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主従-虚-★(1/5)

背後の男は気怠い声を上げながら腰を振り、やがて絶頂に達する。
体内に流し込まれる液体の感触が、背筋を凍らせ、途上の官能を奪い去っていく。
「・・・っう」
熱いモノが抜かれた場所に、酷く無機質な物体が捻じ込まれる。
「ちゃんとご主人様に綺麗にして貰うんだぞ?オッサン」
堪えられない屈辱に耐える俺を、男は下品な嘲笑で甚振りながら出ていった。

都会の片隅にある小さな公園。
週末、俺はそこで男たちの便器になることを命じられていた。
ハッテン行為を目的に来ている奴に声を掛け、小さな便所で精液を受け止める。
余計な前戯はせず、ただ突っ込まれ、射精されるだけ。
自分自身の快楽は、中出しされた瞬間に大抵吹き飛んでいってしまう。
それでも、命令に忠実に従うことが、俺にとっては最高の快感だった。


「今日の男は、どうでした?」
公園の側にある寂れたホテルの一室で、冷たい笑みを浮かべた男が俺に問う。
「ガタイの良い・・・デカい奴でした」
下腹部に広がる違和感を我慢しながら、それに答えた。
近づいて来た彼は、やや小柄で眼鏡をかけた中年の男。
見た目は穏やかな雰囲気の奥に、冷酷な、もう一つの顔を持っている。
「じゃあ、随分立派なモノをぶち込まれたんでしょう?」
「・・・はい」
俺の前に立った彼が、首から下がるネクタイをゆっくりと指でなぞる。
「気持ち良かったですか?」
豹変のスイッチとなる言葉を口にした彼に対して、答えるべき語句は一つだけ。
「気持ち、良かったです」

左手でネクタイを掴んだ彼は、俺の身体を自らの方へ乱暴に引き寄せる。
それと同時に腹にめりこむ右手の拳。
「ぐ・・・」
崩れそうな身体を何とか支える足の脛を蹴られた瞬間にネクタイが離され、後ろへ倒れこんだ。
床に転がる俺を足蹴にする彼の口元には、愉しげな笑みが浮かぶ。
畏怖を感じる間もなく、無防備になった身体へ殴打が浴びせられていく。
痛みと衝撃で、頭の中が白くなる。
そして、身体の奥が熱くなる。

「困った野良犬ですね」
暴力が止み、朦朧とした意識の中に彼の声が聞こえてきた。
無意識のうちに小さくしていた身体を押し開くよう、彼の靴の爪先が肩を蹴り、仰向けにする。
下半身の興奮はスラックス越しにも明白で、改めて自分の卑しい性癖を思い知らされる。
「発情するにも、程があるでしょう?」
嬉しそうな溜め息をついた男の足が、その膨らみを柔らかく突く。
俺は、彼を見上げながら、つかの間の快感に浸る。
「本当に、調教し甲斐があって、嬉しいですよ」
堕落を誘う魔法の言葉が降り注ぐ。
ここにあるのは、人間対人間の関係じゃない。
支配者と奴隷、それだけだった。


下半身の衣服だけが脱がされたまま、拘束椅子に括り付けられる。
脚を開いたままで折り曲げられた身体が、軋みながら咎を待ち受けた。
乱れの無いスーツ姿で正面に立つ彼の手には、大きな黒い玩具。
腰を更に持ち上げられ、視界の中に半勃ちのモノと穴を塞ぐ異物が入ってくる。
手にした物に粘液を纏わせながら、男は俺の表情を窺う。
淫らな期待が唇を震わせた。
「・・・汚い穴の中を、綺麗に、して下さい」
俺の声を聞いた彼が、穴に嵌るプラグを抜き取る。
「ここですか?」
「は、い・・・」
ヌルヌルとした感触を引き摺りながら、太いディルドが尻の割れ目に沿って滑る。
刺激で腹筋に力が入り、僅かな量の白い液体が顔を出した。
「他の男のザーメンで一杯ですよ」
眼鏡の奥の眼に映ったのは、侮蔑か、嫉妬か。
玩具の先端が穴に押し当てられ、徐々にめり込んでいく。
異物の感触が骨に沁み、喉の奥の痙攣が薄い声になって口から出ていく。
「うっ・・・はぁ」
興奮を見せ始めた彼が、深く挿し込まれたそれを数回捻じる様にして中を掻き回すと
拘束具に絡め取られた身体が、椅子の上で跳ねた。

やがて顔を出した物体には、白い滓が斑に付着していた。
「こんなに注がれたのなら、もうお腹いっぱいなんじゃないですか?」
二本の指で付着物を拭い、頭をもたげて涎を垂らす俺のモノに擦り付ける。
「そんな、こと・・・」
「じゃあ、全部掻き出しましょうね。私の物を飲み切れるように」
「っあ、が」
再び挿入された玩具が激しく出し入れされる度、濁った液体が噴き出す。
鎖が立てる金属音と、下品な水音と、自分の喘ぎが部屋の中に響く。
打ちつけられ、擦られる刺激に抵抗できる訳も無く
程なく、自らの精液が顎にかかる感触で、我に返った。


ワイシャツやネクタイに点々と染みを残す俺の液体を、彼の指が掬い取る。
目を細めて微笑む男は、俺を真っ直ぐに見下ろしたままで自らの指を舐り始めた。
「相変わらず、飢えたオスの味がしますね。本当に汚らわしい」
彼の唾液が付いた指が、昂ぶりから抜け出せずに微動する唇を滑る。
舌を出し、爪先を捕らえ、愛おしむ様にしゃぶりつく。
「本物が、欲しいですか?」
「・・・ふ、ぁい」
「じゃあ、ちゃんと良い子にして待っていて下さい。そしたら、ご褒美をあげますよ」
甘美な囁きが身体を熱くした時、部屋の扉を叩く音が聞こえた。

□ 82_主従-虚-★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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