Blog TOP


受動★(10/11)

両手首に付けられた枷に、鎖が通された。
軽い金属音と共に巻き上げられていく鎖は、俺の身体を徐々に地面から離す。
爪先立ちになるくらいで固定された身体は余りに不安定で、些細な刺激にさえ耐えられそうもなかった。
深山は慣れた手つきで俺の上半身の衣服を脱がし
程なく露わになった胸元に、室内の冷気と、彼の掌の熱が纏わりついた。

伏せていた顔が上向けられ、男の舌が喉仏を包む。
息苦しさと得も言われぬ刺激が身体中に拡がり、思わず呻き声が出た。
唇と舌でじっくりと愛撫されることで、こんな場所までが性感帯にされていく。

彼の手が何処へ向かっているのか、察知するよりも早く、直接的な快感が身を捩じらせる。
裏返る声を誤魔化す為に、わざと咳き込んだ。
普段意識していなかった胸元の突起が執拗に責められ、その度に頭上の鎖が甲高い音を立てる。
指で摘まれ、舌で転がされ。
たったそれだけの行為に、こんなにも身体が悦びを示すということが自分でも信じられない。
指の力が徐々に強くなり、乳首が捻り上げられる。
「・・・感じます?ここ」
鼻先に男の吐息と問い掛けが吹きかけられ、薄く目を開けた。
歪んだ視界の中には、満足げな後輩の姿がある。
その問に、俺は、眉をひそめることで何とか答えを返した。

細い鎖の先には、小さなクリップ状の物体が付いている。
彼は愉快そうに乳首の周りを撫で、乳首を突き、瞬間目を細めて突起を苛んだ。
「いっ・・・」
想像以上の痛みが背中まで突き抜ける。
抗うことも出来ないまま、もう一方も同じ責めを受けた。
みぞおち辺りまで垂れ下がる鎖を男が指で揺らすと、痛みと、それでも僅かに残る快感が身体を駆ける。
奥歯を噛み締め耐える俺に、彼はその鎖を差し出して、笑みを浮かべた。
「咥えて」
下唇に触れる金属の冷感が首筋を凍えさせ、溶けていく。
おずおずと唇で鎖を挟み込むのを見計らい、後輩の手が俺の顔を仰がせる。
「・・・ん、ぐっ」
自らの口に引っ張り上げられた二つの乳首への刺激は、瞬く間に下半身へと伝わっていった。
「気持ち良さそうな顔して・・・自分で気持ち良くなってて、良いですからね」


視界の端に、黒髪がチラチラ映る。
足元に跪いた彼が、下半身の衣服を脱がし始めた。
身体を蝕んでいる快楽の証しを見られるのが恥ずかしい。
そんな感情に背中を押され、俺は更に、未知の世界へと落とされていく。

下着の上から、やや膨らみ始めたであろう性器を掴まれ、撫で上げられる。
もう一方の手が、ゆっくりと緊張で強張る尻を撫でる。
反射的に身体を捻っても、足元が覚束ないまま、すぐに彼の腕に捕らえられてしまう。
ふと上向いた男の顔は実に愉快そうで、自分が置かれた立場が如何に惨めなものなのかを思い知らされた。
彼の指の動きは徐々に大胆になり、僅かばかり残った矜持さえも溶かす。

耳に異音が届くと同時に、性器に何かが押しつけられる。
子供騙しと馬鹿にしていた玩具は、抗う術の無い身には脅威でしかなかった。
固く閉じた唇に金属の感触が食い込み、首を傾げることすら禁じられていることを思い出す。
モノ全体を舐めるように、振動体が滑っていく。
宙に吊られた拳を握りしめることで、強制的な快楽を何とか耐え忍んだ。


不意に、下半身を包んでいた熱が取り払われる。
他人の性器を興味深げに眺めた彼は、まだ玩具遊びをやめようとはしなかった。
敏感な部分をなぞり、俺の身体が波打つ様を楽しみながら
滑ついた指の感触で、自分がどの程度流されているのかを思い知らせてくる。

