狂乱★(3/5)
「笠松朗信・・・営業部首都圏営業二課。まともそうな仕事じゃん」
男は奪った名刺入れから一枚抜き、その内容を読み上げた。
首を腕で押さえつけられたまま、打開策も思いつかない時間が過ぎていく。
「そろそろオナニービデオにも飽きてきたんだよな」
そう言いながら、奴は俺の名刺入れを床に放り投げ
睨みつける視線をものともせずに、不快な笑みを浮かべる。
「もうちょっと、過激なモノにチャレンジしてみようぜ、朗信くん」
「・・・は?」
腹の辺りに重い衝撃が走る。
「う・・・っぐ」
崩れかけた身体に、更に男の拳が食い込んだ。
「安心しろよ。サイコーに、気持ち良くしてやるから」
身体が縛り付けられたリクライニングチェアが、大きく軋む音を立てる。
背もたれに廻した腕は手枷で繋がれ、M字に開かされた脚がアームレストに拘束帯で括られた。
全てを振り切って逃げるには、俺は、過ちを犯し過ぎている。
受け入れざるを得ない状況への諦めと不安が、身体を大きく震わせる。
軽い金属音を立ててベルトが外され、スラックスと下着が尻から抜けていく。
男が手にしている容器から、上向かされている下半身に向かって粘液が落ちる。
ヌルヌルとした感触が割れ目を滑る度、不快感と快感が綯交ぜになって身体に沁みた。
俺から一旦離れた男は、小さな錠剤を持って再度近づいてくる。
「よく効くんだ、こいつが」
ローションまみれの指で摘んだ物を俺に見せつけ、彼はそう囁く。
抵抗など何の意味も無いと分かっていても、無意識の内に、俺は首を振っていた。
指の先端と共に差し入れられた薬が、肛門の奥へと吸い込まれていく。
「蓋、しておいてやるからな」
指と入れ替わりに入ってきたのは、アナルプラグ。
「・・・く」
あまり経験の無い、酷い違和感と閉塞感が、身体を強張らせる。
顔を歪める俺を満足げに見下ろしながら、男は尻周りの粘液をティッシュで拭き取り、服装を元に戻す。
「折角だから、こっちも焦らしといてやろうか」
男の腕が、背後からワイシャツのボタンを外し始める。
Tシャツがたくし上げられ、筋肉質とは言えない平板な上半身が露わになる。
腹の方から徐々に上がってくる掌は、熱を帯び、湿っぽい。
寒いくらいの部屋の空気に晒されている肌を溶かすように、温かさが拡がっていく。
やがて突起に触れた指が、そこをゆっくりと転がすように弄ぶ。
深い吐息には、まだ、嫌悪感しか含まれていなかった、と思う。
「いっ・・・て」
急に襲った痛みに、拘束具が音を立てた。
乳首を挟み込むピンチコックのネジが、キリキリと音を立てて締められる。
あまりのキツさに、目を閉じて歯を食いしばる。
息を吐くことで忍耐が途切れるような気がして、呼吸すらもままならない。
それでも奴は双方に同じ仕打ちを与え、やはり服装を元に戻していく。
眼鏡が外され、視界がアイマスクで奪われる。
これから起こることに何の手がかりも無いまま、唇を震わせるしか、無かった。
「お前の身体の準備が出来るまで、ちょっと休憩だ」
楽しげな男の声が、耳を掠める。
「おっと、忘れてた」
鼻で笑う声と共に、下半身に刺激が突き抜ける。
「っう、く」
小さな振動音が身体の中を走り回るように響く。
強くも無く、弱くも無いアナルへの責めが、身体を自然と捩らせた。
「後で、もっと太いのブチ込んでやるから、楽しみにしてな」
男が部屋を出ていって、どのくらい経ったのだろう。
部屋の中には、椅子が軋む音と、玩具の振動音と、自分の吐息が充満する。
薬が効いてきたのか、俺の身体がこの所業に屈し始めてきたのか。
闇の中に見え始めてきたのは、降伏の二文字。
ドアが開く音で、虚ろだった意識が覚める。
鍵をかける音の後で聞こえたのは、ビデオカメラの録画の開始を告げる小さな電子音。
誰かの気配は背後に陣取り、その手が俺の顎を撫でた。
「恥ずかしい格好してんな、兄ちゃん」
さっきの男とは、違う声。
「もう、出来上がったか?」
吐息が緊張で荒くなる。
喉元のネクタイが解かれ、ワイシャツのボタンが上から一つずつ外されていく。
布の下を弄る手に当たる違和感の正体を、知ってか知らずか。
「何だ、これ?ん?」
乳首を虐める残酷な物体を、男は指で弾く。
「んっ、う」
強烈な痛みが、喉の奥から拉げた音を押し出す。
Tシャツがたくし上げられ、上半身が空気に触れた。
「こんなの着けて、いつも営業してんじゃないんだろうな」
こいつも、俺の素性を知っている。
「いっ・・・」
せせら笑う声に導かれた絶望感が、再び襲う痛みに吹き飛ばされていった。
□ 78_狂乱★ □
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□ 87_応報★ □
