空疎★(6/7)
頭上で組まれた2本の手首を拘束する手枷。
折り曲げた2本の脚に巻きつく赤いロープ。
身体の自由を奪われたままで床に座る彼の視界を、アイマスクで奪う。
震える唇から、もはや言葉は出なかった。
チューブに入ったローションを肩口に落とすと、ベッドにもたれる背中が軽く浮き上がる。
胸元から腹にかけて薄く塗り広げると、上半身を捻じり、その感触に耐える。
短い間隔で吐き出される息を顔に感じる度に、気分が昂ぶった。
彼の中で蠢いていた物体を引き抜く。
発した声には、僅かに安堵の表情が窺えた。
その光を打ち消すよう、痙攣が残る下半身に粘液を纏わせる。
「もう・・・」
か細い声とは相反し、さっきまで異物を受け入れていた穴は、指の動きに正直な反応を見せる。
「もう・・・我慢、出来ない?」
手に取った玩具で尻の割れ目を摩りながら、耳元で囁く。
球体が連なった下品な色をしたそれで玉を突くと、彼は小さく首を振った。
「こんな、の」
「女のマンコに突っ込んで腰振るだけが、男の快感じゃないと思いますけどね」
ローションに塗れた電動パールの先端を、解すように肛門へ押し当てる。
「公園では、あんなになっちゃってたじゃないですか」
瞬間、割れるような呻き声が彼の口から漏れた。
「1個、2個・・・結構簡単に入っちゃいますよ?川端さん」
物体が深く沈み込むにつれ、腹筋が小さく盛り上がるのが見える。
ゆっくりと出し入れを繰り返しながら、徐々に根元まで飲み込ませる。
半分しか窺えないながら、その表情には苦悶がはっきり浮かんでいた。
悲鳴のような男の乾いた声が、真夜中の部屋に響く。
「っあ・・・む、り・・・」
かつてない刺激を体内に受けている彼は、そう声を絞り出す。
無機質なモーター音と、抜き差しする度に立つ卑猥な音。
それに彼の激しい息遣いが混ざり合い、淫らな雰囲気を空間に広げていく。
照りを帯びた上半身に手を伸ばし、固くなっている突起を摘み上げる。
大きく揺れた喉仏が、吐息を押し出す。
「モロ感ですね。やらしいなぁ」
萎れたままだったモノが、乳首への責めに呼応するよう膨らむ気配を見せ始める。
「チンポ、ピクピクさせて。そんなに良いんですか?」
「いっ・・・」
捻り潰すような指の動きで上がる金切声。
「気持ち良い、でしょ?」
執拗な仕打ちに、声の鋭さは削られていく。
股間のモノが頭をもたげ始める頃、彼の心にはヒビが入り始めたのかも知れない。
かすれた声が、耳に届いた。
「きもち、い・・・」
アナルを刺激する電動パールと、乳首を虐めるクリップローターのリモコンコードが、床に散乱している。
快感を吸い込むように身体を震わせながら、更なる刺激を求める声が身体を刺激した。
彼の頭をベッドに引き摺り上げ、その上に跨るよう膝立ちになる。
スラックスの中で怒張したモノを取出し、その口に近づけて言った。
「何て言えば良いか、分かりますよね」
唾を飲み込み、一度深い息を吐き出した彼は、まるで自ら望んでいるかのように呟く。
「しゃぶらせて・・・くだ、さい」
口の中に捻じ込み、腰を振る。
苦しげな喘ぎが、ベッドの軋む音さえ掻き消していくように脳に沁みていく。
肩を押さえ更に奥へ差し込むと、舌のザラザラとした感触が先端に纏わりついた。
「もっと、喉・・・締めて」
うわ言のように口から出た要求に、彼は忠実に応えてくれる。
快感で霞む視界に、仰け反る彼の身体が揺れる。
彼への加虐行為が、どれだけ自分の身体を溶かしているのかを実感する。
背徳感と優越感が混ざった感情が、快楽を押し上げる。
彼の声と俺の声が部屋の中に充満し、それが飽和する頃、俺は再び絶頂を迎えた。
口の外に漏れた精液が、揺れる喉元を流れ落ちていく。
眼下の股間にそそり立つモノは、被虐を待ち侘びるが如く先端から涎を垂らしていた。
彼の口からモノを抜き取り、ベッドを降りる。
傍に座り、彼の下半身に手を伸ばした。
「寂しそうですね。ここ」
