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矜持★(4/8)

赤く腫れあがった上半身に、粘性の液体が塗り込められていく。
刺すような痛みに重ねられるその感触と男の体温が、徐々に恐怖を湧き上がらせた。
身体を捩る度に小さな金属音が上がり、目の前の男が満足げな表情を浮かべる。
彼の手が下半身へと差し掛かった瞬間、一つ、息を飲んだ。
しかし、目当ての場所であろうと思っていた部分には手を触れず、その奥へと指を伸ばしてくる。
「弄って欲しかったか?残念、ここは最後のご褒美だから」
見上げる視線を受け止めた男は、そう言って笑みを浮かべた。

硬く小さな物体が有り得ないところをなぞる。
得も言われぬ感情が顔を火照らせ、頭の中に靄をかけていく。
「何だよ、さっきまでの生意気なツラは何処いった?」
俺の反応を愉しむかのように、男は閉ざされた穴に異物を捻じ込む素振りを見せ、ふとその手を止めた。
「こんなちっちゃいのでビビッてたらダメですよ、能登部長」
彼の呼びかけが自らの立場を改めて突き付ける。
けれど壊れかけた矜持をあざ笑うかのように、ついにそれが中へ押し込まれた。

中に収まった小さな玩具は2つ。
腹圧で押し出されそうになる物を指で押さえながら、男は更に小さな栓のようなものを手に取る。
「ふっ・・・ぐ」
呼吸の仕方を忘れてしまいそうになる程の息苦しさが尾てい骨を痺れさせた。
彼は安っぽい素材でできたリモコンを両手に持ち、それを見せつけるように俺の顔の前へ差し出す。
「まさか、ここで気持ち良くなっちゃったり、しねぇよなぁ」
ふざけた問の答は見つからなかった。
ただ、肛門の筋肉の収縮さえも手に取るように分かるくらい、敏感になっていることは確かだった。


初めての刺激に、感情が追い付いてこない。
身体の奥から打ち付けられるような衝撃が背骨を震わせ、徐々に全身へ広がってくる。
段々と激しさを増す物体同士のぶつかる音が耳の奥に響き、降りかかった仕打ちを否が応にも認識させる。
無意識に腰が浮き、上半身が反っていく。
鼻息と喉から漏れていく呻き声を自分でもコントロールできなくなる頃には
自らの身体に何らかの変化が起こっていることを、認めざるを得なくなっていた。
半笑いで俺の前に立ち、見下すような視線を浴びせている男にも、それは分かっていただろう。


汗とローションで濡れた上半身を、再び他人の手が這う。
脇腹から腹、鳩尾へと上がってくる指が、不意に動きを止めた。
「こーいうところも、意外と感じちゃったりするんじゃねーの?」
耳元に顔を寄せ囁いた男は、2つの突起を親指で弾く。
「ん、うっ」
言い訳すらも思いつかない、直接的な快感が頭を巡った。
今まさに玩具でほぐされている場所よりも、遥かに身体を奮わせる。
「おやぁ?乳首がお好きですか?部長」
茶化した言葉を吐く男の指が、乳首を摘み、引っ張り上げた。
「・・・ぅう、っん」
出ていった情けない声が、更なる執拗な責めを誘発する。
痛みを覚えるほどに捻じられても尚、官能の波が、僅かな抗いすらも押し流していく。

乳首を挟み込む、金属製のクリップ。
強烈な痛みが、快感となって脳に伝達される。
鉤状になっている持ち手の部分に、男は玩具のリモコンコードを引っ掛けた。
その重みと振動で、性感帯は更に責めを負う。
「オレの勝ちは、ほぼ決まったな」
男の膝が、股間を弄る。
萎れていたはずの性器は、いつの間にか、その傾きを増し始めていた。


男の手にあるのは、肛門を辱めているものと同じ玩具だった。
振動する物が、勃起し始めた性器に近づいては、離れていく。
その度に、それは、何かを求めるように小さく反応を見せる。
「虐めて欲しくて、しょうがねぇって感じ?」
混乱する頭の中に、否定の言葉は浮かんでこない。
けれど、その欲求の伝え方も、分からなかった。
小さく鼻で笑った彼は、左手でおもむろにモノを掴む。
「ほら、一回頷くだけで良いんだぜ?チンポも弄って欲しいんだろ?」
負けを確信しながら、頭を小さく揺らした。

物体が亀頭を舐めていく。
「んんっ、んぅ」
箍の外れた身体に、性的衝動だけが満ちていった。
全身が強張り、四肢に付けられた枷が甲高い音を立てる。
セックスでも、フェラチオでも、もちろん手淫でも、ここまでの快感を刻まれたことは無かった。
玩具で撫でられて程なく、性器からは汁が滲み始めてくる。
「もうガマン汁出てきたし。もしかして早漏?」
濡れた部分を親指で弄りながら、彼は更に別の部分へも責めを伸ばす。

「っふ、んーっ」
仰け反った身体から、本能の叫びが出ていった。
裏筋にローターを宛がい、そのまま握り締める男の手に段々と力が籠められていく。
「気持ち良いのか?あ?」
思わず首を振った俺の口から、彼は乱暴に猿轡を外した。
涎を引き摺りながら投げ捨てられた物が、地面に落ちる。
「感じまくってんだろ?だったら、気持ち良いって叫んでみろよ」
小刻みに玩具を裏筋に擦り付けられ、理性が吹き飛んでいく。
「あ、う・・・きもち、いい・・・っ」

□ 98_矜持★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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