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幻想★(4/10)

自分でも知らなかった悦びを穿り返される恐怖が、徐々に融けていく。
ジーンズの上から太腿を擦る男の手に焦らされる身体は、微かに椅子を軋ませながら左右に揺れていた。
耳元にかかる男の荒い息が、今の、この時間の異常さを物語る。

ボタンが外され、ファスナーが鈍い音を立てて下ろされる。
彼の戯れと、他の何かがもたらした変化が目の前に曝された。
「子供なのに、随分立派だな。こういうのも、遺伝するんだね」
同級生の中では、確かに大きい方かも知れない。
優越感を抱いていない訳でも無かったけれど、逆にそれはコンプレックスでもあり
事あるごとに幼稚な羨望を受け止める度、居た堪れない気分にもなった。
「これじゃ、女の子が痛がってうるさいだろう?」
そう言って笑う男は、半勃ちになったモノに指を這わせる。
快感の筋が根元から先端まで駆け上がっていくのを受け止めながら
その時間の長さに、持って生まれた特徴へ少し感謝した。


片方の手でモノを支えながら、彼はもう片方の指でゆっくりと先端を撫でていく。
天井を仰ぐように息を大きく吐き、その刺激に耐えた。
ベタベタとした感触は、やがてヌルヌルとしたものに変わり、快感がより増大する。
気配を察した男が、粘液を引き摺りながらモノを扱きだすと
俺の喉から出たひきつった音が、部屋の中へ消えていった。

身体が熱く、息苦しい。
キモチイイコト、そのイメージが覆される様な現実。
早く出して、楽になりたい。
でも、この快感を、もっと味わっていたい。
自慰行為と何ら変わらない過程のはずなのに、身体に刻まれていくのは、全く新しい痕。

「少し、休もうか」
我を忘れかけていた頭の中に彩りが戻ってくる。
駆け上がっていた急な上り坂が、突如として緩やかな下り坂になった。
俺のモノから手を離し、彼はポケットから取り出したハンカチで手を拭く。
「・・・あ」
焦燥感を漏らした俺に意地の悪い視線を俺に向けながら、甘い煙草を口にする。
「もうちょっと、楽しませてあげるよ」
ライターの火で炙られた煙草の先から立ち上る煙が鼻を衝く。
一息吸い込んだ彼は、俺の頭を掴み、唇を重ねた。
口移しで吸わされた煙が再び意識に霞をかけ、躊躇いを剥ぎ取っていく。

もう、待てない。
「は、やく」
目の前に迫る男に、懇願を口にする。
「何?」
「イき、たい」
その言葉を聞いた彼は、満足そうに口角を上げ、目を細めた。


締め切っていたカーテンが開けられると、闇を背景に自分の姿がガラスに映る。
椅子に座ったままでモノを勃てている、恥ずかしい姿。
幹線道路に面した少し小高い場所に家が建っている為、窓の向こうから誰かに見られることはないけれど
客観的な視点に立たされた状況が、身体を強張らせた。

「後は、自分でするんだ」
「・・・え?」
背後からガラスの中の俺を見る男が、囁く。
「イきたいんだろ?」
ここまで男の手に委ねておいても、その行為を誰かに見られることは抵抗があった。
手を後ろで組んだまま躊躇う俺の首筋に舌を這わせ、耳を舐る彼。
腹から上がってくる手の気配が、背中を寒くさせる。
「それとも、このままで帰って良いのかな」
指で与えられる刺激は、心なしか、さっきよりも強く感じられた。
「・・・っく」
「無駄な抵抗は、止めといた方が良いよ」
顔を上げ、闇の中の男に視線を投げる。
無様な格好の自分の顔には、服従のサインが滲んでいたように思う。

両手を拘束していたベルトが緩む。
自由が戻ってきた右手が、彼によって自分のモノに添えられた。
「その前に」
俺の耳に寄せられた唇から、言葉が発せられる。
「窓に向かって言ってごらん。僕のオナニー、見て下さい、って」

顎を掴まれ、無理矢理前を向かされる。
虚ろな目で唇を震わせる時間すら、もったいなく思えた。
羞恥心は、何処かに落としてきてしまったようだった。
「ぼく、の・・・オナニー、みて、ください」


手の中にあるモノが、ピクピクと波打つのを感じる。
あっという間にゴールまで達してしまうのは、分かり切っていた。
イきたい、でも。
ちぐはぐな感情が、右手の動きを鈍くさせる。
その時、背後から左手を掴まれた。
「ほら、ここも」
行き先は明確だった。
「摘んで」

小さく膨らんだ突起を指で擦り、軽く挟み込む。
「・・・ん」
浅い刺激が首筋を駆ける。
けれど、物足りない、さっき感じた快感が、欲しい。
その想いが、男の手を呼んだ。
「こ、こ・・・」
「何処?」
「ちく、び」
男の指が柔らかく乳首を擦る。
「固くなってるよ」
頬に寄せられた唇を求め顎を突き出すと、甘苦い名残が口の中に拡がっていく。
瞬間、身体中を痛みが走り、衝動が全てを吹き飛ばした。
「んん・・・っ」
「いやらしいな、敏典君は」
「は、っあ」
右手の動きが早くなる。
爆発しそうなほどの心臓の脈動が頭の先まで突き抜けて行った。
「いっ・・・く」
圧倒的な解放感と、最高の快感。
額に滲んでいた汗が流れ落ち、右目に沁みる。
飛び散った精液が右手に残した感触が、しばらくの間、俺の身体を捉えて離さなかった。

□ 70_幻想★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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