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結論★(6/14)

ユニットバスの方から聞こえてくる篭った水音を耳にしながら
邪魔なものを適当に避けただけの何となく片付いた部屋で、ぼんやりと煙草をふかす。
これからするであろう行為に、不思議と嫌悪感は無かった。
ただ、完遂できるだろうか。
俺はあいつをアテに自慰行為をしたことも無いし、その辺りのイメージがあまりにも朧ろげだ。
セックス自体も相当ご無沙汰で、役に立つのかも分からない。

ドアが開き、閉まる音が聞こえる。
しばらくして、部屋の入口にあいつが姿を見せた。
俺と目が合うなり、その視線を軽く逸らし、神妙な顔つきをしながらこちらへ向かってくる。

「・・・本当に、良いんすか」
バスタオル一枚の男は、俺の傍に立ち、そう呟いた。
「まだそんなこと言ってんのか」
濡れた髪に手を伸ばし、顔を引き寄せる。
「満足させてやる」
はったりを口にした後、軽く唇を触れ合わせ、真正面から彼の顔を見つめた。
「その代わり、一つ、約束してくれ」
「・・・何」
「終わったら・・・その先のこと、二人で考えよう」
男の眼が微かに歪み、目尻に皺が寄る。
「すぐ上がるから、ちょっと待ってろ」


まず、あいつが俺のモノを咥え、しゃぶり始める。
俺はその姿を眺めながら、少し腰を浮かせたりして、快感を愉しむ。
やっと勃起したところで、あいつをベッドの上に四つん這いにさせて、後ろからケツの穴にモノを挿れる。
そもそも入るかどうかよく分からないが、とりあえず試してみよう。
締め付けは相当なものなんだろうから、そんなに長続きはしないと思う。
イきそうになったら、モノを抜いて、あいつの体勢を仰向けにする。
いや、俺が回り込んで、顔の傍まで行った方が良いだろうか。
どちらにせよ、その後ですぐに出せるようにする加減が難しい気がする。
ともかく、しばらく自分で扱いて、あいつの顔にぶっかける。
もう大した勢いは無いから、かなり近づけないと難しいかも知れない。

あいつの妄想を元に、狭いユニットバスの中で段取りを考えてみる。
そう上手くいかないことは承知していても、無策では落ち着かない。
大学生の頃に付き合っていた彼女と初めてホテルに行った時も、確かこんな状態だった。
色々と妄想をしながら、こことこことここを丹念に洗っておこうと必死になっている内に時間が過ぎ
やることが無くなってしまったという理由で風呂から出たのを覚えている。
そして今、とりあえず、身体は洗い終わってしまった。
もう、やることも無い。


膝を抱えてベッドの上に座る男は、俺が部屋に入ったタイミングで顔を上げた。
この弛み始めた身体にどんな魅力があるのかは知る由も無いが、口から嘆息にも似た音が漏れる。
彼の視線が全裸の俺を万遍なく滑り、改めてその性的欲求の矛先が向けられているのだと感じた。
「大丈夫か?」
俺の問に、あいつは小さく頷いて答える。
腰に巻かれたバスタオルの下に頭をもたげ始めた彼のモノの影が見え、少し気分が揺らいだ。
やっぱり、妄想は無駄だった。

隣に腰を下ろし、一呼吸置いてから彼の肩を抱いた。
微かに強張った頬に手を寄せてこちらを向かせる。
何かを言おうとしていた半開きの唇に、自らの唇を重ね、ゆっくりと押し付けていく。
小さな隙間から互いの吐息が漏れる度に位置をずらし、その感触を楽しんだ。
上唇を軽く甘噛みすると、あいつの口は徐々に開き、舌を小さく出してきた。
呼ばれるように舌を絡ませる。
喉が僅かに鳴り、眉間に浅い皺が寄る。
吐き出される息は甘く揺らぎ、感情を盛り上げてくれるようだった。


左手を男の太腿へ延ばし、バスタオルの上から静かに撫で上げる。
間近に迫る表情が少し歪み、その身体が僅かに緊張するのが分かった。
制しようとする上半身の動きを軽い口づけで止める。
「良いから」
指に他人の性器の感触が拡がり、切なげに目を伏せた彼は小さく息を吐く。
撫でているだけで、それはみるみるうちに硬さを増し
やがて好奇心にも似た感情に押されるよう、布の下へと手を差し入れた。

熱を帯び、血管が浮き立ったモノは、その衝動の強さを知らしめる。
軽く握り扱いていくと、荒い息が耳元を掠めていった。
徐々に力を込めながら、首筋に舌を伸ばし、うなじの方へ滑らせる。
びくついた肩を片方の手で押さえながら、彼の官能をじっくりと味わう。
「しゃぶるか?」
そう問うた俺に、あいつは崩れ落ちそうな視線を向けた。
こちらへ向けられた掌が頬に触れ、自らの唇へと誘う。
貪るように互いの舌を求め、垂れていく唾液を啜る卑しい水音が鼓膜を揺らし続ける。
滑りが出てきた亀頭を親指で摩ると、砕けた音が男の喉から発せられて
俺の中に芽生えてきた欲求を煽っていく。

「・・・しゃぶらせて」
弱弱しい声が吐息に混ざって流れていった。
「斎藤さんの、しゃぶりたい」
日常とはかけ離れたもう一つの顔を見せる男に、強烈な違和感を抱く。
今まで知らなかった互いの一面を晒しあうことが、少し怖くなったのかも知れない。
判断に迷う俺を尻目に、あいつはベッドを降りて俺の前で身を屈ませる。
見上げる視線が身体を這い、官能を引き摺り出そうとする。
抗う必要は、何処にもない。
こんなところで怖気づいていては、先に進めない。
眼差しを受け止め、目を細める。
男は意を介したように、俺との距離を詰めた。

□ 01_猶予 □   
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□ 100_結論★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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