光明★(6/8)
妄想の中でしか聞こえなかった呻き声。
耳から入った音は、脳に染み渡るようだった。
乳首を摘みながら、首筋をゆっくりと舐っていく。
揺らぐ息を吐きながら、彼はその仕打ちに耐えていた。
シャツを首までたくし上げ、上半身をくまなく嘗め回す。
未だ、抜け出そうと左右に振れる腰周りに手を伸ばし、静かに弄ると、弱弱しい声が聞こえて来る。
「どうして・・・こんな、こと、するんだ」
その問には、答えなかった。
トランクスの中に手を差し込み、尻を撫でる。
柔らかな肌の感触が、足の付け根に向かうにつれ、チクチクとした毛の感触に取って代わる。
手の行方を察知した彼の言葉は、抵抗から懇願に変わっていく。
「頼む、から、やめてくれ」
直に感じる、他人のモノの感触。
こうやって触るのは、初めてだった。
衝動と興奮でいきり立っていた気持ちが、少しだけ現実に向かってぶれる。
ふと、彼の顔を見上げる。
震えるような彼の視線が、真っ直ぐ俺に向けられていた。
目があった瞬間、俄かに、手の中のモノが反応を見せる。
その感覚が、背中を押した。
彼の目を見ながら、緩やかに手を動かす。
俺の肩や腕を掴む手の力が、少し大きくなったようだった。
「・・・こんな」
切なさがその表情を覆い、俺の冷静さを削っていく。
波打つ胸元に舌を伸ばし、唾液の筋をつける。
乳首を舐め上げ、軽く甘噛みすると、モノは明らかに昂りを見せる。
「こんな、の・・・有り得、ない」
「そうですか?」
モノから手を放し、玉を柔らかく握る。
親指を付け根に沿わせて擦るように動かすと、堰を切ったように、声が室内に響いた。
先端から汁が滲む段になって、彼の抵抗はやっと無くなって来る。
抗うことを、諦めたんだろう。
目を閉じ、唇を噛み締めながら、時が終わるのを待っているようだった。
粘液を撫で付けるようにモノを扱きながら、彼の耳元で囁く。
「口、開けて下さい」
大きく震えている下唇に舌を滑らせ、そのまま口の中に捻じ込んだ。
くぐもった声が、頭の中を刺激する。
扱く手を速めると、やがて彼は堪りかねた声を上げながら、絶頂を迎えた。
気の抜けた彼の身体を、タオルで拭いていく。
呆然としたその表情は、怒りや悔しさ、そんな感情を何一つ表していなかった。
取り返しのつかない行為。
彼の姿を見ながら、自分が犯した罪の深さに、震えた。
殆ど眠れなかった。
多分、寝入ったのは夜が明け始めてからだと思う。
浅い眠りを覚ましたのは、煙草の匂い。
軽く頭痛の残る、歪んだ視界の向こうには、本間さんがいた。
「おはよう。ごめん、起こした?」
「・・・いえ、大丈夫、です」
目は合わせられなかった。
彼の口調に特別変わったところは見られず、それが却って居た堪れなさを生む。
「昨日、僕、何か迷惑掛けなかった?」
新しい煙草に火を点ける彼は、俯く俺にそう問いかける。
「え・・・?」
「飲み過ぎたせいか、あんまり記憶が無くて」
そんな馬鹿な。
本当に覚えていないのか、俺を試しているのか。
苦笑する彼の表情からは、真意は全く読み取れなかった。
「店から引き摺って貰ったくらいまでは、覚えてるんだけどね」
「・・・そう、ですか。別に、何も・・・無かったですよ」
「それなら、良かった。酒どころでの接待は、気をつけないといけないなぁ」
安堵の気持ちは、全く無かった。
むしろ、言い知れない不安だけが増大していく。
本間さんが身支度を整えている間、俺は何をするでもなく、ただソファに身を任せていた。
視界に入った灰皿には、大量の吸殻が貯まっている。
昨日の昼間にはベッドメイクが入ったはずだ。
夜は、当然、吸うタイミングなんか無かった。
ざっと1箱分はあろうかと思われる量を、彼はいつ吸ったんだろう。
「新幹線、昼前だっけ?もうちょっと、ゆっくり出来るかな」
そう言いながらユニットバスから出てくる彼の言葉に、一瞬返答が遅れる。
「え、ええ・・・そうですね。10時半くらいに出れば」
スラックスにTシャツ姿で俺の向かいに座る彼は、再び煙草を口に咥える。
「随分、吸ってるんじゃないですか?」
「ああ・・・ちょっと気分が悪いから。煙草で紛らわせてるんだ」
□ 40_光明★ □
