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破壊★(2/7)

「・・・大丈夫?」
こんな言葉を掛けるべきなのかどうかも、分からなかった。
彼は何も言わずに自らの視界を奪っていた物を外す。
真っ赤に潤んだ目が、凄まじい刺激と興奮を物語っていた。
「あなたは・・・こう言うのは、初めてですか?」
そう言いながら、彼は身体を弄んでいた器具を外していく。
その度に、顔を歪め、小さな呻き声を出す。
脳内麻薬が切れたせいなのか、妙に痛々しくて見てられなかった。
「・・・そうじゃなきゃ、そんな風に、声かけたりしませんよね」
細めた目で俺を見る彼の言葉の意味が、理解できなかった。

「虐待して楽しむ人たちは、その優越感も快感の一つですから」
身体を引きずるように台から降り、側にかけてあったバスタオルを腰に巻く。
「行為の後に、声をかけるようなことはしないんですよ」
彼は、口角を軽く上げ、冷めた笑いを投げかけてくる。
「そう・・・俺には、まだ・・・」
「興味、持ちました?」
何処か楽しそうに聞いてくる彼に、俺は困惑しながら答える。
「・・・どうかな」
「月一くらいで来てるんで・・・機会があったら、あなたも」
彼は俺から視線を外し、床に散らばった物を片付け始めた。

ぎこちなく動く身体をしばらく眺めていると、不意に彼が振り返る。
上目遣いで俺を見る目が、快楽に囚われている様に、妖しく見えた。
何かに、突き動かされた。
彼の腰に手を回して抱き寄せる。
未だ熱を帯びた細身の身体が、腕の中に納まった。
「・・・あなたの奥にある欲望を、オレにぶつけてくれますか?」
彼はそう言って、俺を見つめる。
俺の欲望。
罪悪感と背徳感に覆われたものを、彼は剥き出そうとしている。
緊張で、背筋が寒くなるのを感じた。


この店のシャワーブースは、完全個室になっている。
中で楽しみたいと言う需要もあるんだろう。
男二人で入るには若干狭いが、それが好都合と言う見方もある。

壁に手をつく様に立たせ、彼の背後に立つ。
水が流れ落ちていく身体をまさぐりながら、肩から下へ手を滑らせる。
さっきまで厳しい責めに耐えていた乳首は、既に堅くなり始めていた。
「ここ、相当好きそうだよね」
両方を摘み上げると、彼は切ない声を上げる。
「どうなんだよ?」
「いい、です・・・強く捻って・・・」
躊躇いを振り払うように、その指に力を込める。
喉の奥から搾り出すような声が響いた。
「痛いのが・・・良い訳?」
「・・・っは、い・・・」
「ほんとに、変態だな」
「もっと、なじって・・・下さい」
シャワーの湯で濡れた頭を軽く振りながら、彼はそう求める。
欲望を覆うものが、徐々に捲られて行く様な感覚に陥った。

あれだけの陵辱を受けた後でも、彼の身体は性欲に従順だった。
ブースの隅に置かれた使いかけのローションを、背中に垂らしていく。
シャワーで温まった身体と相反する感触に、彼は小さく反応した。
塗り広げるように、前へ手を伸ばす。
「もう、硬くしてんのか」
「はい・・・」
「便利だよな、乳首だけでこんなに興奮できるんだから」
滑りの良くなったモノの先端を軽く摘むと、背中を強張らせ、深い息を吐く。
手を動かす度に、卑しい音が鳴った。
片方の手を尻の割れ目に沿って挿し込んで行くと、やがて穴を捉える。
「こんなにヒクヒクさせて・・・どうして欲しいんだ?」
「指で・・・掻き回して、下さい」
モノへの刺激に耐えるように俯く彼は、声を出す。

中指を一本入れる。
生暖かい肉の壁が、指にまとわりついた。
その感覚が妙にリアルで、気分が昂揚する。
根元まで押し込んでやると、彼の身体は僅かに反り返る。
「一本じゃ、物足りないか?」
彼の反応を待たず、人差し指を捻じ込む。
締め付けは、より、きつくなる。
ローションの滑りに任せて出し入れすると、快楽の虜になった彼の声が大きくなった。
「良いんだろ?」
「・・・あぁ・・・は・・・い」
挿し込んだまま、指の先を上下に動かしてやると、震える吐息をつく。
彼の欲望が、俺の欲望を、晒していく。

□ 22_破壊★ □   
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□ 52_桎梏★ □
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コメント

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スパーキング

『破壊』という題名に相応しく、強烈な出だし。

クルージングというのは、男が男を探す事ですよね、確か!?勿論、ヤル相手を探すって事で。

このM男、なんか従順で可愛い!
正真正銘の変態なんだろうけれど、普段は普通の生活をそつなくしているんでしょう。
意外にお堅い職業かもしれない!?

変化を望んで。

前編の『挽回』と本編、次編を書いている頃は
本当に全く何にも浮かばず、一行も書けない日が続いていました。
やっとの思いでまとめた文章ですが
今までと若干雰囲気を変えることで、単一的なこのblog自体も何かしら変われば良いと
そんな思いも込めて、このタイトルにしてみました。

ちなみに、次の更新は、週末になってしまいそうな状況です。
何卒ご了承ください。
Information

まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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