モノの先端を指で撫でると、仰け反っていた身体が僅かに縮こまる。
指に絡みついた我慢汁を、彼の唇に塗りつける。
声にならない声が、空気を揺らした。
「何ですか?」
「そ・・・こ」
「弄って欲しい?」
「い、じ・・・って」
視界を遮っていたアイマスクを外すと、薄く開いた潤んだ眼が現れる。
頬に唇を寄せ、涙を溜めた目尻に舌を滑らせた。
「良く見て下さい。恥ずかしい格好」
彼の視線が、静かに自らの身体を降りていく。
「こんなことされて、トロトロになるなんて」
待ち侘びる場所に手を伸ばし、握り締める。
更に細くなる眼が、その表情に諦めと服従を映すようだった。
「すげー、変態」
様々な快感に蝕まれている彼の身体は、暴発寸前だった。
抑えることを忘れたように、頭を振りながら艶めかしい声を上げる。
「あっ・・・イ、く、イく・・・」
トーンの高い声が、更に高くなる。
片腕で彼の頭を抱え込み、扱く手に力を込めた。
「んん・・・っ」
自由を奪われた身体が伸び、彼のモノから精液が流れて行く。
力の抜けた上半身が俺の身体にもたれかかる。
胸元にうずもれる彼の髪にそっと口づけた。
震える身体を抱きながら、つまらない征服感に酔いしれる。
これで、彼は俺のものだ、そう思っていた。
□ 56_空疎★ □
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折り曲げた2本の脚に巻きつく赤いロープ。
身体の自由を奪われたままで床に座る彼の視界を、アイマスクで奪う。
震える唇から、もはや言葉は出なかった。
チューブに入ったローションを肩口に落とすと、ベッドにもたれる背中が軽く浮き上がる。
胸元から腹にかけて薄く塗り広げると、上半身を捻じり、その感触に耐える。
短い間隔で吐き出される息を顔に感じる度に、気分が昂ぶった。
彼の中で蠢いていた物体を引き抜く。
発した声には、僅かに安堵の表情が窺えた。
その光を打ち消すよう、痙攣が残る下半身に粘液を纏わせる。
「もう・・・」
か細い声とは相反し、さっきまで異物を受け入れていた穴は、指の動きに正直な反応を見せる。
「もう・・・我慢、出来ない?」
手に取った玩具で尻の割れ目を摩りながら、耳元で囁く。
球体が連なった下品な色をしたそれで玉を突くと、彼は小さく首を振った。
「こんな、の」
「女のマンコに突っ込んで腰振るだけが、男の快感じゃないと思いますけどね」
ローションに塗れた電動パールの先端を、解すように肛門へ押し当てる。
「公園では、あんなになっちゃってたじゃないですか」
瞬間、割れるような呻き声が彼の口から漏れた。
「1個、2個・・・結構簡単に入っちゃいますよ?川端さん」
物体が深く沈み込むにつれ、腹筋が小さく盛り上がるのが見える。
ゆっくりと出し入れを繰り返しながら、徐々に根元まで飲み込ませる。
半分しか窺えないながら、その表情には苦悶がはっきり浮かんでいた。
悲鳴のような男の乾いた声が、真夜中の部屋に響く。
「っあ・・・む、り・・・」
かつてない刺激を体内に受けている彼は、そう声を絞り出す。
無機質なモーター音と、抜き差しする度に立つ卑猥な音。
それに彼の激しい息遣いが混ざり合い、淫らな雰囲気を空間に広げていく。
照りを帯びた上半身に手を伸ばし、固くなっている突起を摘み上げる。
大きく揺れた喉仏が、吐息を押し出す。
「モロ感ですね。やらしいなぁ」
萎れたままだったモノが、乳首への責めに呼応するよう膨らむ気配を見せ始める。
「チンポ、ピクピクさせて。そんなに良いんですか?」
「いっ・・・」
捻り潰すような指の動きで上がる金切声。
「気持ち良い、でしょ?」
執拗な仕打ちに、声の鋭さは削られていく。
股間のモノが頭をもたげ始める頃、彼の心にはヒビが入り始めたのかも知れない。
かすれた声が、耳に届いた。
「きもち、い・・・」
アナルを刺激する電動パールと、乳首を虐めるクリップローターのリモコンコードが、床に散乱している。
