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空疎★(3/7)

下腹部から上半身に向かって手を滑らせる。
想像よりも締まった感触の胸板を撫で、片方の乳首を指で弾いた。
彼の官能が、手の中にあるモノに赤裸々に表れる。
指で挟み込み、軽く引っ張り、離す。
「・・・っく」
溜まりかねたような声がその口から出て行く。
「可愛い声」
執拗に繰り返す内、喉を絞る様な音は大きくなり、上半身が傾き始める。
怒張したモノは、自らが吹き出す液体と俺の精液とで、得も言われぬ感触に包まれていた。

両手で、彼の尻を押し広げる。
自分でも驚くくらいの再生力。
固くなったモノを、穴を解すように擦り付ける。
こびりついた白濁液が若干滑りを良くしているのか、あわよくば吸い込まれてしまいそうな感覚に陥った。
「頼む、そんな・・・やめてくれ」
惨めな格好のまま、彼は懇願を繰り返す。
「引地さんには、入れられたんですか?」
「して、ない・・・してない」
今にも泣きだしそうな声。
恐怖の只中にいる彼の姿を、もっと見ていたい。
窮屈な入口を、先端で何度も叩く。
侵入を阻むように、彼の腰は引けていく。
「頼む、頼むから・・・」
空言を狭いブースの中に漂わせながら、彼は敗北感に囚われて行く。
心と身体の相反も、彼の感情を崩す一役を担っていたのだろう。
戯れを止め、再び手にした彼のモノは、もう、絶頂の寸前だった。

激しく腰を打ち突ける度、彼の身体は大きく波打つ。
息苦しさと快感に喘ぐ声が、脳を侵す。
「う・・・あ」
「・・・っう」
彼が達したすぐ後で襲ってきた二度目の絶頂。
狭苦しい隙間を滴り落ちる精液。
目の前の身体に寄りかかりながら、その疲労感を味わう。
「まんざら、でも、無いでしょう?」
荒い息の中で発した問に、彼は、俯いたままで無言の答を返した。


先に帰って良いと言った俺の言葉を、彼はどう受け止めたのか。
行為の痕跡が染み付けられたブースの中を軽く掃除している間
彼は、洗面カウンターにもたれ、宙に視線を泳がせていた。
穢れを拭き取ったトイレットペーパーが水流に巻き込まれ
まるで、何もなかったかのように、ブースの中は日常を取り戻す。

「後悔してますか?ウチの会社を選んだこと」
呆然と佇む彼に、意味の無い問い掛けをする。
力無い眼が、俺を見上げた。
「これから、ずっと、慰み物ですもんね」
無意識の内に、顔が緩む。
彼にとっては不愉快極まりない表情だっただろう。
床に視線を落とし、彼は呟く。
「後悔なんか、しても、何の意味も無い」

やり過ぎたんだろうか。
いや、違う。
まだ、足りない。
彼を完全に手中に収めるには、まだまだ、手緩い。
「そうですね」
彼の腕を掴み、引き寄せる。
間近に迫る引きつった顔に、唇を滑らせた。
「今はまだ、後悔する時じゃないですよ」


あの時抱いていた想いは、何処へ行ってしまったんだろう。
ネット通販の購入履歴に並んで行く、いかがわしい商品の数々。
恋愛とはかけ離れた、ただの加虐願望だけが、身体を滾らせる。
こんな風にしか、関係を持つことが出来ないんだろうか。
もっと素直に、彼への想いを遂げることは出来なかったんだろうか。
彼と同じように、俺も、もう後戻りは出来ない。
堕ちる先に恐怖することに、何の意味も無い。


週明け、相変わらず冴えない顔をしながら、川端さんは俺の向かいの席に座る。
「調査の検討についてなんですけど、少し打ち合わせ出来ませんか?」
そう声を掛けた俺に、彼は戸惑いを隠しながら答える。
「ええ・・・良いですよ」

フロアの端に作られた打ち合わせスペース。
パーティションで仕切られただけの簡易な空間には、妙な緊張感が満ちていた。
資料を広げる彼の手に、そこに伸ばした俺の手が軽く触れる。
瞬間、手を引っ込める彼の眼に慄きが映った。
「そんな顔、しなくても」
俺の言葉に、彼は小さく息を吐き、気を改めるように椅子に座り直す。
「何もしませんよ、こんなところで」

打ち合わせは、ぎこちないながらも概ね順調に進んだ。
「これは・・・引地さんに、確認した方が良いかも知れません」
そう言う彼の提案で上司を探したものの
突然の有給休暇の為に、一週間出社しないと聞いた以外は。

□ 56_空疎★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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