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籠絡★(4/10)

彼の手で、火照る身体を鎮めて貰いたい。
そう思わないことは、一回も無い。
こんな行為をするようになってから、もうどれくらい経つのだろう。
その間、俺の欲求が満たされたことは、一度も無かった。
時間と共に、乞う感情も薄れてきたのか、何処かで諦めてしまったのか。
彼に奉仕するだけでも十分だ、そんな気持ちが大きくなっていた。

口に含むモノが、徐々に気道を圧迫していく。
鼻で大きく息を吸い込みながら、刺激を与える動きを大きくする。
やがて、彼は俺の頭を軽く叩いてから、自分のモノを口から抜き取り
自らの手で、便器に向かって精液を流していった。

少し疲れたような、満足げな彼の目に見つめられながら、俺は自身の身体を絶頂へ追い詰める。
「気持ち良いの?」
「ん・・・は、い」
「オレに犯されるところでも、想像してる?」
「・・・そ、んな・・・」
「良いよ?好きに妄想してくれて」
想いを寄せる男から受ける、精神的な辱め。
それが、心を蝕むように、快楽へと変わって行く。

***********************************

徐々にはっきりして来た視界に入ってきたのは、派手な服に薄化粧の女だった。
「何?3Pなんて、聞いて無いけど?」
機嫌悪げな甘ったるい高音の声が、不快感を増幅させる。
「君は、彼の、フェラしてあげるだけで良いから」
「セックス無し?」
「ああ、今日は、それだけ」
何を話しているのか、咄嗟に判断できなかった。
身体を起こそうにも、まだ素直に言うことを聞いてくれない。
自分の身に起こりうることを想像して、徐々に血の気が引いていく。

荷物を床に無造作に置いた女は、ソファの傍に腰を下ろす。
必死で上半身を起こそうとした時、俺の肩口は稲葉さんに押さえつけられた。
「マジで、勘弁、して下さい」
「どうして?彼女、上手いよ?」
「そういう、じゃなくて・・・俺、ホントに」
女が、俺のスラックスに手を掛け、ファスナーを下ろしていく。
彼は、その顔を耳元に近づけて囁いた。
「・・・男にされる方が、良い訳?」

耳をそばだてていたらしい女の手が、止まる。
「何それ?」
言うことを聞かない身体を、男と女に押さえつけられながら
俺は完全に追い詰められた状況にあった。
言葉を発することもできず、許しを請うかのような視線を、彼に送ることしかできなかった。
そんな心情とは裏腹な、優しげな微笑みをたたえた彼は、震える俺の顔に手を当てて言う。
「じゃ、君は、オレのをしゃぶってよ」
それは、救いの手、だったんだろうか。

剥き出しにされたモノを弄りながら、彼女は怪訝な声を発する。
「あんた、そう言う趣味?」
「いや、そうじゃないけどね」
俺の顔の辺りに膝立ちになった彼は、そう言いながら俺の手を自らの股間に促した。
女に身体を弄られる嫌悪感と、彼との関係を持てると言う期待感。
感情は一方通行にも拘わらず、そのバランスがあらぬ方向へ崩れていく。
完全に開ききらない視界の向こうで、彼は変わらぬ笑みを浮かべていた。


女に咥えられるのは、初めてだ。
少し窮屈な感触が、男のフェラチオとは違う。
歯が当たるんじゃないかと言う恐怖が、下半身を緊張させる。
生温い、湿った刺激が全体を覆っても、なかなか快感には結びついて来なかった。

けれど、性的快感は、感情に大いに左右される。
そのことを実感するまでに、それほど時間はかからなかった。
俺の口は、彼のモノによって満たされていて
ゆっくり頭を動かす度に見せる小さな反応が、俺の気分を昂ぶらせていく。
激しい動きで刺激を与えられない代わりに、先端を舌で転がし、喉の奥で締め付けるように包む。
彼の手が俺の首に回り、開いた襟元から、肩の方へ入り込んでくる。
勃つはずが無い、そう思っていた身体は、予想しなかった反応を見せ始めた。

「女にされても、ちゃんと、勃つんだね」
彼のモノを咥えていると言う事実で興奮した身体を、彼女のフェラが促進しているのかも知れない。
何にせよ、早いストロークでもたらされる刺激が、徐々に快感として沁みてくる。
ワイシャツのボタンが胸の辺りまで外され、上半身をゆっくりとまさぐられる。
深い息を吐く弾みに、つい声が漏れた。
男女二人に刺激される身体が、未経験の快楽へと追いやられていく。

□ 30_籠絡★ □   
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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