは良くなっていた。
諏訪の身体の動きと声も、徐々に高みに向かっていることを感じさせる。
先端をじっくり舐ると、酸味を帯びた液体が染み出してくる。
奴の身体を、自分が快楽に導いている。
そう考えると、俺の身体の昂りが増して行く。

先を唇で軽く挟みながら、手で扱く。
肩を掴む手に、力が入る。
顔を上げると、快感に歪む奴の顔が目に入った。
俺の視線に気が付くと、奴は口の端を上げ、笑う。
イかせてくれ、と言う意味だと汲んだ。
顎のピリピリとした痛みを抑えつつ、全体を口に含み、動きを早める。
程なく、諏訪の声が部屋に響く。
俺の顔が引き離されると同時に、奴はイった。

諏訪は肩で息をし、余韻を楽しんでいるようだった。
俺の頭に手を乗せて、軽く叩く。
「練習すれば、相当、上手くなるんじゃね?」
「もっと、他の言い方あるだろ」
「何て、言って欲しい訳?」
「・・・別に」
奴はベッドから立ち上がり、暗がりの中で自分の身体を拭いているようだった。
慣れない動きで色々痛む身体を返し、俺は何となく見えている煙草に手を伸ばす。
煙草の香りが、気分を現実のものへ引き戻していく。
奴が隣に座って来て、俺の指から煙草を奪い、煙を吸い込む。
「気持ち良くなきゃ、イく訳ねぇだろ」
深く煙を吐き出しながら、そう呟いた。


煙草も吸い終わり、闇の中に無言の時間が流れる。
突然、俺の身体は床に押し倒された。
影に包まれた諏訪の表情は、分からなかった。
「お前、オレのこと、好きになれ」
俺の中にも、気持ちの変化が表れていたのは確かだった。
ただ、それを直視しないように必死だった俺は、大きく動揺する。
「な、何で・・・?」
「他の男にやられるのが、嫌だから」
「嫌って・・・さっき、他の男との想像して興奮するって言ってただろ」
「それは・・・想像して、嫉妬するから・・・興奮するんだ」
嫉妬と言う、諏訪には全く不似合いな言葉に、俺の鼓動は早まった。
「お前、別に、バイじゃないんだろ?」
「そんなの、関係ねぇよ」
「セックスする相手には、困ってねぇじゃん」
「困ってないね」
「なら、何でなんだよ」
向けられた好意を避けるように、言葉を続ける。
自分でどうして良いのか、分からなくなっていた。

近づいてきた顔には、困惑の表情が刻まれていた。
「お前さぁ、誰かに好きだって言ったことある?」
「・・・無い」
「じゃ、言われたことは?」
小さく首を横に振る俺を見て、奴は一息つく。
「言い方変えるわ」
唇が耳に触れる。
「好きだ」
低く響く声に、背筋が寒くなった。
怯んで声の出ない俺の唇が、乱暴に奪われる。
苦しくて、呻き声が出た。
自制心が無理矢理壊されていくような気がした。
誰かに愛されること、誰かを愛すること、それが俺に許される?

唇が離れていく。
感情が溢れてくるのを抑えきれなかった。
奴の顔を両手で包み、自分から、そっとキスをする。
俺を見る目が、僅かに細くなった。

「また、新しい噂でも焚き付けるか」
「女と?」
「妬ける?」
「別に」
「何だよそれ」
お前が言ったんじゃないか、そう思って笑ってしまう。
憧れと妄想の中にしかなかった恋愛感情に、俺は飲み込まれて行く。
もう、そこに恐怖は無かった。

□ 14_嫉妬★ □   
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コメント

非公開コメント

好きな相手が他の男とシテるのを想像し、嫉妬する事で自分が興奮する。…さすがに、男の右脳は発達してますね。女はそんな面倒くさい事を考えません。そろばんを片手に、身長やら年収やらを弾き出すのに忙しい(笑)。
三十路が近いのに未体験だった柏木。こんな天然記念物を見付けた色男の諏訪は、小躍りしたに違いない(笑)。
今までの自分の殻を撃ち破って、新しい世界へ飛び込んだ柏木は、心の青あざにも気付かない。痛みも気にならない陶酔を生まれて初めて知ったから。三十路でもいじらしくて、可愛いです!
次回のお話も楽しみです。

フィルターの無い間柄

サラリーマン同士となると、概ね同等な関係と言うこともあり
女よりも、余計なフィルターの無い間柄になるのかと思っています。
マイナス感情がプラスに転じて行く事が、恋愛感情と言うのかどうかは
正直自分でも良く分からないのですが
そんなこともあって良いのかなと言う、妄想の産物になりました。
これからも、宜しくお願いいたします。

No title

いいですね☆諏訪。。イケメンで命令口調なんて////
独りでにまにましながら読んでます☆
柏木もかわいいし。。
まべちがわさんは本当に神です☆

ステレオタイプの男。

私の人生の中で、女をとっかえひっかえするイケメンという男に出会ったことがないので
そういう人間を描くのは、あまり得意ではありません。
完全なステレオタイプで表現してみましたが
気に入っていただけたようで、何よりです。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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