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耳から入った音は、脳に染み渡るようだった。
乳首を摘みながら、首筋をゆっくりと舐っていく。
揺らぐ息を吐きながら、彼はその仕打ちに耐えていた。
シャツを首までたくし上げ、上半身をくまなく嘗め回す。
未だ、抜け出そうと左右に振れる腰周りに手を伸ばし、静かに弄ると、弱弱しい声が聞こえて来る。
「どうして・・・こんな、こと、するんだ」
その問には、答えなかった。
トランクスの中に手を差し込み、尻を撫でる。
柔らかな肌の感触が、足の付け根に向かうにつれ、チクチクとした毛の感触に取って代わる。
手の行方を察知した彼の言葉は、抵抗から懇願に変わっていく。
「頼む、から、やめてくれ」
直に感じる、他人のモノの感触。
こうやって触るのは、初めてだった。
衝動と興奮でいきり立っていた気持ちが、少しだけ現実に向かってぶれる。
ふと、彼の顔を見上げる。
震えるような彼の視線が、真っ直ぐ俺に向けられていた。
目があった瞬間、俄かに、手の中のモノが反応を見せる。
その感覚が、背中を押した。
彼の目を見ながら、緩やかに手を動かす。
俺の肩や腕を掴む手の力が、少し大きくなったようだった。
「・・・こんな」
切なさがその表情を覆い、俺の冷静さを削っていく。
波打つ胸元に舌を伸ばし、唾液の筋をつける。
乳首を舐め上げ、軽く甘噛みすると、モノは明らかに昂りを見せる。
「こんな、の・・・有り得、ない」
「そうですか?」
モノから手を放し、玉を柔らかく握る。
親指を付け根に沿わせて擦るように動かすと、堰を切ったように、声が室内に響いた。
先端から汁が滲む段になって、彼の抵抗はやっと無くなって来る。
抗うことを、諦めたんだろう。
目を閉じ、唇を噛み締めながら、時が終わるのを待っているようだった。
粘液を撫で付けるようにモノを扱きながら、彼の耳元で囁く。
「口、開けて下さい」
大きく震えている下唇に舌を滑らせ、そのまま口の中に捻じ込んだ。
くぐもった声が、頭の中を刺激する。
扱く手を速めると、やがて彼は堪りかねた声を上げながら、絶頂を迎えた。
気の抜けた彼の身体を、タオルで拭いていく。
呆然としたその表情は、怒りや悔しさ、そんな感情を何一つ表していなかった。
取り返しのつかない行為。
彼の姿を見ながら、自分が犯した罪の深さに、震えた。
殆ど眠れなかった。
多分、寝入ったのは夜が明け始めてからだと思う。
浅い眠りを覚ましたのは、煙草の匂い。
軽く頭痛の残る、歪んだ視界の向こうには、本間さんがいた。
「おはよう。ごめん、起こした?」
「・・・いえ、大丈夫、です」
目は合わせられなかった。
彼の口調に特別変わったところは見られず、それが却って居た堪れなさを生む。
「昨日、僕、何か迷惑掛けなかった?」
新しい煙草に火を点ける彼は、俯く俺にそう問いかける。
「え・・・?」
「飲み過ぎたせいか、あんまり記憶が無くて」
そんな馬鹿な。
本当に覚えていないのか、俺を試しているのか。
苦笑する彼の表情からは、真意は全く読み取れなかった。
「店から引き摺って貰ったくらいまでは、覚えてるんだけどね」
「・・・そう、ですか。別に、何も・・・無かったですよ」
「それなら、良かった。酒どころでの接待は、気をつけないといけないなぁ」
安堵の気持ちは、全く無かった。
むしろ、言い知れない不安だけが増大していく。
本間さんが身支度を整えている間、俺は何をするでもなく、ただソファに身を任せていた。
視界に入った灰皿には、大量の吸殻が貯まっている。
昨日の昼間にはベッドメイクが入ったはずだ。
夜は、当然、吸うタイミングなんか無かった。
ざっと1箱分はあろうかと思われる量を、彼はいつ吸ったんだろう。
「新幹線、昼前だっけ?もうちょっと、ゆっくり出来るかな」
そう言いながらユニットバスから出てくる彼の言葉に、一瞬返答が遅れる。
「え、ええ・・・そうですね。10時半くらいに出れば」
スラックスにTシャツ姿で俺の向かいに座る彼は、再び煙草を口に咥える。
「随分、吸ってるんじゃないですか?」
「ああ・・・ちょっと気分が悪いから。煙草で紛らわせてるんだ」
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