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暴露★(5/7)

二つの手が、上司の秘められた部分を少しずつ暴いていく。
開かれるにつれ、更に奥へと求める気持ちが身体を急かす。
ベルトを外し、スラックスの中に手を差し込んだ。
息を飲む音が、耳に響く。
下着の上から軽く触れたモノは、俄かに硬くなり、頭をもたげ始めていた。
上司である中年の男が、部下に身体を弄られ勃起する事実。
言い知れない混乱が、欲情を促す。

彼の顎に手を添え、うな垂れた頭を上向かせる。
目を閉じて顔を歪めるその首筋に、舌を這わせた。
軽く捩れる身体に呼応するよう、手の中のモノが波打つ。
「息が荒いですよ?夏目課長」
「も、う・・・やめて、くれ」
「良いんですか?本当に?」
根元から擦り上げ、先端を摘むと、肩を震わせ大きな吐息をつく。
そのまま布越しにゆっくり扱くと、徐々に腰が引けてくる。
「焦らされるのが、お好きですか?」
「そう、言う、意味じゃ」
やがて、膨張していくモノから滲む液体で湿っていく下着の感触が、手に絡む。
「・・・じゃ、ここで、止めましょうか」

顔を出し始めた陽の光が、ブラインドの隙間から差し込んでくる。
乱れた服を元に戻しても尚、棚に手をつき、うな垂れたままの上司の身体を前に向かせる。
唇を震わせ、潤んだ目が、俺を見ていた。
怒張の止まない股間に手を当てながら、耳元で囁く。
「続きは、明日、私の家でどうですか?」
「どうして・・・なんだ」
上下に手を動かすと、それを制するように彼の手が添えられる。
切なげな表情が、堪らなかった。
「言ったじゃないですか。全部知りたいって」
頬にそっとキスをして、一言付け加えた。
「その表情、飽きるほど、私に見せて下さい」


集中力を欠いた上司をよそに、計算書のチェックを済ませていく。
幾つかの問題点を指摘事項として書類にまとめた後、先方へメールを送る。
眠気と疲労でだるい身体を引き摺るように会社を出たのは、もう昼近くだった。
「来て、頂けますよね?」
別れ際、そう問うた俺に遣り切れない表情を見せ、何も言わなかった上司。
それでも、何故か確信めいたものを感じていた。
彼は、俺の手に落ちる、と。

家に着き、シャワーを浴びる。
霞のかかる意識の中で、課長との情事を思い返す。
自らを突き動かしている感情は、何なのか。
彼の全てを暴き出すことで満たされる、支配欲?
上司が抱いているであろう、俺への感情を逆手に取って、歪んだ欲求を満たそうとしている。
これじゃまるで、彼のやり方と一緒だ。

下請けから裏金を吸い上げ、部下の面影を感じさせる男と一夜を共にする、気弱な男を装う上司。
その羊の皮を剥いでやりたいと思う気持ちは、身体まで昂らせる。
流れる湯の中で、自らのモノに手をかけた。
官能的な網に絡め取られた彼の表情を思い出し、屈折した気分を解消する。
彼の心を何処まで暴いたら、俺は満足するんだろう。
そう考えるだけで、顔が綻んでいく。


インターホンのディスプレイに写し出された彼の顔には、諦念が満ちていた。
程なく、戸口に立つ上司と対峙する。
「来て頂けないかと思ってましたよ」
何も言わない彼の手を引き、室内に招き入れる。
俯く彼が口を開いたのは、リビングに差し掛かる頃だった。
「君は・・・何を、したいんだ」
「課長は、私に、どうして欲しいんですか?」
見慣れない私服姿の彼の腰に手を回し、引き寄せる。
「何をされたくて、ここまで来たんですか?」

唇を噛み、床に視線を落とす顔に手をかける。
そのまま、廊下の壁に彼の身体を押さえつけ、束の間、唇を重ねる。
半開きになった震える口が、まるで何かをねだる様に見えた。
下唇に舌を滑らせると、彼の舌が顔を出し、ザラザラとした感覚が舌先に絡みつく。
深い吐息を浴びながら、互いの舌を縺れ合わせる。
細く開いた目、紅潮していく顔、微かに漏れる水音。
その全てが、俺の心を刺激していく。

力なく壁にもたれる身体を、引き寄せて抱き締める。
白髪の混ざる髪の毛が、こめかみの辺りをくすぐる。
激しさをやや増した鼓動が、胸に響いた。
「もう・・・君の好きなように、すれば良い」
「そんな言い方、ずるいですよ」
背中に回した手を、腰の方へ下げていく。
「私のこと・・・嫌いになりました?」
「別に、僕は・・・」
太腿を撫でると、足の付け根から腰の辺りが強張っていくのを感じる。
彼の震える手が、手首を捕らえた。
「想いを、果たそうなんて・・・思って、無いんだ」
消え入りそうな声が耳に届く。
それが、最後の砦を崩した。

□ 36_暴露★ □
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□ 72_虚飾★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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