快感を吸い込むように身体を震わせながら、更なる刺激を求める声が身体を刺激した。
彼の頭をベッドに引き摺り上げ、その上に跨るよう膝立ちになる。
スラックスの中で怒張したモノを取出し、その口に近づけて言った。
「何て言えば良いか、分かりますよね」
唾を飲み込み、一度深い息を吐き出した彼は、まるで自ら望んでいるかのように呟く。
「しゃぶらせて・・・くだ、さい」
口の中に捻じ込み、腰を振る。
苦しげな喘ぎが、ベッドの軋む音さえ掻き消していくように脳に沁みていく。
肩を押さえ更に奥へ差し込むと、舌のザラザラとした感触が先端に纏わりついた。
「もっと、喉・・・締めて」
うわ言のように口から出た要求に、彼は忠実に応えてくれる。
快感で霞む視界に、仰け反る彼の身体が揺れる。
彼への加虐行為が、どれだけ自分の身体を溶かしているのかを実感する。
背徳感と優越感が混ざった感情が、快楽を押し上げる。
彼の声と俺の声が部屋の中に充満し、それが飽和する頃、俺は再び絶頂を迎えた。
口の外に漏れた精液が、揺れる喉元を流れ落ちていく。
眼下の股間にそそり立つモノは、被虐を待ち侘びるが如く先端から涎を垂らしていた。
彼の口からモノを抜き取り、ベッドを降りる。
傍に座り、彼の下半身に手を伸ばした。
「寂しそうですね。ここ」
モノの先端を指で撫でると、仰け反っていた身体が僅かに縮こまる。
指に絡みついた我慢汁を、彼の唇に塗りつける。
声にならない声が、空気を揺らした。
「何ですか?」
「そ・・・こ」
「弄って欲しい?」
「い、じ・・・って」
視界を遮っていたアイマスクを外すと、薄く開いた潤んだ眼が現れる。
頬に唇を寄せ、涙を溜めた目尻に舌を滑らせた。
「良く見て下さい。恥ずかしい格好」
彼の視線が、静かに自らの身体を降りていく。
「こんなことされて、トロトロになるなんて」
待ち侘びる場所に手を伸ばし、握り締める。
更に細くなる眼が、その表情に諦めと服従を映すようだった。
「すげー、変態」
様々な快感に蝕まれている彼の身体は、暴発寸前だった。
抑えることを忘れたように、頭を振りながら艶めかしい声を上げる。
「あっ・・・イ、く、イく・・・」
トーンの高い声が、更に高くなる。
片腕で彼の頭を抱え込み、扱く手に力を込めた。
「んん・・・っ」
自由を奪われた身体が伸び、彼のモノから精液が流れて行く。
力の抜けた上半身が俺の身体にもたれかかる。
胸元にうずもれる彼の髪にそっと口づけた。
震える身体を抱きながら、つまらない征服感に酔いしれる。
これで、彼は俺のものだ、そう思っていた。
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コメント
題名の楽しみ
SMプレイというのは、プレイと言うからには手加減しているんでしょうかね、よく分かりませんが…。
香月と川端の関係は、これまでの処は香月が優位に立っていますが、最後の一行が気になります。題名の『空疎』にどう繋がるのか、波乱の予感。
香月と川端の関係は、これまでの処は香月が優位に立っていますが、最後の一行が気になります。題名の『空疎』にどう繋がるのか、波乱の予感。
お互い楽しんでこそ。
多少ハードなものからソフトなものまで、色々と書いてきましたが
いずれにせよ、互いが楽しんでこそのプレイであると考えています。
大分前の話にも出しましたが、一方的な責めはただの拷問でしかありません。
今回の話は、まず先に結末を考えていました。
タイトルはいつも通り書き終えた後に付けましたが
ちゃんと嵌っておりましたでしょうか。
いずれにせよ、互いが楽しんでこそのプレイであると考えています。
大分前の話にも出しましたが、一方的な責めはただの拷問でしかありません。
今回の話は、まず先に結末を考えていました。
タイトルはいつも通り書き終えた後に付けましたが
ちゃんと嵌っておりましたでしょうか。