「こんなに垂れ流して・・・ちょっと、栓、しておきましょうか」
落とした視線の先には、一本の小さな金属棒をこちらに見せつける彼がいた。
どんな責め具なのか、想像が行きつくよりも早く、男は行動に移す。
「・・・っあ、ぐ」
勢いよく尿道に差し込まれた棒は、不快感と閉塞感と痛みを以って全身を痺れさせた。
「オレが満足するまで、射精はお預けですよ」
絶頂さえ見えなくなった中で、翻弄される時間は更に続く。
固い感触の後にやってきた、熱く生々しい感触。
血管の凹凸を均すかのように辿る舌の軌跡を頭の中で追いかけた。
男の手に包まれた睾丸が力強く握られ、柔らかな快感と不可思議に融合していく。

尻を掴む手が、未経験への恐怖を駆り立てる。
尾てい骨の辺りに響いてきた振動が段々と奥へと進み、やがて入口へ差し掛かった。
「んっ・・・」
直接与えられる刺激に、僅かばかりの期待が顔を出す。
「このまま、入れちゃいましょうか?」
それでも深山の声に首を振ったのは、自分への最後の言い訳だったのかも知れない。
彼はそれを知ってか知らずか、昂ぶるモノに小さな口づけを与え、玩具を中へめりこませた。
「あっ・・・はぁ」
激しい異物感と、背徳の感情。
「ちゃんとケツの穴でも感じるんですね。ほら、チンポもビクビクしてますよ」
「そ、んな・・・」
荒くなる息を整えようと空気を吸い込んだタイミングで、玩具が体内に侵入してくる。
「・・・っん」
些細な動きが、腰を砕くほどの衝撃になって全身を駆けた。
コードで繋がれたリモコンを手放したのだろう。
重力に引き摺られ抜けそうになった異物を、やっとの思いで抱える。
「抜けないように、ちゃんと締めてて下さいね」
もう、身体の何処にも、力を籠める場所が無い。
痛み始めた足先と、空を掴むことしか出来ない拳で、意識を保つのが精一杯だった。

「創さん、オレの方、見て下さいよ」
楽しげな声に誘われるまま、真正面に立つ深山に視線を送る。
「そんなに怖い顔、しなくても」
おどけたように微笑んだ彼の唇が、どうしようもないほどの快感で歪む俺の唇に触れた。
漏れた吐息の熱が、更に興奮を押し上げる。
「気持ち良いですか?」
「っう、いぃ・・・」
「何処が?」
一瞬の躊躇いが、相対する年下の男の昂ぶりに蹴落とされた。
「・・・な、か」
俺の降伏に満足した様子の彼の鼻息が、頬を掠める。
「じゃ、そろそろ、本番にしましょうか」

□ 90_能動★ □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■   ■ 7 ■
■ 8 ■   ■ 9 ■   ■ 10 ■   ■ 11 ■
□ 92_受動★ □
■ 1 ■   ■ 2 ■   ■ 3 ■   ■ 4 ■   ■ 5 ■   ■ 6 ■   ■ 7 ■
■ 8 ■   ■ 9 ■   ■ 10 ■   ■ 11 ■
>>> 小説一覧 <<<

コメント

非公開コメント

Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

*** Link Free ***



>> 避難所@livedoor
Novels List
※★が付く小説はR18となります。

>>更新履歴・小説一覧<<

New Entries
Ranking / Link
FC2 Blog Ranking

にほんブログ村[BL・GL・TL]

駄文同盟

Open Sesame![R18]

B-LOVERs★LINK

SindBad Bookmarks[R18]

GAY ART NAVIGATION[R18]

[Special Thanks]

使える写真ギャラリーSothei

仙臺写眞館

Comments
Search
QR Code
QR