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男は奪った名刺入れから一枚抜き、その内容を読み上げた。
首を腕で押さえつけられたまま、打開策も思いつかない時間が過ぎていく。
「そろそろオナニービデオにも飽きてきたんだよな」
そう言いながら、奴は俺の名刺入れを床に放り投げ
睨みつける視線をものともせずに、不快な笑みを浮かべる。
「もうちょっと、過激なモノにチャレンジしてみようぜ、朗信くん」
「・・・は?」
腹の辺りに重い衝撃が走る。
「う・・・っぐ」
崩れかけた身体に、更に男の拳が食い込んだ。
「安心しろよ。サイコーに、気持ち良くしてやるから」
身体が縛り付けられたリクライニングチェアが、大きく軋む音を立てる。
背もたれに廻した腕は手枷で繋がれ、M字に開かされた脚がアームレストに拘束帯で括られた。
全てを振り切って逃げるには、俺は、過ちを犯し過ぎている。
受け入れざるを得ない状況への諦めと不安が、身体を大きく震わせる。
軽い金属音を立ててベルトが外され、スラックスと下着が尻から抜けていく。
男が手にしている容器から、上向かされている下半身に向かって粘液が落ちる。
ヌルヌルとした感触が割れ目を滑る度、不快感と快感が綯交ぜになって身体に沁みた。
俺から一旦離れた男は、小さな錠剤を持って再度近づいてくる。
「よく効くんだ、こいつが」
ローションまみれの指で摘んだ物を俺に見せつけ、彼はそう囁く。
抵抗など何の意味も無いと分かっていても、無意識の内に、俺は首を振っていた。
指の先端と共に差し入れられた薬が、肛門の奥へと吸い込まれていく。
「蓋、しておいてやるからな」
指と入れ替わりに入ってきたのは、アナルプラグ。
「・・・く」
あまり経験の無い、酷い違和感と閉塞感が、身体を強張らせる。
顔を歪める俺を満足げに見下ろしながら、男は尻周りの粘液をティッシュで拭き取り、服装を元に戻す。
「折角だから、こっちも焦らしといてやろうか」
男の腕が、背後からワイシャツのボタンを外し始める。
Tシャツがたくし上げられ、筋肉質とは言えない平板な上半身が露わになる。
腹の方から徐々に上がってくる掌は、熱を帯び、湿っぽい。
寒いくらいの部屋の空気に晒されている肌を溶かすように、温かさが拡がっていく。
やがて突起に触れた指が、そこをゆっくりと転がすように弄ぶ。
深い吐息には、まだ、嫌悪感しか含まれていなかった、と思う。
「いっ・・・て」
急に襲った痛みに、拘束具が音を立てた。
乳首を挟み込むピンチコックのネジが、キリキリと音を立てて締められる。
あまりのキツさに、目を閉じて歯を食いしばる。
息を吐くことで忍耐が途切れるような気がして、呼吸すらもままならない。
それでも奴は双方に同じ仕打ちを与え、やはり服装を元に戻していく。
眼鏡が外され、視界がアイマスクで奪われる。
これから起こることに何の手がかりも無いまま、唇を震わせるしか、無かった。
「お前の身体の準備が出来るまで、ちょっと休憩だ」
楽しげな男の声が、耳を掠める。
「おっと、忘れてた」
鼻で笑う声と共に、下半身に刺激が突き抜ける。
「っう、く」
小さな振動音が身体の中を走り回るように響く。
強くも無く、弱くも無いアナルへの責めが、身体を自然と捩らせた。
「後で、もっと太いのブチ込んでやるから、楽しみにしてな」
男が部屋を出ていって、どのくらい経ったのだろう。
部屋の中には、椅子が軋む音と、玩具の振動音と、自分の吐息が充満する。
薬が効いてきたのか、俺の身体がこの所業に屈し始めてきたのか。
闇の中に見え始めてきたのは、降伏の二文字。
ドアが開く音で、虚ろだった意識が覚める。
鍵をかける音の後で聞こえたのは、ビデオカメラの録画の開始を告げる小さな電子音。
誰かの気配は背後に陣取り、その手が俺の顎を撫でた。
「恥ずかしい格好してんな、兄ちゃん」
さっきの男とは、違う声。
「もう、出来上がったか?」
吐息が緊張で荒くなる。
喉元のネクタイが解かれ、ワイシャツのボタンが上から一つずつ外されていく。
布の下を弄る手に当たる違和感の正体を、知ってか知らずか。
「何だ、これ?ん?」
乳首を虐める残酷な物体を、男は指で弾く。
「んっ、う」
強烈な痛みが、喉の奥から拉げた音を押し出す。
Tシャツがたくし上げられ、上半身が空気に触れた。
「こんなの着けて、いつも営業してんじゃないんだろうな」
こいつも、俺の素性を知っている。
「いっ・・・」
せせら笑う声に導かれた絶望感が、再び襲う痛みに吹き飛ばされていった。
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