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規律★(4/9)

ヤツをブースに残して、洗面所で手を洗い、うがいをする。
ついでに顔を洗って、何とか気分を落ち着かせようとした。
しばらくすると、奥から、岩井がおぼつかない足で歩いてくる。
「すっきりしたか?」
「・・・ああ、相当」
「そりゃ、何よりだ」
俺の背後に立ったヤツは、鏡越しに俺を黙って見ていた。

「・・・何だよ?」
「お前、男とやったこと、あんの?」
言い逃れは出来そうも無かった。
短い沈黙の後、俺は答える。
「あるよ。・・・だから?」
一瞬驚いたような、怯んだような表情を、ヤツは見せた。
ああ、この表情は、前にも記憶がある。
親友だと思っていた奴に、酔った勢いでカミングアウトした時。
理解してくれとは言わない、でも受け容れて欲しい。
そう思うのは、やっぱり、自分勝手なことなんだろうか。

「戻ろうぜ」
俺はヤツの顔を見ず、その場を離れようと歩き出す。
ゲイバレしてしまったであろう不安、ヤツでイってしまった罪悪感。
仕事に没頭して、全てを忘れたかった。
その時、不意に、後ろから抱きつかれる。
「何なんだよ?!」
声が荒くなった。
「もう、いいだろう?」
全身で抵抗する俺を、ヤツは二本の腕で抑え込んでくる。
体格の差は、歴然だった。
「もう一発くらい、イけるだろ?」

片方の手が、俺の顔にかかる。
後ろを向かされると、すぐ側に岩井の顔があった。
「マジ、やめろって」
俺の声は届かなかったのか。
そのまま、唇を奪われた。
眼鏡の奥の目が僅かに細くなっただけで、ヤツは表情を変えずに俺を見ている。
やがて、口の中に舌が入ってくる。
もう、抗えなかった。


洗面台のカウンターに手をつき、後ろから身体をまさぐってくる手に、身を捩る。
ズボンからワイシャツが引き出され、冷たい感触が腹の辺りに感じられた。
「案外、筋肉付いてるんだな」
腹筋に沿って指を滑らせながら、首筋に舌を這わせてくる。
行きずりのプレイとは違う優しい刺激に、身体が熱くなる。
「こっちも経験あるのか?」
片方の手でズボン越しに尻を撫でながら
興奮と好奇心が見え隠れする声で、ヤツは聞いてきた。
「・・・無い」
「入れてみたいとか、思わないの?」
「別、に」
そんなに入れたいのなら、女とでもやってれば良いのに。
アナルなら、男も女も、そう違いは無いだろう。

手は、尻から前に伸びてくる。
「硬く、なってんぞ」
「そう・・・」
複数の布の上からの感触は、切ないくらいにじれったい。
反応し始めたばかりのモノを、ヤツの手が柔らかく揉み扱く。
上半身をまさぐる手は、胸から肩にかけて、満遍なく動き回る。
刺激に耐えようと両腕に力を込めるが、耳たぶにかかる吐息が、それを許さない。
ズボンのジッパーが下ろされ、そこからモノが外に出された。
「口の方が、良い?」
鏡越しのヤツは、僅かに口の端を上げただけの表情を見せる。
居た堪れなくなって、俺は首を横に振る。

モノを弄る手は、ぎこちなかった。
それでも、俺の興奮は増して行く。
息が荒くなっていくのが分かった。
「顔、上げろよ」
俯く俺に、ヤツは言う。
戸惑いながら、言う通りにする。
目の前の鏡には、紅潮した自分の顔と、男に玩ばれている自分の身体。
そして、満足そうに俺を見ている同僚が映っていた。
「お前、可愛いよなぁ」
「何、言ってん、の」
「・・・メチャクチャに、してやりてぇ」

□ 18_規律★ □
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まべちがわ

Author:まべちがわ
妄想力を高める為、日々精進。
閲覧して頂いた全ての皆様に、感謝を。

2011-3-12
東日本大震災の被害に遭われた方に
心よりお見舞いを申し上げます。
故郷の復興の為に、僅かばかりにでも
尽力出来ればと思っております。

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