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花火★(7/7)

仕事をしていく上での相性は良いのだと思う。
欠点だらけの俺を、優秀な彼がフォローする。
力不足を悔しく思うこともあったけれど、今の関係が丁度良いのだと思っていた。

手の中のモノは、間違いなく大きさを増している。
下着の外に引き出し、ゆっくりと扱く度に、彼の顔が大きく振れる。
腕で抱えるように頭を押さえ、刺激に耐える彼に向かって囁いた。
「顔、見せてて下さい」
眉間に皺が寄り、悶える瞳の中に自分が映っている。
確固たる上下関係が崩れていくような気がした。

吐く息がどんどん深くなる。
中途半端に衣服を肌蹴られた先輩の身体が、大きく波打つ。
俺の肩を掴む彼の手の力が強くなり、快楽に翻弄されている様を知らされる。
普段の完璧な姿と乱れた姿のギャップにもたらされる違和感が、身体を熱くさせた。

彼の手が肩から腕を滑り、腰を撫でる。
向かう先を悟り、小さく息を吐きながら身体を浮かせた。
やがて震える指先が捉えた場所は、あの時とは違う様相を見せていた。
躊躇いがちな指が、ハーフパンツの上からモノを撫でる。
官能に惑わされていた眼が、俺の眼を真っ直ぐに見つめ、問いかける。
俺はそれに、浅い吐息で返した。


互いの手の中で、互いのモノが興奮を露わにしていた。
彼の身体に覆い被さるように上半身を触れ合わせ、下唇を舌でくすぐる。
小さく顔を出した彼の舌に舌先をつけ、徐々に絡ませていく。
微かな喘ぎが喉の奥から漏れてくる。
このタイミングなのだと、思った。
「・・・入れて、良い、ですか?」
ふと彼の手が止まる。
表情に逡巡を浮かべながら頭を揺らした彼は、強張った声を絞り出した。
「この、まま・・・で」

上半身を起こし、Tシャツを脱ぐ。
「取りますね」
そう言って彼の眼鏡を外し、悶える身の下敷きになっていた服を脱がす。
幾分痩せた上半身はうっすらと汗をかき、反対にがっしりとした太腿を撫でると短い毛が纏わりつく。
「・・・ベッドに」
掛け布団を引き剥がしたベッドに大きな身体が横になるのを見ながら、自分の服を脱ぎ捨てた。


彼の身体を再び下にした俺は、胸を密着させるように身を折り、口づけを交わす。
指に触れたモノは、双方然程萎れることも無く存在を示していた。
腰を沈めると、自分のモノが彼のモノに触れる。
得も言われない刺激が鼓動を早くした。
擦り合わせるように、静かに身体を揺らす。
同じ快感を味わっているであろう彼は、目を閉じて息を吐く。
亀頭がカリに引っかかる感覚が腰を浮かせ、玉袋が互いを叩き合う刺激が衝動を押し上げた。

二本のモノを手で掴み、腰の振りを早める。
親指で先端を撫でると、ぬるついた感触と共に強烈な快感が筋肉を引きつらせる。
もう片方にも指をかけると、呻くような声が響き、更に濡れた質感が官能を暴き出した。
彼の手が俺の手を支えるように被せられ、溺れるように身体を弄び合う。
目を細めて唇を震わせる狂おしい表情に、頭の中が真紅に染まっていく。

彼の肩口に顔を埋め、彼と、自分の身体を絶頂に導く。
切なげな二人の声が絡み合うように部屋に響いている。
腰に回された掌の熱が肌に溶ける。
「・・・っあ」
抑えきれない喘ぎが発せられ、彼の頭が小さく浮き上がった。
瞬間、腹の辺りに生暖かい液体が飛び散る。
間を置かず、突き抜けた激情が追いかけるように飛び出していった。

汗と残渣をそのままに、唇を求め合う。
落ち着いてきた鼓動を重ねるように、身体を預ける。
「こんな、はずじゃ・・・なかったのに」
耳に届いた彼の声に、思わず顔を上げた。
そこにあったのは、いつもの穏やかな、優しい表情。
「・・・初めて、自分の気持ちに、素直になれそうだよ」


程よく空調が効いた広い会議室では、5人の上役と十数人の社員がスクリーンに注目している。
「南西側に突き出した庇は、御社のブランドロゴを模した意匠となっております」
「建物の機能としては、何か効果的な部分があるの?」
「ガラス面から約2m程突出させることで、昼間の日射負荷を30%程低減することが出来ます」
映し出されているのは、研究所の3Dパース。
真砂さんの操作に合わせて、設計趣旨を説明していく。
息苦しくなるような緊張感は、時間と共に落着き、質疑の声でまた跳ね上がる。
「それ、数値で具体的に示せるかな?」
「あ・・・はい」
「では、こちらの計算書でご説明します」
一瞬の戸惑いも、常に交わしている視線にフォローされる。
これが嵌り合う感覚なのかと、俺に替わって説明を始める先輩を見て、実感した。

それから2週間程経ち、上司の元にコンペの結果が届く。
居た堪れない想いを胸にした俺と真砂さんに対して、彼は意地悪い笑みを浮かべて書類を手渡してきた。
「また忙しくなるぞ?覚悟しておけよ」
表紙には、木々の中、深緑に染まるガラスに囲まれた白い建物。
それは、彼と俺とで描き上げた渾身の絵だった。


週末の夜、彼の家で一つの成果を労う。
窓を開けて煙草を吸う彼の向こうに、ふと色が散った。
「ああ、そう言えば、近くで花火大会があるんだった」
建物の陰から僅かに見えるだけだったけれど、遅れてやってくる音に気分が上がる。
「これが終わると、夏も終わりなんだなって、少し寂しくなるんだよね」
振り向いた彼の後ろに、また大輪の、小さな花が咲く。
彼が抱えていた恋心に、似ているような気がした。
けれど、今はもう、そこで終わりじゃない。
「その分、次の夏を待つ楽しみが増えるじゃないですか」
「・・・そうだね」
伸びてくる手が耳を掠め、吸い込まれるように唇を重ねる。
耳に入ってくる低音が意識の中に白い閃光を残す。
間近で縺れ、嵌り込む視線が、堪らなく幸せだった。

□ 76_花火★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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