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空疎★(5/7)

ファスナーを下ろし、蠢くモノを直接手に取る。
「いつスイッチ入れられるか考えてたら、堪んなくなっちゃいました?」
硬くなったモノを揉みしだく様に扱きながら、彼に問いかけた。
「何、で、こんな・・・」
頭を抱えテーブルに身を預ける彼は、震える声を絞り出す。
精神的な恥辱と、肉体的な快感が入り乱れる中で発せられた言葉は、誰に向けてのものだったのだろう。
男のモノを咥え、肛門の中を玩具で弄られ、快感に陥る淫らな身体。
彼が恨むべき相手は、彼自身のはずだ。

沈み込んだ頭を胸元に引き寄せる。
半開きの唇から、切なげな息が吐き出されていた。
「引地さんの咥えた時も、ホントは、興奮したんじゃないんですか?」
閉じられていた眼が、その囁きで薄く開く。
弱弱しい視線が、否定し切れない苦しみを訴えているように見えた。
それが、俺の中の嫉妬心に、火を点ける。
「あんなクソオヤジのチンポ咥えて悦ぶなんて、どんだけ変態なんだよ」
手の中のモノを、力任せに握り締める。
「ぐ・・・っう」
痛みで顔を引きつらせる目の前の男。
誰にも好きにはさせない。
「思い知らせてやる。・・・あんたは、俺の、ものだって」


木組みのテーブルの下、太い脚に寄りかかるよう地面に座らせ、その傍にしゃがみ込む。
「やーらしい顔、しちゃって」
幼稚な感情が情緒を乱す。
コートのボタンを2つ3つ外すと、何も着けていない上半身が顔を出して来る。
激しい鼓動が響く胸板を撫でながら、もう片方の手で顎を掴み、親指を乾いた唇に滑らせた。
「ここで、しゃぶって貰おうかなぁ」
僅かな隙間を押し広げるように、指に力を込める。
纏わりつく唾液と、柔らかな舌の感触。
「・・・ん」
細めた目に映るのは、辛さや苦しさとは違う、何か。
深い息を吐き出しながら、彼の舌が親指に絡みつく。
爪の根元に生温かい物体が触れ、掌が痺れる。
「ほら、しゃぶらせて下さい、は?」
引き抜く指について来た舌が、小さな口から顔を出す。
唾液の筋が街灯の暗い光を纏いながら切れた。
「・・・しゃぶらせて、下さい」

真夜中の公園に、苦しげな息遣いが生まれては消えて行く。
コートの前を肌蹴させた彼は、俺のモノを口に含みながら、自分のモノに手にする。
目を細めて自らを慰める快感と、咥えされられる被虐の快感に振り回される表情が
彼から与えられる刺激と相まって、興奮を高めてくれる。
不意に、見上げる視線を受け止めた。
潤んだ瞳を含む全てが、日常とは違う姿。
会社のPCに向かう姿が重なっても、すぐには認識できないほど、意識が乱れる。
そして、彼も同じように、欲望に憑かれた非日常の俺を見ている。
もう、後には引けないと言う観念が、腰の動きを激しくさせた。

口の中で先端が捻じられ、引っ張られる。
思わず声が出た。
益々能動的になる彼の振る舞い。
秋になり、未だ蔦を伸ばし続ける藤の葉が、突風に煽られて音を立てる。
追い立てられる身体を止める必要は無い。
肌寒い風を感じながら、俺は彼の口の中で絶頂を迎えた。

うな垂れる視界の中にあるのは、肩を震わせながら自らを慰める彼の姿。
口から垂れた精液が胸の方まで流れ落ちているのを気にもせず、一心不乱に終着点を目指す。
やがて、彼のモノから噴き出た液体が砂地に落ち、糸が切れたように身体が沈んだ。


元々、人通りの多い道じゃない。
下半身を引きつらせたままの彼は、俺にしな垂れかかる様な体勢で足を前に出す。
背後から自転車が追い抜いて行く度に、その身体が小さく震える。
彼の心と身体にどんな変化が芽生えているのか、考えても仕方が無い。
ただ、今のこの現実が、自分の中のくだらないサディズムを増長して行ってくれているのは確かだった。

自宅の玄関に入ると共に、彼の身体が床に崩れる。
「も、う・・・止めて、くれない、か」
「どうしてですか?」
昼光色の照明が、その顔の紅潮を強調する。
土下座をするかのような姿勢のまま、彼は唇を震わせた。
軽くしゃがみ込み、顎を指で上向かせる。
「気持ち良いんでしょ?」
「そ、れは・・・」
「折角だから、もっと遊びましょうよ」

汚れたコートを羽織る彼は、狭い部屋の中に立ち尽くす。
「じゃ、服、脱いで下さい」
当惑した視線が、振り向きざまに向けられた。
「今度は、川端さんに脱いで貰うことに、意味があるんですよ」
再び俺から視線を背けた彼は、ゆっくりとコートのボタンを外し始める。
滑り落ちるコートから、失意を背負った小さな背中が現れた。

□ 56_空疎★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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